小説「2023年日本転移」1話

          1話　2023年日本

国会の周辺を取り巻くのは怒りをみなぎらせたおとなしい国民、
国内工場は不採算に耐え切れず大企業工場はもれなく一時閉鎖だが
再開予定は無い。下請け工場は負債増大で廃業も出来ずに苦悩。
電子国際決済システムEEMRSQ、通称SQ条約成立により地球規模の
通貨統一によりすべての銀行が廃業、倒産の危機にある。
そのうえ銀行は多額の証券が債務不励行の連鎖により無価値確定。
貸付回収により無数の借入企業と個人が破産・・・

失業率は60％以上であるが消費税は2022年30％に変更された。
気象の変動によりアメリカ農業は低迷し輸出余力を喪失。
ハワイ大地震、スエズ大地震、喜望峰大地震、東シナ海大地震、
ドーバー大地震と続いた被害により港湾は壊滅し海上輸送力激減。
2022年地球人類の飢え死には統計で5億人以上・・・
公表厳禁だが日本の食料は残り備蓄4か月。原油2年分。
あらゆる資源の輸入を企業や商社に裏で指示し進めてきたが限界。
今後輸入出来る見通しは無い。

世界規模の被害は各国海軍にも及んだ・・・沈没した艦艇多数。
破壊された施設は艦艇修理さえ不可能、技術者も大勢死亡した。
すでに上陸作戦能力はどの国にも無い。
地震は航空機も襲った、激しい振動と異常地電流で致命的損害。
現在飛行できるのは地震発生時に飛行してた少数。
2023年5月、アメリカ政府は日本から完全撤収を決定。
物資や兵器をすべて残置し民間含めて人員だけを移送完了。
防衛省秘密報告では核兵器を含むが動作するかは不明。

日本も被害を受けた。
国民の死者2400万人、海岸都市壊滅、工場群に集計不能の大被害。
関門トンネル、青函トンネルは大規模修復工事中。
山岳トンネルも多数が修復中あるいは一時閉鎖。
ダム群は一部損壊したが大被害は水路に受けた、特に農業水路は
各所で分断され農業生産は大きく低迷する報告が確定。

2023年7月、政府は外国人を5000人以下とする人数制限で帰国命令
を出し強制実行。8月完了。
偵察衛星報告、樺太全島が沈下で水没を確認。
尖閣諸島が隆起し80キロ250キロの島に拡大。沖縄諸島も隆起確認。
沖ノ鳥島が隆起、直径100キロの円径に拡大。

政府秘密計画。
日本軍創設、陸上100個師団、工兵師団60個で国土修復。
国民救援隊創設、軽武装20個師団。医療と生存を確保。
長野に内陸造船所、長野と直江津間を2.6ｍ複々線建設決定。
原子力発電規制を全廃、企業報告を課すだけに変更。

人口と食料問題は計画さえ立てられ無い・・・

杉原総理の苦悩は続いた。