遙かなる透明という幻影の言語を尋ねて彷徨う。

現代詩および短詩系文学(短歌・俳句)を尋ねて。〔言葉〕まかせの〔脚〕まかせ!非日常の風に吹かれる旅の果てまで。

現代詩「逃散」

2010-09-30 | 現代詩作品
逃散



ここを離れてどこの領地で人間らしく暮らせるだろうか
豊穣な詩の収穫を待ち望む領地の民は既に滅びてしまい
身を危機に晒してまで越境する理由はどこにあるのか。


輸血より真っ赤な血で染まる日本海の一瞬の冬の情景は
定型という疎隔感にさえ背を向ける領地なき放浪の詩か
逃走心を乗りこえて懐かしい因幡の白髪少年が兎になる


無知だ蒙昧だと蔑まされようと泥にまみれるほかになく
詩はこの世の領地の人のものではない今世紀もおそらく
来世紀も変わらず永遠のひとに捧げられる言葉であろう

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