縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

リスボンのお勧めレストラン(ポルトガル紀行その2)

2015-10-20 00:01:54 | もう一度行きたい
 ポルトガル料理といえば、やはりバカリャウ(干した塩ダラ)抜きには語れない。一年365日、毎日違うレシピで食べられるという、その豊富な料理のバリエーション。目の前が海で、いくらでも新鮮な魚介類が手に入るのにポルトガル人は塩漬けのタラの干物が大好物。いわばポルトガル人のおふくろの味なのである。
 因みにポルトガル近海でタラは獲れない。タラは寒流の魚であるが、ポルトガルの横を流れるのは暖流の北大西洋海流。ポルトガル人は、はるか大航海時代の昔から、ノルウェー沖やカナダのニューファンドランド沖まで行ってタラを獲っていた。冷蔵技術のない時代、船での保存は塩漬け。長い年月を掛け、ポルトガル人のDNAに塩ダラ好きが刷り込まれて来たのであろう。
 また、この塩ダラ好きのせいか、あるいは昔も今も塩田での塩づくりが盛んなせいか、はたまた暑いせいか、ポルトガルの味付けは全体に塩辛い。苦手な方は「塩を少し控えめに」というポルトガル語を覚えて行くことをお勧めする。

 さて、DNAに塩ダラ信仰の刷りこみのない僕らは、ポルトガルでバカリャウではなく、海老、カニ、タコなどを食べていた。いくつかリスボンで気に入ったお店を紹介したい。

 ホテルで新鮮な魚介類を食べたいと言ったところ紹介されたのが ”Cervejaria Ramiro”(ラミーロ)。夕食時、店の前は大行列だった。観光客も多いようだ。列の後ろはシンガポール在住の中国人だったし、隣に座ったのはオーストラリア人のカップルだった。店は大衆食堂の雰囲気。安くて、とにかく量が多い。新鮮な魚介類をとことん堪能するにはもってこいの店だ。
 僕らは、茹でた海老、カニ(イチョウガニ?)、ペルセベス(カメノテ)を食べた。特にカニみそが旨い。カニのむき身をカニみそと少し酸味のあるソースであえたものが、甲羅いっぱいに詰っている。そのまま食べたり、パンに付けて食べたり、いい酒のつまみである。またハサミではなく、ハンマーが出てきたのにはちょっと驚いた。あと日本人としては、やはり日本のカニスプーンが欲しかった(日本から輸入すれば売れるかな?)。

 翌日はガイドブックを見て、”Solar dos Presuntos”(ソラール・ドス・プレズントス) へ。またまた海老、カニを食べた。この店の方が料理もインテリアも、それに店員も洗練されている。値段も若干高い。皿に無造作に海老・カニが置かれていたラミーロに対し、こちらは皿に氷が敷かれ、その上に海老・カニがきれいに並べられていた。カニみそのソースもラミーロとはちょっと味が違う。むき身の量の違いかもしれないが、昨日よりマイルドで、僕はこちらの方が好みだった。ここも人気店である。時間が遅かったので並ばずに入れたが、店は3階までいっぱいだった。

 リスボンでもう1軒、是非とも紹介したい店がある。それは”Belcanto”(ベルカント)。ミシュラン1つ星の店である。高級店なのに、僕らはベルカントに飛び込みで行った。乗ろうとしたポルトに向かう特急列車がいっぱいで、急に2時間の待ち時間ができたことから、リスボンでの最後の午餐を優雅に楽しもうと思ったのである。席が空いているか、短パンにポロシャツのラフな格好で店入れてくれるか等不安だったが、だめもとで店に行ってみた。外国人だと思い大目に見てくれたのかもしれないが、僕らは無事店に入ることができた。
 ここの料理、特に前菜は本当に芸術的だった。シェフの想像力というか独創性というか、見た目も味もその才能が感じられる料理だった(もっともこれは最近まで居たという日本人シェフのセンスかもしれないが)。意外性、良い意味での驚きの連続である。メインの子豚のローストも秀逸。パリッとした皮にジューシーな肉、それにオレンジのソースがよく合っている。
 実は、あまりに料理とワインが素晴らしかったため店を去りがたく、予約した特急列車に乗り遅れてしまった。幸い1時間後の特急に乗ることが出来たが、ベルカントは列車に乗り遅れてでも行く価値のある店である。