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◇企業システム◇日本通運が全社6000人を対象にSaaS型「Salesforce CRM」導入

2009-09-02 09:39:18 | システム開発

 【ユーザー】キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、セールスフォース・ドットコムのSaaS型CRM(顧客情報管理)システム「Salesforce CRM」を日本通運より受注した。利用対象者は日通グループ全社の法人向け営業要員を中心に6,000名で、物流業界における「Salesforce CRM」の利用としては国内最大級。09年8月から順次同システムの利用IDを配布し、2010年3月に全IDの配布が完了する予定。日本通運では複数の輸送手段を連携させての複合一貫輸送や国際間での取引の増加に伴い、営業先の重複による顧客情報の再入力、報告書作成等の事務作業の煩雑化が深刻な問題となり、グループ全社営業部門への低リスクかつ低コストなCRMシステムの導入と営業プロセスの標準化が急務となっていた。 (キヤノン:09年8月27日発表)

 【コメント】郵政グループがセールスフォース・コムのSaaS型CRMソフト「Salesforce CRM」を日本で始めて大量導入したときは、大きな話題となった。これは当時まだSaaSが認知されておらず、導入のメリット、デメリットの評価が乱れ飛び、その成果に注目が集まったわけであるが、その後、クラウド/SaaSが浸透するに従い、導入ユーザーも次第に増え、現在では企業ユーザーは、クラウド/SaaSとは何かを卒業し、いかにクラウド/SaaSを導入すればいいのかに焦点が移ってきている。そのような背景の下、今回日通グループが国内最大級となる全世界6000人の社員を対象に「Salesforce CRM」の導入の発表は、本格的クラウド/SaaS時代の幕開けを実感させるニュースである。

 ところで、セールス・フォース・コムの「Salesforce CRM」の導入ユーザーはどの位になったかというと、09年7月31日現在、日本郵政グループ、みずほフィナンシャルグループ、三菱 UFJフィナンシャル ・ グループ、損害保険ジャパン、 日立グループ、ジョンソン ・ エンド ・ ジョンソン、 小田急電鉄、 リロケーション ・ ジャパン 、ヤンマーそれにキヤノンMJを含み、世界63,200社に利用されており、今後も導入ユーザーは増える見込みとなっている。

 クラウド/SaaSの大量導入となると、ユーザー企業への導入・運用サポートが十分に行われるかに、関心が集まると思われるが、今回の日通グループの導入では、キヤノンMJが既に「Salesforce CRM」を自社で導入しており、グループ内で6,000人以上の営業要員が利用している。加えてキヤノンMJグループのITソリューション事業の中核会社であるキヤノンITソリューションズでは、各業種向けシステム開発においても実績があるという。今回の受注は、こうしたキヤノンMJグループがもつ「Salesforce CRM」の大規模ユーザーとしてのノウハウとソリューション提案力が高く評価されたことによるもの。

 SaaS型CRMソフト「Salesforce CRM」の大量導入ユーザーが、郵政グループ、キヤノングループそれに今回の日通グループと実績ができてくると、一挙に市場が広がる可能性が出てくると同時に、各種のクラウド/SaaS製品の普及に弾みがつく可能性が出てきた。これまで日本政府もクラウドコンピューティングへの取り組みを強化してきたが、新政府においても引き続き拡大強化路線が続くことを期待する。(ESN)