【システム運用管理】米CAは、SOA導入状況および複雑なWebベース・サービスを成功させる上で、アプリケーション性能管理が果たす重要な役割に関して行われた、独立系調査会社「TechWeb」の調査結果を発表した。同調査結果によって、カスタマ・サービス・レベル、顧客関係、ITやLOB(Line of Business)オペレーションのパフォーマンスの問題について、多くの企業が懸念と課題を抱えていることが判明した。同調査は米CAが委託し、SOAベースのアプリケーションを既に導入または導入を予定している米国、英国、フランス、ドイツおよびオーストラリアの企業組織に対して行われ、回答者はCIOからIT管理スタッフまで合計615人の技術専門家から得た。 (日本CA:09年1月16日発表)
【コメント】今回の調査発表のタイトルには「低品質なSOAアプリケーション・パフォーマンスは、顧客サービス、ITおよびLOBオペレーションの生産性、収益に悪影響をもたらす」とあるが、これが今回の調査結果のすべてを表しているといえるであろう。同調査結果では、適正な測定の欠如が企業組織に多くの障害をもたらしているとし、次のような実態を明らかにしている。①回答者の54%が、問題の解決が困難であるため、ITや個々のLOBオペレーションの生産性が低下したと報告②回答者の48%が、アプリケーションのダウンタイムは顧客関係に悪影響を与えていると報告③回答者の46%が低いと収益が減少すると報告。
SOAはこれからのアプリケーション開発には欠かせない新しい技術として、現在多くのユーザーによってトライアルされている。今後ますます迅速性と柔軟性が要求されるビジネスアプリケーション開発には、SOAの考え方を取り入れて取り組まねばならないことは、ユーザー自身が身に沁みて感じていることだ。このためSOAをベンダーから提示されれば、当然のごとく飛びつく。しかし、よく考えると最近のシステム障害の多くは、システム自体が複雑で巨大化した結果引き起こされたもので、システムのシンプルさも同時に実現しなければならないというジレンマに陥っている。これについて米CAでは「SOAアプリケーションの導入を実施する企業組織の多くは、SOAと従来のソフトウエアシステムの差異を認識することができておらず、特に、SOAのモニタリングと管理の要件に関してその傾向がみられる」と述べている。
システム開発の新たな手法は今後さらにいろいろなものが提案されてこよう。それらは現実に有効な手法もあろうが、問題はシステムを構築したあとのシステム運用管理がきちっと行われるかどうかだ。往々にしてシステム運用管理は後手後手にまわり、トラブルが発生してから慌てて手を打つ場合が多い。一時期システム構築の際の開発会社とユーザーの認識の違いをどう克服するかとか、システム構築の際のプロジェクト管理をどうミスなく進めかに関心が集中したが、システム構築した後のシステム運用管理については、古い問題なのだがあまり注目されてこない。SOAでシステム構築することを既に決定したユーザーは、開発前からSOAのシステム運用管理をどうするかを、ベンダー側と詰めなければなるまい。(ESN)