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◇企業システム◇ユニアデックスが“Xen”を使ったサーバー仮想化構築サービスを開始

2009-09-14 09:27:05 | システム開発

 【システム開発】日本ユニシスの子会社のユニアデックスは、無償ソフトウエア(オープンソースソフトウエア=OSS)の仮想化ソフト「Citrix XenServer」を基盤に、安全確実な仮想サーバー環境の構築サービスを、提供開始した。 今回開始したサーバー仮想化構築サービスは、経費節減の観点からサーバー統合やシステム延命など企業システムの構築および運用面で課題を持つ利用者へ、無償のサーバー仮想化ソフトウエアCitrix XenServerを基盤に、仮想化システム導入のコンサルテーションから構築、保守まで一貫して提供するサービス。(日本ユニシス:09年9月2日発表)

   【コメント】今回の発表の背景には、09年3月にシトリックス・システムズが、エンタープライズクラスの複数サーバーを仮想化するソフトのXenServerを、OSSとして無償化したことがある。OSSの仮想化ソフトのXenは、最初英国ケンブリッチ大学の研究プロジェクトとしてスタートしたソフトである。その後、そのプロジェクトメンバーによって創設されたXenSource社が中心となり開発が進められたが、07年8月XenSource社は米シトリックス・システムズによって買収され、現在シトリックス・システムズが中心となり、開発が進められている。

 もともと、シトリックスはIBMでOS/2の開発を行っていたエド・ヤコビッチが中心となり1989年に創設されたソフトウエア会社である。ヤコビッチはOS/2開発に当たりUNIXのようなマルチOSをつくりたいと考えていたが、IBMがOS/2のマルチ化に関心を示さなかったため、独立したという経緯があった。このときOS/2のソースコードは、マイクロソフトから供与(当時OS/2はIBMとマイクロソフトが共同開発してた!)され、以後シトリックスはマイクロソフトの別働隊とも見れる、緊密な関係を築いていく。

 現在のシトリックスは、クライアントパソコンをサーバーに統合するソフトの専門ベンダーとして多くの実績を持つに至っている。XenSource社買収に当っては、裏にマイクロソフトが存在していたとも言われている。というのは、マイクロソフトはWindows市場の仮想化は自社製品でカバーし、Linux/UNIX市場での仮想化はシトリックスにXenを買収させることによって、カバーしようとしたというのである。

 シトリックスがXenを買収し、2年近くが経った09年4月にシトリックス「XenServer」を無償化し、さらに自社製品の統合化ソフトを、「Citrix XenServer」「Citrix XenApp」などXenの名前を前面に掲げたシンクライアントの新戦略を打ち出した。そしてその先には“仮想化=Xen=クラウド”という図式が浮上してくるのである。仮想化ソフト「Citrix XenServer」はOSSだけに、構築コストを低く抑えることができる。これによっ
て、今回のユニアデックスのように「Citrix XenServer」を使ったサーバー仮想化構築サービスを行うベンダーが今後増えてこよう。(ESN)