今回はねむりねこ
家のネコ騒動のお話を。
先週の日曜日に地元のネコ保護団体(Queenstown Cat Rescue)から、路上生活をしていたネコを引き取った
灰色で四本の足に白い靴下をはいた短毛雑種のオス
で、名前を「たま」と付けた。
たまとは、日本語では一般的なネコの名前だけど、先住民族マオリの言葉では、「少年」「息子」という意味があるんだって。なるほど、オスネコにぴったりの名前だし、日本語を話さない人たちにも呼びやすいので気に入った。キーウィ(ニュージランド人の愛称)やオージー(オーストラリア人の愛称)の友達には
「『たま』ってどんな意味?」
って聞かれるので、
「ネコだけにつける名前で、人や犬には絶対つけないの」
と答えると「へえぇっ」
と目を丸くする。Pussy Cat/Pussy/Puss(どれもネコの愛称)だのMoggy(年を取ったネコの呼び名)だの、ネコの呼び名が色々ある英語圏だけど、ネコ専用の名前というのはないのは面白いよね
「避妊手術を受けた跡があるから、以前は人に飼われていたのが、飼い主の引っ越しで置き去りにされたのね」
とネコ保護団体主催者のルースが言っていた。季節労働者の多いクイーンズタウンでは、残念なことにこの手の話を時々耳にする。路上生活が長かったせいか、物音にとても敏感で怖がりだけど、性格はとてもおとなしく、なでたり抱き上げたりしてもいやがらず、とってもいいコ
「オスの成猫の場合だとね、新しい住処に慣れるまで3~4週間みた方がいいから、その間はたまを家から出さないでね」
とルースに言われた。日本ではネコを室内飼いにすることも多いらしいけど、ニュージーランドでは、ネコは好き勝手に家の内と外を出入りするのが普通
先進国ではペットを飼っている割合が一番高いお国柄だから、隣近所のネコが庭をうろちょろしてても誰も気にしない。そんなことにいちいち目くじらを立ててる人がいたら、きっと常識を疑われるだろう。わが家には、元々ネコドアがついていたので、それなら開かないようにしなくちゃと、段ボール紙を四重に挟み込んで開かないようにした。
自他を認めるネコ好きなのだけど、自分でネコを飼うのは初めてなのでとても嬉しかった。家族の一員として永く仲良く付き合おうと思った。同居している友達もネコ好きで、家にいる時は文字通りみんなでたまをネコ可愛がり
した。
はじめは物音を怖がって、カーテンの陰に隠れてばかりいたたまも、徐々に人に慣れて、3日目には
の膝の上で喉を鳴らしながら眠るようになった。愛情深い性格なのか、
の手をペロペロとなめた。かわいいなぁ、このコ
「これまで寂しくて、心細い思いをたくさんしたんだね。でも今は、暖かいお家と、優しい人たちがいるから、何にも心配しなくていいんだよ」
と話して聞かせた。もう少し慣れたら、写真入りでブログに紹介するからね、と。
だのに..... 飼い始めてわずか4日目に脱走してしまった
厚紙で何重にもして塞いだ、ネコドアをぶち壊して。朝起きて、壊れたネコドアを見た時のショックったらなかった
。前の晩、あんなに嬉しそうにしてたのに。どうして?
「たまぁ、たまぁ」
名前を呼びながら庭や近所を探したけど、どこにも姿が見当たらない。さあ、どうしたものか。
地元のラジオ局に電話して「行方不明のペット(Pets on Loose)」コーナー(←こういうのがあるのよね、ニュージーランドには
)で放送してもらうようにお願いした。獣医さんに電話して、もしたまが保護されて届けられたら連絡をくれるようお願いした。それから.... 件のネコ保護団体にも連絡して、協力をお願いしたら
「こっちの連絡網にもメールで知らせるわね。Facebook(Mixiのインターナショナル版みたいなの)にもアップとしくわ。ワナを仕掛けてみる? よかったら貸すわよ」
と申し出をもらい、ケージ型のワナを借りた。ルースは、フルタイムで働く傍らネコの保護活動をしているからとても忙しいのに、いろいろ気にかけてくれて本当に感謝している。写真入りの迷いネコのビラを100枚作って、近所の家々に配り歩いた。
いなくなって今日で1週間が過ぎ、まだ発見の連絡はない。最後の手段で、地元の新聞にも広告を打ち、今日、それが写真つきで載った。
たまは、一体どこに行っちゃったんだろう。路上生活に慣れてしまって、家の中に閉じ込められるのがそんなに不快だったのかなぁ。たまが、ひょっこりと戻ってきてくれるのを心待ちにしている
一家である。