町工場 職人の声

職人と現場人間の想いを誰かに伝えたい!

小説「2023年日本転移」14話

2020年12月30日 | 小説

             14話 探索

母と妹はどうしてるだろうか・・・腹ペコで忘れていたことを思い出す。
もう何日前か記憶に無い、車で海津市方向に逃げて・・・車を動かせず歩いて
西に逃げた時、大勢の人の波ではぐれて・・・それっきり。
きっと、きっと生きてる。
山には大勢いたが大人達の怒鳴り合いがひどくなって一人で逃げ出した。
ここがどこだか正確には判らないが南の桑名市に、東に移動で弥富市当たりだ。
目がくらむような鉄橋の残骸をはいつばって渡って正解、あれは木曽川。
まだ誰も居ない・・・
巨大な建物は近くにないが残骸の集まりはあちこちに在る。
マンションを目印に記憶し探し始めた。
都合よくロープは見つからない、現代生活にほとんど使わないから当然だ。
運が良かった家なのか少し傾いてるけど潰されて無い家を見つけて当然入る。
誰も居るはずが無いと思うが様子を見ながら慎重に・・・
向かうのはキッチン。
無事だった冷蔵庫が二次元キャラに見えるほど嬉しい。

椅子に座ってペット水をゆっくり飲むのは何日ぶりだろう、ジュースも飲む。
卓上コンロは二つも在る、ボンベも3個入りが20個、災害用の買い置きだな。
惜しいけどペット水を鍋に入れ、袋入りのうどんを投入、こんなにもおいしい。
眠る気は無かったのだろうがウトウトが始まると床にずり落ち横たわった。
冷えてきた空気に身じろぎし目を覚ました、もう16時頃。
夜を過ごすと決めた。
居間に寝室と洋間。2時間の探し物を続けたら物資が大量、災害備蓄と言うやつ。
ペット水が60個、缶詰、ビスケット、小麦粉、米5キロが10個、他にも。
備蓄を持ち出す暇も無かったろうなあ・・・
ご飯を食べたい。
フタ付きの鍋に茶碗で2杯の米、2センチの水、どんぶりを逆さに上にペット水。
付きっ切りでコメを炊く。
ガスは火力調節が簡単だ、たき火だとまともに炊けるか判らない・・・

災害から2か月以内、卵は常温でも2か月以内なら卵焼きで食えるとネットで
悲惨老人が書いてたのを思い出した。
卵はどこの家でもあるはず持ち出して逃げる人は居ない、貴重な食い物。
炊きながら思う、缶詰に卵に味噌汁に海苔にご飯、もうすぐ食えるんだあ。
鍋の香りがたまらなくおいしそう、弱火にして・・・消して、15分待つ。
2か月ぶりの夕食は一人で食べてもゲームクリアの気分!

もうどうにでもなれ・・・他人のベッドだが俺には関係ねえ、ふとんで眠った。

 

 

 

 

 

 


コメントを投稿