企業システム・レビュー・ネット

企業経営を左右する企業情報システム(経営+ITソリューション)のデータバンク作りを目指す

◇企業システム◇野村総合研究所が自社のOSSと「IBM Lotus Notes Domino」を連携

2009-09-28 10:27:49 | システム開発

 【システム開発】野村総合研究所(NRI)は、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia/Portal(オープンスタンディア・ポータル)」と「IBM Lotus Notes Domino」を連携させることで、Notesで稼働しているシステムについて、既存システムを活かしたまま、最新のオープンソースを活用してポータル機能を追加し、他の既存システムとの連携を実現するソリューション「OpenStandiaソリューション/Notesエクステンション」の提供を開始した。情報共有のためのグループウェアとしてNotesを利用して構築されたシステムが多いなか、ブログ機能やWiki機能など最新のWeb技術を取り込めない、他のWebアプリケーションと連携できない、基幹データベースからの情報の検索や閲覧がスムーズに行えないなどの課題が、Notesシステムには存在する。また、Notesのデータやシステムを他のシステムに移行しようとしても、コストが高額になるという課題もある。こうした課題を解決するために、NRIは最新のオープンソースを活用し、Notesで稼働しているシステムに、最新のWeb技術によるポータル機能を追加し、他のシステムとの連携を低コストで実現するソリューション「OpenStandiaソリューション/Notesエクステンション」を提供するもの。(野村総合研究所:09年9月17日発表)

 【コメント】今はもうIBMブランドとして定着しているロータスソフトウエアは、もともとは1982年設立の独立系のソフト企業であるロータス・デベロップメント社をIBMが1995年に買収し、獲得したものであった。IBM・PC用の表計算ソフト「Lotus 1-2-3」は、当時一世を風靡した今で言うオフィスソフトの先駆けとなるパッケージソフトであった。さらにロータス社は1989年にはグループウエア「Lotus Notes/Domino」を発売し、それ以前のメインフレームにダムターミナルを接続したインフラ環境を一変させるもので、大手ユーザーを中心に広く普及をみせた。

 このように、ロータスソフトウエアはWeb時代が到来する前の花形ソフトウエアであったわけである。ところがWeb時代に突入すると、Webをベースとしたグループウエア製品が各社から提供が開始され、さしものロータスも次第に時代とのギャップも目立ち始めてきた。今回野村総合研究所が発表した「OpenStandiaソリューション/Notesエクステンション」は、オープンソースソフトウエア(OSS)という時代の最先端を行くソフトウエアで「Lotus Notes/Domino」を蘇らせようとする試みの一つだ。

 実は、IBMは08年5月に「ロータス・シンフォニー」をリリースし、Web/OSS時代に相応しいソフトとしてロータスソフトウエアの復活を図っている。このロータス・シンフォニーはOSSのオフィスソフトである「オープンオフィス」をベースに商品化されたもので、IBMが戦略的に市場に投入したものだ。ご存知の通りオフィスソフト市場は、これまでマイクロソフトのマイクロソフトオフィスが席巻してきたわけで、IBMもこの流れを黙認するしかなかった。しかし、時代は確実にオープンの方向に向かいだし、オフィスソフトもOSSのオープンオフィスが次第に脚光を浴び始めてきている。特に世界同時不況を味わった世界中の企業は、少しでも情報化投資を切り詰めようとOSSに対する期待は大きい。

 こんな時代を背景に、米IBMでは思い切った手を打ち始めたようだ。IBM社員に対し、マイクロソフトオフィスの使用を中止させ、代わりに自社のロータス・シンフォニーを使用するように通達を出したというのだ。現在36万人のIBM社員のうち、33万人の従業員が既にロータス・シンフォニーへの乗換えを完了しているのだという。今後IBMの社員がマイクロソフトオフィスを使用するには承認が必要になるという。もうこうなるとマイクロソフトに対して宣戦布告をしたのに等しかろう。グーグルも既に自社の無料のオフィスソフトを提供することで、マイクロスフトオフィスの市場の切り崩しを図っている。仁義なき戦いの火蓋は切って落とされた形勢にある。(ESN)