企業システム・レビュー・ネット

企業経営を左右する企業情報システム(経営+ITソリューション)のデータバンク作りを目指す

◇企業システム◇野村総合研究所(NRI)が企業ユーザー向けに無料OSS相談所開設

2009-09-07 09:30:40 | システム開発

 【システム開発】野村総合研究所(NRI)は、システム基盤のスリム化やシステムコスト削減を急務としている企業向けの無料相談窓口(要件定義後のシステム構築、サポート費は有償サービス)「オープンソースDEシステム構築ホットライン」を開設した。、同ホットラインは、オープンソースを活用したシステム構築で、豊富な経験をもつNRIのスペシャリストが、オープンソースの導入を検討している企業からの相談に無料で応える窓口。システムの処理性能の不満、障害対策、セキュリティや内部統制などの問題解決のために、オープンソースを活用した低コストでのシステム再構築などさまざまなニーズに応える。現在NRI ではこのサービスで約50種類のオープンソース・ソフトウェアに対応している。 (野村総合研究所:09年9月2日発表)

 【コメント】オープンソースソフトウエア(OSS)は、既に啓蒙・普及期を過ぎ、現在本格的活用時代に入ってきている。OSS自体も種類が多様化し、カバーする範囲も当初のOSや開発ツールから、最近では業務アプリケーションにまで及んできている。このような状況において、一部の先進ユーザーならともかく、一般の企業ユーザーでは、OSSの具体的な知識やノウハウを十分にマスターしているとはいえないのが実態ではなかろうか。今回NRIが開設した「オープンソースDEシステム構築ホットライン」は、こんな悩みをもっている企業ユーザーを対象にしたものだ。

 NRIでは09年4月に「ユーザ企業のIT活用実態調査」を行っているので、その調査結果を見てみよう。質問「IT投資・費用の適正化方策は?」についての企業ユーザーの解答は高い方から次のようになる。①システム基盤構成の見直し(70.5%)②サービスレベルの見直し(34.4%)③不要な業務システムの棚卸し(31.5%)④業務アプリケーションパッケージの積極活用(30.5%)⑤システムのアウトソーシング(22.3%)⑥調達価格の見直し(20.4%)⑦業界共通システムの利用(12.2%)⑧マルチベンダ化(6.4%)⑨ITコストの適正化については特に課題はない/認識していない(2.7%)⑩シングルベンダ化(1.0%)⑪その他(4.7%)。この結果を見ると「システム基盤構成の見直し」が圧倒的に多いことが分かる。

 「システム基盤構成の見直し」において、OSSの占める割合は高いし、最近ではクラウド/SaaSなどが登場して、企業ユーザーとしてどう取り組めばいいかは悩みの種だ。今回、NRIはOSS全般を対象に「オープンソースDEシステム構築ホットライン」を開設したが、ミラクルリナックスではLinuxに特化させた同様な取り組を発表した。これは、システム・インテグレーション(SI)企業向けのLinux案件の支援サービス「Linux案件支援プログラム」の提供である。このプログラムは、参加SI企業の営業担当やエンジニアに対し、案件に関連するLinuxのノウハウを無償で提供するもので、ハードウェアメーカとの間で行われた技術検証に基づいた情報なども提供していく予定となっている。 同プログラムでは、「Oracle Database」、企業ユーザに必要となる高可用クラスタ・ソフトウェア「MIRACLE CLUSTERPRO」、マルチOSのバックアップ統合を実現するバックアップ・ソフトウェア「NetVault Backup」、Oracle Databaseのスタンバイサイトを安価・簡易に提供する「MIRACLE StandbyDB X」、VMware ESX/ESXiのバーチャル・アプライアンスにも対応するソフトウェア・ロードバランサ「MIRACLE LoadBalancer」のほか、オープンソース・ソフトウェアの統合監視ソフトウェア「ZABBIX」およびシステム・バックアップソフトウェア「Mondo Rescue」を支援対象としている。

 現在、企業システムは高度化し、一企業ユーザーでは対応できない場面もしばしば起きてくる。このとき欠かせないにが、ベンダーやSI企業のサポートであり、今後このような取り組みが一層充実することが、求められることになろう。(ESN)