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◇企業システム◇野村総研と日本IBM、OSSとブレードサーバーを組み合わせ新ソリューション提供

2009-02-25 11:29:17 | システム開発

 【システム開発】野村総合研究所(NRI)と日本IBMは、中堅・中小企業ユーザー向けに、ITコスト削減を目指し、商用ソフトウエアを利用した場合に比べ、約1/3の費用で構築できる、オープンソースソフトウエア(OSS)を活用した企業内ポータル構築ソリューション「OpenStandia/Portal on System x /BladeCenter」の提供を開始する。料金は最小構成(オールインワンタイプ)で168万円でNRIから発売する。NRIの「OpenStandia/Portal」は、複数のOSSを組み合わせて実現したもので、このため適切なハードウエア構成やユーザー数に応じた適切なメモリー量やCPU性能を見積もり、稼働検証しながら最適な構成を決定する必要がある。今回2社は3種類のハードウエアを構成し、稼働検証して最適化した上で提供する。 (野村総合研究所/日本IBM:09年2月24日発表)

 【コメント】現在日本IBMは、中堅・中小企業市場の開拓を最大の課題にしている。これまで同社は大手企業市場で圧倒的な知名度で実績を積み上げてきた。しかし、ここ数年業績の悪化に苦しんでおり、米IBMもてこ入れに役員を派遣するなどし、業績の回復に取り組んでいる。何故、ここまで日本IBMの業績が悪化したのか。理由はいろいろ挙げられるが、やはりメインフレームの終焉が近づきつつあり、メインフレームを主力商品としてきた従来の戦略が、現実の市場から遊離し始めてきたと見るのがもっとも妥当な見方であろう。既にIBMとしてはソフト化への移行、アウトソーシング事業の強化など、メインフレーム対策は完了しているというかもしれないが、これらの事業は他のITベンダーでも取り組んでいるし、IBMでなければならないということもない。つまり、今のIBMには昔のメインフレームのような、他社では代替できないような切り札に欠けているのである。

 今回、NRIと日本IBMが発表したOSSとブレードサーバーを組み合わせたオールインワンタイプの企業内ポータル構築ソリューションは、今後のIBMが活路を開く一つの解決策となるかもしれない要素が含まれている。現在日本IBMは、中堅・中小企業を最重点市場として攻勢を掛けようとしている。しかし、この市場の開拓は同社が考えるほど簡単ではない。大手企業ならIBM のブランドは威力を発揮できるが、中堅なかんずく中小企業に対してはそう効果を発揮するとは考えにくい。また、これらの市場は従来からNEC、富士通、大塚商会、オービックなど老舗の企業が市場をがっちりと握り、これらの障壁をIBMといえども乗り越えることは容易ではない。

 ここで、威力を発揮するのが低コストという切り札だ。マイクロソフトもコスト削減の一大キャンペーンを展開し始めているが、マイクロソフトはOSSを大々的に打ち出すことには過去の経緯もあり、躊躇があるものと思われる。この間隙を突いてIBMがOSSによるコスト削減を強力に打ち出せば、難関不落の中堅・中小企業市場に突破口を開けることも不可能とはいえないかもしれない。今回、OSSにより「約三分の一の費用で構築できる」ことを前面に打ち出した戦略は、なかなかいいのではないか。

 もともとIBMは対マイクロソフト対策もあり、OSSについては豊富な経験と実績を有している。さらにブレードサーバーについてもこれまで市場をリードしてきた。今回これらを組み合わせてソリューション化したことは、今後のIBMの新戦略を考える場合かなり重要な役割を担っているのではないか。問題はマーケティングであろう。大手企業と中小企業の中間に位置する企業群をターゲットにすればいい成果を生み出せる可能性を秘めているかもしれない。(ESN)

http://www.nri.co.jp/news/2009/090224_1.html