【ユーザー】エム・ピー・テクノロジーズ(MPT)は、USB型シンクライアント端末「Resalio Lynx」が日立建機のシステム開発環境に導入されたと発表した。これは日立ソフトウェアエンジニアリング(日立SE)の統制IT基盤提供サービス「SecureOnline」の開発拠点用シンクライアント端末として導入されたもの。日立建機では経営のグローバル化に伴い、システム開発規模も年々複雑化・大規模化しているが、いかにローコストで最適な開発インフラを用意し、かつ、開発効率を落とさないようにできるかが課題であった。また、開発拠点が本社、湯島のほか土浦と3カ所に分散しているが、開発スペースが限られており、ビジネスパートナーの持ち帰り開発を前提にしたセキュアな開発環境づくりも急務となっていた。この解決のため日立建機ではMPTのUSB型シンクライアント「Resalio Lynx」を導入し、シンクライアントソリューションにより、コスト削減やより進化したITセキュリティを目指し、開発パートナーが同一環境で開発できるロケーションフリーの環境づくりを実現させた。(エム・ピー・テクノロジーズ:09年1月29日発表)
【コメント】日立建機では、開発パートナー企業に拠点まで集まってもらわなくても、統制されたセキュアな環境に、各社がアクセス可能な開発環境が理想と考えていた。これを実現したのが高いセキュリティを有する「Resalio Lynx」および統制IT基盤サービス「SecureOnline」であった。これによって開発環境を統一することにより、原因不明のバグ対応がなくなり、本来やるべきデバッグに専念することができる。「Resalio Lynx」は、USB1本でシンクライアント環境が構築できることに加え、SSL-VPNやサーバーによる固体認証といった優れたセキュリティ性が導入の決め手になったという。
MPTは、米ワイズ・テクノロジー社製のシンクライアント(現在全世界で33%のシェア)を日本市場で提供している。Wyseシンクライアントの特徴は①177×121×34ミリと超コンパクト設計②電源スイッチを押してから約3秒と超高速起動③通常のPCに比べ約1/10の低電力動作④シンクライアントであるにもかかわらずマルチメディア再生が可能⑤シンクライアントでUSBデバイスが使用可能でプラグアンドプレイができる。一方、日立ソフトの統制IT基盤サービス「SecureOnline」は、開発用IT基盤を必要な時に必要なだけ購入して利用できるオンデマンド型で提供され、システム開発に“ユーティリティコンピューティング”の概念を適用したサービス。これにより、イニシャルコストの削減、開発スケジュールの短縮、開発プロセスの統制などの効果を上げることができる。
現在、各ユーザーではデバッグ作業を円滑にいかに効率的に行うかが大きな課題となっている。これを実現するには開発環境の統一が欠かせないが、日立建機では日立ソフトの共通ソフト開発基盤を採用し、さらにセキュリティ対策としてシンクライアント端末を導入して、パートナー企業のデバッグ作業の効率化を実現させることに成功した。日立ソフトの共通ソフト開発基盤の利用ということは、SaaSの有効活用ということができよう。SaaSは単にコスト削減効果だけでなく、共通基盤を提供するツールであるという認識を持つことが、今後ますます重要な課題になってこよう。(ESN)