額縁業界の現状について・・ 平成20年2月末現在
いわゆる団塊世代の大量退職に伴い、色々と将来に渡っての不安材料が出て来ていますが、私が扱う額縁の業界に於いても顕著な問題になってきています。
まず
環境問題からくる材料確保が以前より相当苦しくなりました。
中国がインドネシアのラミン材を無秩序に伐採し、あげく、それを輸入して「安い」と喜んでいた日本人民の無駄を伴った大量消費、ポイ捨て。
現在、ラミン材に関しては国連からも介入がなされましたが、インドネシアの相変わらずの環境破壊は続き、更に、中国はアフリカ政府役人に賄賂を渡す事で、貴重な黒檀材などの木材を動物環境をも省みず伐採に走っています。
その行き先は、我が日本です。
フランスはギニア等の旧植民地の森を丸裸にする伐採をしました。お陰でフランス家具には素晴らしい工芸品が残りましたが、現在となると日本同様、材料の手配に苦しんでいますし、ギニアではかっての森は戻っておりません。
こんな状況を見てカナダ政府はロッキー山脈の木材伐採を従来の1/5まで減らしていますから、良い木材の輸入は益々不能へと向かっています。
大阪西成区を中心にプラスティック成形家内工業が発達しましたが、ここもスーパー等の大量仕入れ大量販売の煽りを受け、盛期には200件とも言われた家内工業は1件残らず倒産ないし商売替えをしました。
これは、壁に掛ける鏡、手鏡、台所及び風呂場などで使う商品の消滅を意味します。が、この中から何軒かが韓国に渡り、現在、プラスティック小物商品は韓国製に頼っています。
そんな状況は日本人の行け行けドンドンの大量消費生活が大きく陰を落としています。
結果、私の扱う額縁業界では、まず、4年前の最大手から倒産が始まり今年に入っては画材を手広く扱う商社と金具メーカー、そして対写真業界の有力商社が揃って倒産しました。この間有力メーカー、卸専門業8社の消滅です。
団塊世代の定年をはじめとする趣味生活予備軍は、「これから」と云う時になって現在の状況に驚き気持ちも暗くなるでしょう。
何せ、絵とか工芸を始めたいと思っても、材料、画材、額縁を何処で求めるか相当難儀が予想される時代に突入した訳ですから。
そんな時代です。身から出たサビ。といっても若い人達には可哀想な気がします。