サンパウロの庶民的生活

わたしの半径1メートル以内で考えたことや感じたことをつづってみようと思います。

金融危機な毎日、ブラジルと日本の価値観

2009-01-14 02:38:20 | Weblog
 インターネットであることを検索していたら偶然、村上龍という人が編集を務めるエッセーのページに到達した。[JMM]FROM村上龍というタイトルだった。
  
 その中でキューバ人ミュージシャンの話題があって、彼らはいつも金融危機だという話で、いつも危機だからこのたびの危機も驚かないとの発言だったという。そして、妊婦さんが病院で受け入れ拒否をされて不幸があった事件について、「金持ちの国でそんな事件があるのが信じられない」とのこと。
 この2つのことは、ブラジルにいる人からも飛び出しそうな発言。
 
 結局、社会がお金の金額の高低を中心に物事の価値基準を生み出すような風潮があれば、金融危機に危機感を感じたり、非人道的な事件が起こったりするのではないかな??
 
 金融危機については、私も毎日金融危機だし危機が危機なのかさえ麻痺しているようなブラジル生活。何といって自分の意見を述べていいかは分からない。
 だけど、妊婦事件や、子育てに関する日本の環境には、自分なりの意見を持っている。もっとも、学生を終えてから日本の社会人生活を送ることなく、ブラジルでの生活を続けているわけで、日本の妊婦や子育て環境を知らない。ただ、想像はつく。その想像と、ブラジルでの子育て環境を比較して、どうしても発言させてもらいたい。

 少なくてもサンパウロには、びっくりするくらい高い病院もあるけれど、まったく無料の産院があり、環境もよい。しかも、無料の方が絶対自然分娩が基本。外国人の私でも、登録さえしておけば、いつでも駆け込めるし駆け込んだ。多分、不法滞在の外国人女性でも、緊急に駆け込めば、間違いなく、出産のお世話をしてもらえる(その後強制国外退去?と思いきや、子どもの国籍習得で無事に永住権も確保できるはず)。
 ブラジルはカトリックという精神に通じている故なのかどうかまでは私も言い切れないけれど、お金持ちはお金持ちで無限の贅沢をするけれど、貧乏な人でも金持ちと同じような贅沢を享受する権利が用意されているような気がする。つまるところ、ほんとうの贅沢は、家族や友人が無事に平安に過ごすことを重要視しており、それがあって、初めてほんとうの贅沢であるという価値だと思う。お金は幸せの要素ではあっても絶対ではない。当たり前のことで、日本の社会だってアンケートしたらみんなそのように言うと思う。だけど、赤信号、みんなで渡れば怖くない、、、みんなで渡っても怖いはずなのに、大きな流れのなかに入ってしまうとみんなで抜けられなくなっていく。
 もちろん、ブラジル人もお金が好きな国民で、日本人以上にお金の話をする。でも、お金はツールだということを今の日本よりもっとよく体得していて、麻痺していない。泥棒だって、自分のファミリーのために泥棒家業を行っているように思う(決して泥棒を肯定しないが、ファミリーのためゆえに泥棒業も減らないのかも)。
 そして、大変そうな人を見れば、自分ができる限りの手助けを当たり前のようにする。これは社会生活において人間にとってすごく重要なことだと思う。

 乳幼児期の子育てに関して、ブラジルで過ごせることがある意味ありがたいとほんとうに思っている。まず、隣近所の子どもと比較するような気分は一切ない。それどころか、大変な状況だと察するブラジルでの身近な友人、知人、通りすがりの人から毎日たくさん助けてもらっていて、不自由さとか、子どもがいるから堂々とバスやレストランで過ごせなかかったことはほとんどない。並んだ場所では絶対に堂々と優先的に前に並ばせてもらえる。むしろ、子どもがいるほうがみんなが助けてくれて、声をかけてくれて、もっと生もうか?なんて思わされる雰囲気がある。嘘じゃない。(だからといってぽんぽん生もうかというわけではないけれど。)
 
 私事で日本で過ごした数ヶ月間があったが、子どもと路上で歩いていても、めったに子どもを見て見知らぬ人からかわいいねといってくれることはいなかった。ブラジルはほとんど毎日あちこちで子どもを見て、微笑んでくれる人がいる。茶化してくれる。それだけで、子どもが生まれてよかったなあと思える。
 実に単純な簡単な少子化対策。社会が通りすがりの妊婦や子育て主婦、赤ちゃんに微笑みかけて、困っていればすぐに助けてあげること。お金??食糧輸入大国となっている日本の生命線は、もしかしてお金がないと食べれないのかなあ…いや、それは違うと思う。日本は、食に十分贅沢している国だと思う。小さな子どもにそんなにお金が要るだろうか?いらないと思う。服は友人同士でもらいあったりできる。せいぜい、母親のストレス発散のために時々は気晴らしするお小遣いの方が費用がかかるんじゃないか?

 とまあ、非常に独断的な私の意見。結論からいうと、人間にとって大事なものをブラジルと日本だったらブラジルの方が麻痺せず維持している気がする。日本だって失ったわけではないけれど、再認識したほうが、もっと今より社会全体が豊かになれる気がするけれど…私の妄想だろうか?