絵、大好き・Yoh-Mのブログ

ジャズ聴きながら絵を描くYoh-Mが、自身の頭の整理の為に書くブログです。

ターナー絵画への感想

2013年10月29日 | アート・文化

前回、都美術館ターナー展へ出かけた事を書きましたが

今回は、ターナーの絵から感じ得た感覚を書いてみようと思います。

「ターナーはイギリスの美術史上最も偉大な画家とされています。」と、どの画集、美術教科書に紹介されていますが、実際どの程度我々は知っているでしょうか。私という小さな人間が感じたことを書くことでターナーの偉大さに想いを馳せてみます。

さて、美術書、画集等から受けるターナーをどのように見ますか?

説明書を読んで理解した気分になり、それで良し。と思う人は意外と多いのではないでしょうか。あるいは、「中世絵画だな~」と画集の小さな絵だけを見て終わっているのではないでしょうか。

又、美術史専門家が添え書く説明は、技術論を除き単に言い伝えられた評判等を言葉で使いまわしたり、年譜を追うことで絵と作者の背景を、追随しているものが多いです。

それでは、作者なり画法技術なり、更に描かれた時代を知る事へは結びつきません。

今回のターナー作品夫々にも説明書なるものが横にあって、皆さん、作品鑑賞より説明読みに一生懸命の方々が多かったです。

然しながら、無理もありません。

我々にとっては全く異なる文化、風景の中からターナー作品は生まれているのですから、深く追求する必要もなく、西洋絵画を鑑賞する者として、立ち位置に戸惑ったとしても、おかしくありません。

つまり、ターナー作品を語る場合、必須顔料の水彩とガヮッシュの材質さへ知る人少ないですから、尚更です。

但し、オペラグラスを片手に鑑賞する達人が何人か・・

ターナー作品こそ、離れて全体を見なければなりません。近くに寄って技術を堪能しなければなりません。・・オペラグラスで人混みを避ける鑑賞者がいるとは、達者な人がいるものです。

オペラグラスを持つ方の鑑賞態度に見るように、

ターナー作品の水彩スケッチ細部の素晴らしさが、大作に繋がる創作過程が、それこそが、ターナー作品の真髄なのです。

日頃から何らかの創作技術に関わっていないと理解しにくいのが、ターナー作品なのです。

説明書を順番待って一生懸命読んでも意味ありません。

ターナーが生涯描いた作品には一貫性が有ります。会場を見渡せば一目瞭然。いくら当時のパトロンを背景とした制作過程を思っても・・現代人の何人が太刀打ち出来る事でしょうか。

スケッチを大切にする事で小品が大作に負けない。

組み合わせる事で、時代と文化を伝えている。

200年も前に生きたターナーは抽象絵画さへ創作している。

・・・ここに人間の普遍性さへ感じさせ、私は身近に感じるのです。

日本人が見た事もない風景。ハリーポッター世界の風景がターナーによって描かれている。

これは、創作です。が、

その創作の為に、大切な事は基本だ。と教えている。

私が描くスケッチとターナー作品と・・正直、「同じような感覚の持ち主」と感じました。

ターナーが生きた時代に私がいれば同様なスケッチを描いたろうな。とも感じました。

ターナーにはパトロンがついていた。

恐らく、その時代にはターナーに負けず劣らず素晴らしい絵を描いた人達が多勢いたことは推測できる。それは、彼の作品を現代人が描いた。といっても違和感がないからです。

ターナーの名前を外して、現代絵描きの作品と並べても楽しい筈ですね。

が、彼は、200年も前に描き切ってしまっている。つまり、現代人の大きな壁となっているのです。

彼は奇をてらわず真面目に絵を描きなさい。と教えてくれている。

大きな作品を描くには、小品を組み合わせ創作しなさい。と教えている。

現代日本人、特に自称絵描き達には耳や目の、いや、頭の弱い処をついています。

抽象画らしきを描いて、絵らしきを描いて「アート」と称し売名に走る人が多い今日。

残念ながら、200年も前にターナーがアートなるモノを創作してしまってる。

実に痛快ですな。

ともかく、ターナーの小品を見よ。スケッチを見よ。

ダ・ヴィンチ、レンブラント、ルーベンス、フェルメールも現代生きる人間と変わらない 「人」 なんですね。

ターナーはそんな事をも伝えて呉れている気がします。

そうそう、最晩年の抽象のような絵について・・・

説明書きに「荒れた海とイルカ」とタイトルされている絵。

会場の多くの人達が、イルカを探していました 

残念ながら、ターナーは 「未完成の放り出した絵。だが、背景がおもしろく、潰したくない絵」 と、言っているんですよ。私にでも理解に及ぶのに・・・不思議です。

イルカ云々の題は恐らく後世に付けたのでしょう。どの画集にも「荒れた海とイルカ」と掲載されているようですが、無理強いもよいところ。バカバカしいと思うが、絵描きにとっては思うが壷。ターナーはあの世でセセラ笑ってるでしょうね・・・

自分の感性に自信を持ちたいものです。

さて、ターナーは素晴らしい作品を見せてくれました。近年の西洋絵画展では、私にとっては特筆でした。出来得れば、自然光で見たかったです。色彩はもっともっと美しかったでしょう。

ターナーを通して、西洋の人達の創造性の高さを確認しました。個を大切にし、文化に影響を与える西洋の人達。日本人とはどこが違うでしょう。

 東海大学名誉教授・大原茂之氏が、

日本伝統文化を継承してきた橋本雅邦と狩野派を伝承で語り、維新後の日本画技術衰退を、面白い切り口で比較論を述べてます。

西洋の個人主義に巻き込まれた日本文化の、芸術家達に独創性を失って行った。という現代日本社会への強い警告を含んだ比較論を述べておられる。

残念ながらまだ発刊には至っていないようですが、その内、大原氏の警告を若者達、企業人達が真摯に受け止める事を願ってます。

技術、信用、国力を劣化させるのはいとも簡単。という根拠を、文化を比較して語っている切り口は斬新であり忠告さへ含んでおり、彼には大いに期待しているところです。

さて、ターナーと大原氏に触発されましたので、

次回、私はターナーに代表される西洋文化と日本文化の比較をサワリだけ書いてみましょう。

大原氏には、ターナーと雅邦を比較し、さらなる社会文化論に結び付け、持論を進めて頂く事に期待したく思ってます。

・・・後世に伝わる書として完結に向かうと思います。

 

絵を描くことは、総合観察力、曳いては個人の成長と社会への貢献に結びつきます。

ターナー展は素晴らしかったです。

話は飛びますが、私の店舗で開催する、95歳・上田毅八郎画伯の作品展も素晴らしいです。

素晴らしいものには古今東西・共通点があるのですから、自らの感覚を磨いていきたいものです。

60、70はハナッタレ小僧。とは現代の言葉。まだまだ頑張ります。

では・・・ 

 

 

 

                         2013.10.30.

 

                              Yoh-M.

_dsc21

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 自由人へ
にほんブログ村


上野公園、都美術館

2013年10月17日 | アート・文化

16日、大型台風で特に大島が甚大な被害にあいました。

お見舞い申し上げます。

この台風の日は休業日。お陰様でと言いましょうか、早めに過ぎ去った為、時間を持て余すことになりました。

急遽、昼前の情報よりJRが動いていると確信し、かねてから行く予定にしていた上野・ターナー展の都美術館へ向かいました。

在来線、新幹線ともダイヤが大幅に遅れているために、ようやく乗れた在来線は超満員。久しぶりに昔のキュウキュウ詰電車でしたが、新幹線は自由席が空いていました。

台風の影響で東京に向かう人が少なかったと思います。

徐行運転とかで上野まで3時間近くかかり、昼食もそこそこに都美術館へ

博物館と西洋美術館へはよく出かけるのですが、都美術館へはホントに久し振り。入口からして記憶にないエスカレーターとは驚きました。

以前の印象とは異なりモダン(古い言い方)な感じで期待感が膨らみました。更に、チケット売り場では・・「本日は、シルバー年齢の方は無料」とのお言葉。

普段は気分を害す言葉なのに・・こういう場合は全く本当に素直に、免許証を提示しました。

ターナー展は更に期待が膨らみ入場したのでした。

ターナーの印象は実に沢山。

次回に・・いろいろ書きます。

それにしても、都美術館、シルバーデイとはおしゃれ。

でしたが、本当に多くのシルバーさんが展覧会場にいて、その殆どの人達が、絵の鑑賞をしていない人達に見えました。

私もそのシルバーさんの一人ですが、会場内では、あちこちで咳が聞こえたり、携帯電話が鳴ったり、加齢臭を感じたり・・・

大好きなターナーを鑑賞するためには、人に紛れ込まれないように、説明書きを読まないで、少し離れて見ることでした。ただし、時にポッカリと作品の前が空く時がありますから・・・

そんな時、ググウッと近づき、技術を楽しみました。

本来は、自然光で見るべきターナーの作品ですが・・

都の美術館では精一杯の工夫だったと思います。

次回のターナーについて、私の意見をお楽しみください。

 

 

                      2013.10.17.

 

                            Yoh-M.

5588

・・

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 自由人へ
にほんブログ村


お裾分け

2013年10月09日 | アート・文化

台風通過の日でした。

時に悪天候は素晴らしい風景を目の前に現してくれます。

今日は、生まれて初めての風景に出っくわしましたので、お裾分け。

暑さがまだまだ残る2013年10月。とはいえ高山の山小屋はそろそろ店じまい。

実は、雪の前の最後のチャンスと思い、富士7合目までの登山を決行しようと朝張り切って出かけたのですが、最近の天気予報・・意外と当たるのですね?

案の定、富士山麓は台風の影響で時折ものすごい突風。

仕方なく来週に延期と決断し、林の中で朝コーヒーを飲んで撤退しました。

家は静岡ですがそのまま引き上げるのもつまらないので、湖周辺散策を思い立ち本栖湖へ。

丁度窪んだ形になる本栖湖は、前、後ろから、更に右左から突風が巻くように凄まじかったです。

一番酷い時間帯が着いた頃のようでした。

僅かな時間でしたが、富士山を登るような厳重ないでたちで火山灰を踏み歩きました。

昼飯を湖眺めながら車中で。もちろん対岸どころか湖の半分位まで雲のカーテン。

「お日様が真上の頃だから、チョットだけでも顔を見せてくれないかな~」と願ったところ・・

人生、何年やっているかわかりませんが?

虹を眼下に見る光栄に授かりました。

生まれて初めて見る光景に唖然とし、かろうじて写真に撮りましたので、皆さんに見ていただきます。

悪天候の時、自然は思いがけない風景を見せてくれます。

                       2013.10.9.

                               Yoh-M

Niji2

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 自由人へ
にほんブログ村


秋です

2013年10月06日 | 窓の外

大変な猛暑が過ぎようやく秋が訪れていますが

疲れがドドドーッと出ています。

せっかく季節が良くなったので山にでもと考えているのですが、それまでのアクセスを思うと・・少し憂鬱になってしまいます。

一応準備だけは怠っていないのですが今年の暑さでだいぶやられた感じなので慎重です。

テレビでもお医者さんが、疲れ注意報を出していたので余計気になります。

さて、どこへ行こうか迷うところですが、近距離なら県境。遠距離なら奥秩父、八つ。

車も整備しなけりゃならない。オイル交換をさぼっていたから必須です。

           

ま、無理のないところを選択して行くようにします。

何せ、この夏は大変だったから気分転換です。

                  2013.10.6

                         Yoh-M.

 

Tachi331