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◇企業システム◇米IBM、ロータス、マイクロソフト・ウインドウズ、Linux稼働環境提供へ

2009-02-16 16:18:46 | アプリケーション

 【アプリケーション】米IBMは、Lotusphereカンファレンスにおいて、「IBM Lotus Foundation Start1.1」「同Branch Office」を発表した。Lotus Foundationは社員5人ー500人規模の企業に、eーメール、オフィスアプリケーション、ファイル共有、バックアップ、復元などのコラボレーション機能を提供するが、新機能ではIBM Lotus Domino、Windows、Linuxのアプリケーションを使用できる環境を提供する。また、Lotus Foundationとゼロックスのマルチ機能プリンターを統合することも可能。さらに、オープンソースソフトウエア(OSS)であるIBM Lotus Symphonyは、現在までに全世界で300万以上のダウンロードを記録し、Microsoft Officeの代替製品の主流の一つに位置づけられるようになったが、今回、レッドハットはユーザーがマイクロソフト基盤のデスクトップから、Linux基盤のデスクトップへと移行することを支援する、IBMと共同発表した。これは高価格なプラットフォームからRed Hat Enterprise Linuxソリューション上のLotusへとユーザーを支援するのが狙い。 (日本IBM:09年2月2日発表)

 【コメント】IBMはOSSのロータス・シンフォニーを発表以来、企業のオフィス市場に向けて新しいロータスの浸透を図ってきた。そして今回、ロータス・ファウンデーション環境で、マイクロソフト・ウインドウズ、Linux、ロータス・ドミノの3つのソフトが稼働可能な環境の提供を本格的に開始することになった。ご存知のとおり、マイクロソフト・ウインドウズは全世界で圧倒的なシェアを誇っており、その優位性は揺らぎそうもないのが現状であろう。これによりマイクロソフト・オフィスソフトは事実上オフィスソフトの世界標準としての地位を確立してきた。ただ、これまで世界標準ソフトとしての認証を受けていなかったため、今後OSSのOpenOficeに対し不利な立場となるといわれてきたが、これもIEEEの認証を受けたため最大の課題もクリアできた。

 しかし、これでマイクロソフトのオフィスソフトが安泰かというと、最近の100年に一度といわれる世界同時不況の到来で、また、情勢が混沌となってきた。つまり、ユーザーはこれまで以上にコスト削減に取り組もうとしているため、IT資産の総点検に踏み切りつつある。既に、ユーザーの多くはサーバーでは仮想化技術に取り組むことなどにより、コスト削減を実現しようとしている。問題はPCをどうするかといことであるが、これまでマイクロソフト・オフィスに全面的に依存してきたユーザーの多くは、これといったコスト削減策は持っていなかった。ユーザーはマイクロソフトが新しいバージョンを出せばこれを導入するという習慣を長年続けてきたわけである。一方OSSのLinuxは、これまでデスクトップ環境に強いとはいえず、ユーザーが導入するにはかなりの勇気を要する。
 
 そんな状況の中、今回IBMが、ロータス、ウインドウズ、Linuxが同一環境で稼働可能な新しいロータスソフトを提供したユーザーへの影響は小さくない。OSSのロータス・シンフォニーは、このほど全世界で300万以上のダウンロードを記録したといい、ユーザーからの反応は上々のようである。ロータス、ウインドウズ、Linuxの環境が同時に走る環境なら、ユーザーも低価格のデスクトップLinuxへの移行もそう難しいことにはならないのではないか。そういう意味で今回の米IBMの発表は、OSSのリーダーのレッドハットとの協業を含め、今後のオフィスソフトの行方を占う意味から無視できない内容を含んでいるということが言えよう。(ESN)