ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

音楽・本・映画・サッカーなど興味の趣くままに書いていきます。

9/5のランニング

2006-09-05 21:49:47 | ジョギング
晴れ。

朝走る。前半はゆっくりとイーブンペースで。
後半は負荷をかけてインターバルトレーニングのようにして走った。
朝はなかなか目が覚めなくて、調子が出ない。

今日の距離:3キロ
タイム:19分21秒

白洲次郎 占領を背負った男/北康利

2006-09-05 21:46:56 | 
先日武相荘に出かけたときにも書いたが、白洲次郎が今ちょっとしたブームになっている。
本人の著作や婦人の白洲正子のエッセイをはじめ彼にまつわる書籍がいくつか出ているが、本書はその決定版ともいうべき作品である。

戦前のケンブリッジ大学に留学し英語が堪能で、海外でのビジネス経験も豊富な国際派ビジネスマンの走りみたいな人だが、
それだけではなく吉田茂をはじめとした豊富な人脈と、そうした人脈を掘り当てる慧眼を持った人だったらしい。
英国流のジェントルと倫理感を行動様式としいわゆるプリンシプルを重んじた。
相手がどんなに年上だろうが偉かろうがプリンシプルを押し通し、悪いことは悪い、おかしなことはおかしいと平然と言えるタフネスさ。
あのマッカーサーをも叱り飛ばしたというエピソードさえある。
そんな爽快さとシンプルさが今もって評価されているのだろうか。
生き方のかっこよさもさることながら、長身痩躯で端麗な顔立ち。しかもお洒落とあってはこれだけブームになるのもうなずけよう。

しかし、そうした表面的なこと以上に私が興味を持ったのが、
憲法制定やサンフランシスコ講和条約など戦後日本のターニングポイントで
彼が黒子のような働きを見せることである。
それは決して教科書には出てこない歴史のもうひとつの側面であり、
吉田茂の側近として影のように存在した彼のありようを象徴するかのようである。

戦後60年を経て憲法論議がかまびすしいが、そもそも今の日本人で現憲法の生い立ちを知っている人がどれだけいるだろうか。
改憲なのか護憲なのかを主張する前にどういう経緯であの憲法が生まれたのかを知ったうえで議論を始めるべきではないかと思う。

憲法制定に当たって白洲の果たした役割は非常に大きいことは論を待たないが、全体に手放しの礼賛振りは鼻につく。
GHQとの交渉にしろ講和条約でのエピソードにしろ、もう少し多角的に見てみる必要はあると思う。

海軍軍人であった井上成美は自らの戦争責任を潔しとせず、戦後一生を蟄居して過ごした。
白洲次郎は在野の民間人だったために戦後の日本の再建を担っていった。
原則を重んじ自らに厳しい気骨ある知識人として、私にはこの二人には共通点が多いように思えるのだが
戦時中の立場の違いからこれほどまでに戦後への関わり方が変わってしまう。
これも戦争のひとつの側面なのだろうと思う。

こうした日本人たちのことを陳腐なヒロイズムで祭り上げてしまってはいけないのだと思う。