・「人々が自分に対して持っている、自分に都合のいい思考の錯覚」は、一種の資産として機能するということだ。これを「錯覚資産」と呼ぶ。
・思考の錯覚を理解した方がよい理由
1) 詐欺に引っかからないようにするには、詐欺の手口を知っておく必要がある。
2) 自分の周囲の人たちを、詐欺から守るため
3) 誰に騙されたわけでもないのに、知らず知らずのうちに、有害な思考の錯覚に陥ってしまうことがある。
4) 錯覚資産がないと、実力をなかなか伸ばせないからだ。
・「実力がある」から、よいポジションを手に入れられるのではなく、「実力があると周囲が錯覚する」から、よいポジションを手にいらられているという部分が大きいのだ。
・錯覚力タイプは、エリートコースに乗り、いい先輩の丁寧な指導を受け、重要な仕事を任され、みんなに助けられ、実力アップの機会に恵まれる。実力タイプは、数年後に廃棄が決まっている老朽化システムのお守りや雑用ばかりさせられ、ろくな経験を積めず、実力が伸び悩む。
・誰もが錯覚資産をいう悪魔の力を駆使しているこの世界では、錯覚資産なしには、自分の人生の活路を切り開くことはできないのだ。
・老人ホームの老人に、観葉植物を配った。
老人のうち半数では、職員が観葉植物の世話をした。残りの老人は、自分で観葉植物の世話をした。
6か月後。
職員が観葉植物を世話した老人の30%が死亡していた。一方で、自分で観葉植物の世話をしている老人のうち、死亡したのは15%にとどまった。
・老人ホームの老人を、学生ボランティアが何度か訪問した。
半分の老人は、その学生ボランティアが訪問する日時を、その老人が決めた。残りの半分の老人は、自分で日時を決められなかった。
2か月後
日時を自分で決められた老人は、そうでなかった老人に比べて、より幸せで、健康で、活動的で、薬の服用量が少なかった。
その数か月後、学生ボランティアの訪問日時を自分で決めた老人の死亡数が極端に多いと知らされ、研究者は愕然とすることになった。
これらのことは、「自分で物事をコントロールする」ということが、心身にどのような影響を与えるを調べる研究だった。
ひとたびコントロールできた老人は、そのコントロールを失うと、酷く死にやすくなることがわかったのだ。
・人間は、コントロールしたいという、強い欲求を持っている。コントロールできると、より幸せで、健康で、活動的になる。
・「成功するかどうかはコントロールできない」という現実を直視するよりも、「成功するかどうかはコントロールできる」という幻想の中で生きたほうが、はるかに幸せなのだ。
しかし、「成功するかどうかはコントロールできる」という幻想に浸れば浸るほど、逆に成功確率は下がっていく。なぜなら、現実が見えていないと、成功確率を下げるような選択をし続けてしまう。
実は、このジレンマの解決策の1つが、前述した「運の運用」なのだ。
・「自分が死んだときに、臓器提供する」と意思表示している人の割合は、次のようになる。
ドイツ 12%
スウェーデン 86%
オーストリア 100%
デンマーク 4%
正解は、「デフォルト値の違い」だ。
臓器提供への同意率の高い国では、「提供したくない人」がチェックを入れなければならない。チェックを入れない人は、臓器提供するとみなされる。同意率の低い国は、その逆なのだ。
・恐ろしいことに、人間は、判断が困難なとき、自分で思考するのを放棄して、無意識のうちに、デフォルト値を選んでしまうことが多いのだ。
・「『大腸がんの人』の98%は、この検査で陽性になる」と「『大腸がんじゃない人』の2%は、この検査で陽性になる」
20代後半の男性は、日本に320万人くらいいる。そのうち、大腸がんにかかっている人は70人もいない。
アメリカで行われた実験
スティーブという人がいる。その人の性格は次のようなものだ。
「他人に関心がなく、現実世界にあまり興味がなく、物静かでやさしく、秩序や整理整頓を好み、細かいことにこだわる」
スティーブは、図書館の司書でしょうか? ⇒80%
それとも、農家のひとでしょうか? ⇒30%
でも、アメリカでは、司書1人に対して農業従事者は20人以上いる。
1人×0.8=0.8人
20人×0.3=6人
つまり、実際には、スティーブは農業従事者である確率の方がずっと高い。
1) 人間の直感は、「思い浮かびやすい」情報だけを使って、判断をする。
2) 人間の直感は、正しい判断に必要な情報が欠けていても、情報が欠けているという感覚を持たない。
・利害と感情と欺瞞は、錯覚を育て、守り、覆い隠し、日常の薄皮一枚下で、大繁殖させるのだ。
・思考の錯覚のまとめ
1) ハロー効果
2) 少数の法則(統計的には、ぜんぜん有意といえないようなごく少数のサンプル数のデータから、そのデータが示す法則性が真実だとおもいこんでしまうこと)
3) 運を実力だと錯覚する
4) 後知恵バイアス(物事が起きてから、自分はそれが起きることを予測していたと考える傾向)
5) 利用可能性ヒューリスティック(脳がすぐに利用できる情報だけを使って答えを出すことだ)
6) デフォルト値バイアス(取りうる選択肢の中で、過剰にデフォルト値を選んでしまう傾向)
7) 認知的不協和の理論(自分の中で矛盾や葛藤があるとき、無意識のうちに、その矛盾を解消しようとする)
8) 感情ヒューリスティックス
9) 置き換え(答えるのが難しい質問を突き付けられると、無意識のうちにそれを簡単な質問に置き換え、簡単な質問の答えを、元の難しい質問の答えだと思いこむ認知バイアス)
10) 一貫して偏ったストーリーを真実だと思いこむ(すべての情報を与えられるより、一貫して偏った情報だけを与えられたほうが、魅力的で説得力があり正しいと感じる認知バイアス)
・錯覚資産には次の3つの次元がある。
1) 錯覚の種類
2) 錯覚の強さ
3) 錯覚の範囲
・現実世界は、「実力が正しく評価される健全でフェアで気持ちのいい世界」なんかじゃない。思考の錯覚のの泥沼の中で、錯覚資産という卑怯な武器で殴り合う、油断のならないジャングルなのだ。
感想;
勘違いさせる力、それも大きいと思いました。
人事評価は難しいです。
人によって異なっています。
また評価する人の力にも左右されます。
実力以上に高く評価され、よい仕事に就くと、それを体験して力を付けます。
そのチャンスを与えられない人は、力があっても伸ばすことができません。
ある部署に一番よくできる人がいました。
その部長がその人を他の部署に出しませんでした。
自分にとって助かるから。
人事から本社に1人出すように言われました。
それはとてもよい異動でした。
その部長は二番目にできる人を出しました。
それから異動した人はそのチャンスを生かし出世しました。
しかし、部長に留められた人は出世できませんでした。
この部長は人材育成よりも、自分のことしか考えていなかったのです。
勘違いさせる力、恋愛でも同じかもしれません。
もてる女性は男性に勘違いさせます。
スキンシップをしたり、気があるようなそぶりを、自然にしている女性がいます。
男性は、自分に気があるのかなと思って声をかけます。
最近の男性は断られるのが怖くて声をかけなくなっています。
でも勘違いした男性は声をかけます。
女性がお化粧や服装、髪型でよりきれいにする一因は勘違いさせるためでもあるのではないでしょうか?
もちろんきれいでいたい。身だしなみというのもありますが。
勘違いさせる力を磨くことも必要かなと思いました。
そして勘違いで巡ってきた運。
自分はそれはできないとか、力がないとか思わずに、その運を掴むことにかけてみることが、未来を切り開くことになるのではないでしょうか。
「有縁を度すべし」という宗教用語があります。
様々な縁があります。
それを放っておくとその縁は生かされません。
度すべし。その縁を生かして行動するとそれは未来を切り開く大きなきっかけになるのではないでしょうか。
大きなことをなした人は縁を上手く活用しているように思います。
・思考の錯覚を理解した方がよい理由
1) 詐欺に引っかからないようにするには、詐欺の手口を知っておく必要がある。
2) 自分の周囲の人たちを、詐欺から守るため
3) 誰に騙されたわけでもないのに、知らず知らずのうちに、有害な思考の錯覚に陥ってしまうことがある。
4) 錯覚資産がないと、実力をなかなか伸ばせないからだ。
・「実力がある」から、よいポジションを手に入れられるのではなく、「実力があると周囲が錯覚する」から、よいポジションを手にいらられているという部分が大きいのだ。
・錯覚力タイプは、エリートコースに乗り、いい先輩の丁寧な指導を受け、重要な仕事を任され、みんなに助けられ、実力アップの機会に恵まれる。実力タイプは、数年後に廃棄が決まっている老朽化システムのお守りや雑用ばかりさせられ、ろくな経験を積めず、実力が伸び悩む。
・誰もが錯覚資産をいう悪魔の力を駆使しているこの世界では、錯覚資産なしには、自分の人生の活路を切り開くことはできないのだ。
・老人ホームの老人に、観葉植物を配った。
老人のうち半数では、職員が観葉植物の世話をした。残りの老人は、自分で観葉植物の世話をした。
6か月後。
職員が観葉植物を世話した老人の30%が死亡していた。一方で、自分で観葉植物の世話をしている老人のうち、死亡したのは15%にとどまった。
・老人ホームの老人を、学生ボランティアが何度か訪問した。
半分の老人は、その学生ボランティアが訪問する日時を、その老人が決めた。残りの半分の老人は、自分で日時を決められなかった。
2か月後
日時を自分で決められた老人は、そうでなかった老人に比べて、より幸せで、健康で、活動的で、薬の服用量が少なかった。
その数か月後、学生ボランティアの訪問日時を自分で決めた老人の死亡数が極端に多いと知らされ、研究者は愕然とすることになった。
これらのことは、「自分で物事をコントロールする」ということが、心身にどのような影響を与えるを調べる研究だった。
ひとたびコントロールできた老人は、そのコントロールを失うと、酷く死にやすくなることがわかったのだ。
・人間は、コントロールしたいという、強い欲求を持っている。コントロールできると、より幸せで、健康で、活動的になる。
・「成功するかどうかはコントロールできない」という現実を直視するよりも、「成功するかどうかはコントロールできる」という幻想の中で生きたほうが、はるかに幸せなのだ。
しかし、「成功するかどうかはコントロールできる」という幻想に浸れば浸るほど、逆に成功確率は下がっていく。なぜなら、現実が見えていないと、成功確率を下げるような選択をし続けてしまう。
実は、このジレンマの解決策の1つが、前述した「運の運用」なのだ。
・「自分が死んだときに、臓器提供する」と意思表示している人の割合は、次のようになる。
ドイツ 12%
スウェーデン 86%
オーストリア 100%
デンマーク 4%
正解は、「デフォルト値の違い」だ。
臓器提供への同意率の高い国では、「提供したくない人」がチェックを入れなければならない。チェックを入れない人は、臓器提供するとみなされる。同意率の低い国は、その逆なのだ。
・恐ろしいことに、人間は、判断が困難なとき、自分で思考するのを放棄して、無意識のうちに、デフォルト値を選んでしまうことが多いのだ。
・「『大腸がんの人』の98%は、この検査で陽性になる」と「『大腸がんじゃない人』の2%は、この検査で陽性になる」
20代後半の男性は、日本に320万人くらいいる。そのうち、大腸がんにかかっている人は70人もいない。
アメリカで行われた実験
スティーブという人がいる。その人の性格は次のようなものだ。
「他人に関心がなく、現実世界にあまり興味がなく、物静かでやさしく、秩序や整理整頓を好み、細かいことにこだわる」
スティーブは、図書館の司書でしょうか? ⇒80%
それとも、農家のひとでしょうか? ⇒30%
でも、アメリカでは、司書1人に対して農業従事者は20人以上いる。
1人×0.8=0.8人
20人×0.3=6人
つまり、実際には、スティーブは農業従事者である確率の方がずっと高い。
1) 人間の直感は、「思い浮かびやすい」情報だけを使って、判断をする。
2) 人間の直感は、正しい判断に必要な情報が欠けていても、情報が欠けているという感覚を持たない。
・利害と感情と欺瞞は、錯覚を育て、守り、覆い隠し、日常の薄皮一枚下で、大繁殖させるのだ。
・思考の錯覚のまとめ
1) ハロー効果
2) 少数の法則(統計的には、ぜんぜん有意といえないようなごく少数のサンプル数のデータから、そのデータが示す法則性が真実だとおもいこんでしまうこと)
3) 運を実力だと錯覚する
4) 後知恵バイアス(物事が起きてから、自分はそれが起きることを予測していたと考える傾向)
5) 利用可能性ヒューリスティック(脳がすぐに利用できる情報だけを使って答えを出すことだ)
6) デフォルト値バイアス(取りうる選択肢の中で、過剰にデフォルト値を選んでしまう傾向)
7) 認知的不協和の理論(自分の中で矛盾や葛藤があるとき、無意識のうちに、その矛盾を解消しようとする)
8) 感情ヒューリスティックス
9) 置き換え(答えるのが難しい質問を突き付けられると、無意識のうちにそれを簡単な質問に置き換え、簡単な質問の答えを、元の難しい質問の答えだと思いこむ認知バイアス)
10) 一貫して偏ったストーリーを真実だと思いこむ(すべての情報を与えられるより、一貫して偏った情報だけを与えられたほうが、魅力的で説得力があり正しいと感じる認知バイアス)
・錯覚資産には次の3つの次元がある。
1) 錯覚の種類
2) 錯覚の強さ
3) 錯覚の範囲
・現実世界は、「実力が正しく評価される健全でフェアで気持ちのいい世界」なんかじゃない。思考の錯覚のの泥沼の中で、錯覚資産という卑怯な武器で殴り合う、油断のならないジャングルなのだ。
感想;
勘違いさせる力、それも大きいと思いました。
人事評価は難しいです。
人によって異なっています。
また評価する人の力にも左右されます。
実力以上に高く評価され、よい仕事に就くと、それを体験して力を付けます。
そのチャンスを与えられない人は、力があっても伸ばすことができません。
ある部署に一番よくできる人がいました。
その部長がその人を他の部署に出しませんでした。
自分にとって助かるから。
人事から本社に1人出すように言われました。
それはとてもよい異動でした。
その部長は二番目にできる人を出しました。
それから異動した人はそのチャンスを生かし出世しました。
しかし、部長に留められた人は出世できませんでした。
この部長は人材育成よりも、自分のことしか考えていなかったのです。
勘違いさせる力、恋愛でも同じかもしれません。
もてる女性は男性に勘違いさせます。
スキンシップをしたり、気があるようなそぶりを、自然にしている女性がいます。
男性は、自分に気があるのかなと思って声をかけます。
最近の男性は断られるのが怖くて声をかけなくなっています。
でも勘違いした男性は声をかけます。
女性がお化粧や服装、髪型でよりきれいにする一因は勘違いさせるためでもあるのではないでしょうか?
もちろんきれいでいたい。身だしなみというのもありますが。
勘違いさせる力を磨くことも必要かなと思いました。
そして勘違いで巡ってきた運。
自分はそれはできないとか、力がないとか思わずに、その運を掴むことにかけてみることが、未来を切り開くことになるのではないでしょうか。
「有縁を度すべし」という宗教用語があります。
様々な縁があります。
それを放っておくとその縁は生かされません。
度すべし。その縁を生かして行動するとそれは未来を切り開く大きなきっかけになるのではないでしょうか。
大きなことをなした人は縁を上手く活用しているように思います。
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