遙かなる透明という幻影の言語を尋ねて彷徨う。

現代詩および短詩系文学(短歌・俳句)を尋ねて。〔言葉〕まかせの〔脚〕まかせ!非日常の風に吹かれる旅の果てまで。

現代詩「切望」

2010-09-17 | 現代詩作品
切望



死ぬ前に
会いたい人がいる
と、いう男の切なる願望は
誰に話をしても
取り合ってもらえない
会いたい人の名前を聞けば当然のはずだ


晩年好まなかったと述懐している
命名者自身が
一番驚くことだろう
「充実と静謐が
 殆ど同義語の主人公の人生」は*
明治末の恋愛小説の枠組みをこえて
今もその名を保っているのか


いっときの妄想とはいえ
小説「それから」の代助(と、三千代)に
会いたいという、
男の切なる病気はなぜ発生したのか
口蹄疫のように
伝染しないことを願うだけだ
              

*(「日本文学全集・夏目漱石Ⅱ」作品解説中村光夫を引用)


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