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企業システム・レビュー・ネット

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◇企業システム◇日本オラクル、日本IBM、アシストの3社が仮想化アライアンスを結成

2008-07-21 17:20:41 | 仮想化

 【仮想化】アシスト、日本IBM、日本オラクルの3社は、オラクルのサーバー仮想化製品「Oracle VM」を活用した仮想化およびITインフラ領域において協業する。IBMのサーバー製品「IBM System x」「IBM BladeCenter」やストレージ製品「IBM System Storage」と、オラクルの仮想化製品「Oracle VM」を組み合わせ、機能検証や推奨構成を作成して、検証結果を、ベストプラクティスとして活用できるようにまとめ、ユーザーへのシステム提案活動において活用する。また、オラクル製品とIBM製品とを活用した仮想化技術およびITインフラ導入の普及・促進を目的としたコンソーシアム「アシスト・IBM・オラクル仮想化アライアンス」を7月10日に設立した。年内50社程度に参加企業を拡大させていく。 (08年7月10日発表)

 【コメント】仮想化技術は日を経るごとに注目が高まり、これから加速度的に導入ユーザーが増えることが予想されている。今回のアシスト、日本IBM、日本オラクルの3社によるコンソーシアムの結成は、このような背景を基に結成されたもの。3社の中、カギを握っているのは日本オラクルだ。これは仮想化ソフトとして、オラクルの「VM」を採用していることがこのことを物語っている。IBMも独自の仮想化ソフトを持っている。もともと仮想化技術はIBMのメインフレーム上で開発されたもので、IBMこそが仮想化ソフトの本家といえる。今回、このことをかなぐり捨ててでも、オラクルの仮想化ソフトを市場に広めようとしている日本IBMの真意はどこにあるのか。

 これは、OSの問題に当てはめてみると分かりやすいかもしれない。PC分野はクライアント、サーバーともにWindowsが市場を独占して、さしものIBMも身動きが取れない状況へ追い込まれたのはご存知のとおり。そこに降って沸いてきたのが、LinuxOSの登場だ。Lnuxは今急速に企業のサーバー用OSとして浸透を見せ始めている。長年Windowsの独占を指を咥えてみてきたIBMとしてはLinuxの登場はWindows反攻のまたとないチャンスとなった。現在に至るまでIBMはLinuxに力を入れ、このことはこれからも変わらないはずだ。一方、仮想化ソフト市場を見てみると現在ストレージ大手EMC傘下に入り経営基盤が強化されたヴイエムウェアがトップシェアを握っているほか、オープンソースのXenをシトリックスが買収し本格普及に乗り出している。マイクロソフトは独自の仮想化ソフトを持っているが、実はシトリックスはマイクロソフトの別働隊としての色合いが濃いソフト企業で、2社は共同してそれぞれの仮想化ソフトの普及を図りつつある。それに加えオラクルが他社を圧倒するDBユーザーをベースに仮想化ソフトを広げようとしている。

 このような現在の仮想化ソフト市場動向の中で、さしものIBMも自社の仮想化ソフトを独自に普及させようとしても、ヴイエムウェアを追撃できないか、下手をするとマイクロソフト・シトリックス連合に敗れ去る恐れも現実味を帯びてくる。このようなことから日本IBMは日本オラクルと手を組むことによって、劣勢を一挙に巻き返そうとしたことが、今回のコンソーシアム結成に至った背景といえるのではないか。今回「アシスト・IBM・オラクル仮想化アライアンス」とアライアンス名に社名を入れた。このようなケースはあまり前例がなく、何か、マイクロソフト・シトリックス連合への挑戦状のようにすら感じられる。(ESN)


◇企業システム◇富士通とマイクロソフトが共同で「富士通Hyper-V仮想化センター」を開設

2008-05-30 10:40:13 | 仮想化

 富士通とマイクロソフトは、富士通のPCサーバー「PRIMERGY」とマイクロソフトの仮想化ソフト「Hyper-V」による仮想化システムの構築を支援する「富士通Hyper-V仮想化センター」を、富士通の総合検証センター「Platform Solution Center」内に共同で設立した。同センターでは両社の持つ先進の技術と高信頼な製品による仮想化システムの設計・構築を支援し、安定した仮想化システムを迅速にユーザーに提供することにしている。(08年5月28日発表)

 【コメント】マイクロソフトの仮想化ソフト「Hyper-V」は現在、Windows Server 2008にベータ版が同梱されているが、正式版は08年8月頃に出荷が開始されることになっている。これまでマイクロソフトは「Virtual Server」と呼ぶ仮想化ソフトを提供してきたが、その存在感は薄く、このためVMwareに市場を奪われるのをただ見守ることしかなかった。そこで、満を持して開発したのが「Hyper-V」である。「Virtual Server」と今回の「Hyper-V」の違いは何か。「Virtual Server」はホストOSを必要とするのに対し、「Hyper-V」はホストOSを必要としないハイパーバイザー(仮想マシン・モニター)方式によっており、オーバーヘッドが少なくて済む。そして同方式が重要な点は、OSとハードの縛りから解かれ、仮想基盤上でアプリケーションが稼動可能になることである。これは何を意味するかというと、仮想化ソフト自身が、従来のWindowsやLinuxのOSに代わる存在になりうることを意味する。もし、マイクロソフトが仮想化ソフト市場に参入しなかったら、一挙に市場を奪われかねない。この意味からしても、マイクロソフトは今後、「Hyper-V」の普及に全力を投入することになろう。この一つの表れが今回の富士通との提携だ。

 マイクロソフトの仮想化ソフト戦略で見逃せないのが、オープンソースソフトウエア(OSS)の仮想化ソフトXenとの関係である。Xenはもともとゼンソース社が提供していたが、シトリックス・システムズ社がゼンソース社を買収したのに伴い、現在ではXenはシトリックス社から提供されている。このシトリックス社はWindowsの統合化ソフトで実績があり、以前からマイクロソフトと近しい関係にあったが、シトリックス社がXenを買収したのを受け、仮想化ソフト事業での提携を発表した。つまり、ここにきてマイクロソフトは、自社開発の「Hyper-V」とOSSの「Xen」の2つの仮想化ソフトを持つことになったわけである。

 これは何を意味するのか。マイクロソフトは今後、XenをLinux対策、とりわけレッドハット対策に使うと思われる。レッドハットはLinuxOSの世界的な普及の中で事業を拡大しており、現在、Windows市場への浸透が進んでいる。「エンタープライズ・リナックス5」からは、レッドハットは仮想化ソフトのXenを標準搭載し始めた。そこで、マイクロソフトとしてはシトリックス社を介して、XenユーザーすなわちLinuxユーザーとも接触が図ることができ、Linuxの侵食を少しでも防げるかもしれないし、逆に、LinuxユーザーにWindowsソフトを供給できる切っ掛けがつかめるかもしれない。いずれにしても、これからのマイクロソフトの仮想化ソフト戦略から目が離せない。(ESN)

 


◇企業システム◇米シトリックスと米NetAppがストレージ仮想化で戦略的提携発表

2008-05-05 09:12:08 | 仮想化
 シトリックス・システムズ・ジャパンは、米シトリックスと米NetAppがストレージ仮想化について戦略的な提携を発表したことを明らかにした。これにより、NetAppストレージソリューションの能力を完全に活用できるサーバー仮想化ソリューションの提供を開始する。同ソリューションにより、ストレージ設定とプロビジョニングを単一のコンソールから集中管理することで、仮想マシンの作成と管理をシンプルにすることができる。シトリックスが提供する仮想化ソフト「Citrix XenServer」はオープンソースが特徴で、ユーザーは仮想サーバーと物理サーバーの両方の環境下にあるストレージを同じように管理できるようになる。つまり、ユーザーは使い慣れたソフトウエアを活用して、1つの集中コンソールからサーバー仮想化機能を追加、管理できるようになる。(08年4月14日発表)

 【コメント】シトリックスは、OSSの仮想化ソフト「XenServer」を買収し世間をあっと言わせたが、いよいよ買収の成果が表面に表れてきた。その1つが今回のNepAppとのストレージ仮想化ソリューションでの提携だ。仮想化はサーバーおよびクライアントばかりに関心が集まっているが、大切なのはストレージであることが意外に忘れられている。まあ、忘れられているというよりは一番の難関なので、そう安易に発言できないのが実態であろう。それを、解決したのが今回発表されたソリューションで、XenServerが稼働する仮想サーバー環境下で、既存のNetAppストレージシステムにおいて、XenServerの管理コンソールから直接、データ管理とデータ保護機能のメリットを得ることができるようになる。

 ユーザーが仮想化を考える場合、サーバーの仮想化をまず考え、その次にストレージの仮想化をどうするかを考えるが、今回の仮想化ソリューションの大きな特徴は「サーバーとストレージの仮想化を同時に実現する」ことにある。あるいは、サーバーとストレージの仮想化を統合化し、相互の環境を変更することなく、システム全体の仮想化を実現できるところにありそうだ。

 これからは、ストレージの仮想化についてもっともっと議論が起こらなければならないと思う。(ESN)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%AE%E6%83%B3%E5%8C%96