【システム運用管理】米CAは、「グリーンITの未来」に関する調査結果を発表した。同調査は、ランダムに選ばれた米国および英国の大企業に対し合計252回のインタビューを実施し、的確性を保つために米国では年商5億ドル以上、英国の場合は2億5000万ポンド以上の企業のITに関する意思決定者250人以上を対象にした。これによると、回答者の多くが、環境保護や資源の有効活用につながるIT利用を推進するために、エネルギー効率の良いハード/ソフト・ソリューションやシステム自動化ツールの実装を施策の中に盛り込んでいる、と回答した。また、グリーンIT導入の最大の障壁はコストであるとしている。さらに、多くの企業がハードウエアや電力システムに注目していたが、今回の調査によってエネルギー効率の管理を支援するソフトウエアが極めて重要な役割を果たすということが明らかにされた。 (日本CA:09年2月6日発表)
【コメント】グリーンエネルギー政策は、米オバマ政権の最大のテーマだけに全世界の注目を集めているわけであるが、中でもグリーンITは緊急課題として早急な解決策を求められることは論を待たない。データセンターにおけるサーバーの消費電力は無視できないほどの消費量に達しており、また、PCも非稼働時における消費電力の抑制は、今後あらゆるところで求められてくるのは必死だ。データセンターはサーバーの消費電力に加え発熱を抑える空調設備による消費電力が加わることによって、二重の意味での省エネルギー化が求められることになる。企業にあってコンピューターシステムの責任部署である情報システム部門がいかにグリーンITに取り組むかは、企業内外から注目されることは避けられない。
このような状況下において米CAは、米国および英国の大手企業のIT担当者にグリーンITの取り組みの現状を把握するためのアンケート調査を行い公表し、次のような点を明らかにした。①米国の回答企業の約60%は、エネルギー効率を管理するためにデータセンターやサーバーにソフトウエアを適用②米国の回答企業の半数以上が、エネルギー効率を管理するためのソフトウエアをメインフレームに導入して効率を管理③現在米国では、ネットワーク管理ソフトウエアと仮想マシン・ソフトウエアを使用する企業の比率が英国より高い④米国では90%、英国では80%の企業において、IT予算にエネルギー効率を考慮したソフトウエア・ソリューションの導入費が盛り込まれているーなどである。
今回の調査は米国と英国の2国だけを対象に調査されたため、日本との比較は不明であるが、日本のグリーンITの現状は米英に比べ、多くの点で遅れているのは間違いないところではあるまいか。わずか、ネットワーク管理ソフトや仮想化ソフトの意識の点では、そう隔たりはないのかもしれない。しかし、IT予算の中にエネルギー効率を考慮したソフトウエアの導入の比率などは、多分、米英に対して日本の現状は高いとはいえまい。いずれにしても、今後IT予算の中にエネルギー削減対応を盛り込むことが、各企業の情報システム部門に求められてくることは確かなことである。(ESN)