20話 救援それとも
ミチとナツは全力で逃げていた。(怖い・・・怖い)顔が引きつる。
うまく10日は逃げれたのに・・・ダメ、もう足が・・・
中学2年生に成って新しい制服に喜んだのに大災害の津波。
仲良し6人組で生きてるのは2人だけ、みんな死んでしまった。
津波に怪我に病気に飢えて・・・そして襲われて。
避難集団から2人で逃げた、瓦礫を掻き分け食べ物探して、
ぼろぼろの制服、壊れた靴、ふけだらけの頭、垢まみれの体・・・
手足も骨が浮く・・・乞食以上にみじめよね、逃げながら涙が流れる。
ああ、もうだめ・・・行き止まり。
最後ならせめて傷ぐらいつけてやりたい、ああ私が男だったら・・・
崩れかけた住宅に逃げ込んで瓦礫を手に入口を睨んだ、同じくナツが並ぶ。
80m先で遅れてた1人が追い付くと立ち止まり4人で大声で笑ってる。
ゆっくり近づいてくる・・・怖いよ、くやしいよ・・・
10分前。
逃げてる2人を追いかける4人と言うことにモニターで気が付いた2人は
ドローンを40mに下げ逃げる2人をズーム・・・制服を見て互いを見た。
「ここは助けようぜ」タダシは直情的だ
「その前に、4人をズームさ」
「そうだよな、連中も銃を持ってるとやばい」
「・・・バットと鉄棒・・・」
「荷物も少ないし銃も無いな」
「良し、助けよう!」
「良いけど・・・向けて撃てるか?」
「・・・すぐ撃たないと殺されるよ」
「ああ、どうみても襲うのに慣れてるようだぜ」
「あの方向だと400mで行き止まりだよ」
「追い込んでる・・・」
「問答無用で銃殺、良いよね」
「良いぜ」
軽トラで回り込んでエンジンを止め、瓦礫を利用し行き止まりの住宅に死角
から接近、入口から10mで瓦礫に隠れ銃を手に息をひそめた。腰に予備拳銃。
汚れた2人が髪を振り乱し汗だくで逃げ込んで瓦礫を手に立つ。
(抵抗する気だ)目をかわしうなずく。
5mで二人が立ち止まり逃げ道を塞ぎ、もう2人が入口を超えた、
少女2人が振り回すが攻撃力とならない・・・
遊ばれて動きつかれた一瞬に手首をつかまれ押し倒された。
力の限り暴れるが両腕を頭上に抑えられスカートを剥がされ、右手が腰や
太ももをなぜ回す。身をよじりながら嗚咽しても笑いながらベルトを緩め
腰を落としてまさぐり続ける・・・
見張り役の2人が急かす
「おーい、早くしてくれよ、待つのは辛いぜ!」
ユウマが銃口を少し持ち上げタダシを見る、同じく銃口を上下に少し動かした。
ユウマが近い見張りを、タダシが遠い見張りを狙う。
車が衝突したような大音響が轟く、狙いは胴体。
特殊拳銃の威力は物凄い、腹のすべてが砕け散った。
二人が入口に走ると下半身裸の2人が手ぶらで逃げようと飛び出してくる。
片膝立で胴体を狙い、問答無用で銃殺。
少女の悲鳴は止んでいる・・・
(なに、なにあれ?助け・・・それとも)
(銃、銃よね・・・ヤバイやつ・・・平気で人殺しを)
下半身丸出しで両足を広げたまま声を失っていた
ユウマとタダシは困った、顔を見てるのに目に入るのは・・・
しばらくしてユウマが声をかける
「あのさ、服・・・着れば?」
「えっ、服?・・・ああー!」
(着ても良いんだよね・・・)
「あれ、持ってきてくれ」
「おう」
少女を50mほど現場から連れ出して待つと軽トラが来た。
2人は怯えたが連れだと判り少し安心。
水と食料を与えると無言で食いつく・・・
ポットの茶を4人で飲む。
ミチが諦めたような声をだした
「ねえ・・・あたし達・・・捕まったのかな?」
「捕まえた覚えは無いさ、好きな所に行けるよ」
「好きなところと言われても・・・そんなとこ・・・知らないわよ」
「そうよ、あいつらみたいなのがたくさん、いるわ・・・」
「酷くなるばかりよ」
「ねえ、あんた達、強いよ。困って無いみたい・・・」
「少し前は困ってたさ、まあ今はな・・・」
「あたし達、逃げることも、もう・・・食べ物も・・・」
言われなくても姿を見れば容易に判る、もうすぐ飢えと寒さで・・・
「ねえ・・・仲間に・・・ダメ?」
ユウマは考えた
(ぼろぼろだが目はまだ人間だよなあ・・・飯の用意も面倒だし)
「どうする?」
「ユウマに任せる、こういうのは苦手だぜ」
「なら、何日か様子見て仲間にするか決めるよ」
「それで良いわ、あの・・・ありがと」
「礼はいらない、助けたのはまあ勢いだから・・・」
(こいつら役立たずだったら・・・追放した後で・・・)
根拠地で簡易シャワー後、浮かれ騒いで無警戒で少女二人は熟睡中。
「よく眠れるよなあ」
「まったくだよ、姿が消えない・・・眠れないぞ」
「姿と言うなよ、忘れようとしてんのに」
食事、洗濯、掃除、服整理と確かに役立つ。
最初にライフルを教え、後で拳銃を教えた。
ユウマとミチ、タダシとナツの2人組が2個という部隊?が生まれた。
2台目の軽トラを手に入れ、2方向で活動、あそこを全部見られた少女と
少年で何日も周囲を警戒しながら生き抜けば自然に仲良し関係が出来た。
物資探索。
12歳少女サリが6歳少女ヒナと瓦礫のそばにうずくまってるのを保護。
物資は充分、ミチとナツが放置に反対し保護を主張、認めた。
(4人殺したし2人救えば数字では善人かな?悪影響が出たら・・・)
今度は少年3人の行き倒れ・・・飢え死に寸前、これも保護した。
拠点構えて1年と数か月、総勢15人の武装集団となっていた。
助けた少年の中に電子技術得意が一人、中波アンテナ取り付けて遠距離放送
受信に成功した。本人いわく、アンテナ使わなくても楽に受信できるはずと
首をかしげてるが・・・問題は内容だった。
被災者収容所の案内、近いのは琵琶湖近く。
拠点を放棄し車4台で大移動。
(不安はユウマとタダシ、何人も銃殺した事実・・・ばれたら・・・)
(でもいつかは大人の支配下に・・・政府が在るなら仕方ない)
(最悪は・・・人殺しで死刑かな・・・)
被災者収容所は混雑が酷い、歩きと車で列ができてる。
見た事ないけど軍隊的制服の者がテキパキ人々を処理していく。
「説明する!個人として隊員となるか家族として家で生きるかの二つだ!」
「あの・・・よく判らないけど・・・」
「簡単だ!集団を続けるか解散して散るかだ!」
「では・・・集団で・・・」
「良し!家族を選択と・・・家長名は?」
「えっ?ぼ、僕はユウマ」
「家長はユウマと、手続き終了、証明書だ。車両含め家族全員で右を進め!」
「判りました・・・」
不安いっぱいの仲間・・・
「右を進めと言われたよ」
「良し!行こうぜ」ほっとしたタダシが大声で指示した
同じような制服が証明書を確認、じろりと車両群を見て地図に赤印。
「連絡は8時、12時、18時に音響放送だ。行け!」
そこで暮らして数か月・・・
第二人事総局とかの命令で北に移動という・・・
(噂では北海道に町を作るのだと行く言うが・・・月が2個だし怪しい)
(だいたい銃を取り上げられないのが異常だよな・・・危険が在る?)
(全員が団結維持で結束してるなら何とか上手く・・・)