明日へのヒント by シキシマ博士

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「河童のクゥと夏休み」 なぜ人間は、こんなに愚かなんだろう…

2007年08月25日 12時44分50秒 | 明日のための映画
河童のクゥと夏休み」。このタイトルから、のどかな日本情緒あふれる映画を想像していたら大間違いでした。
やはり、「クレヨンしんちゃん~嵐を呼ぶモーレツ!大人帝国の逆襲~」の原恵一監督。
ここでも、人間社会を痛烈に風刺しています。

自分の棲む沼を干拓しないよう懇願した河童は、侍の刀によって敢え無く殺される。
それを見ていた子河童は、直後に起きた地震によって地中に閉じ込められる。
それから300年後の現代。小学生・上原康一が偶然見つけた石の中から、その子河童は姿を現す。
蘇ったその河童は〝クゥ〟と名付けられ、上原家に密かに居候させてもらうことになる。
しかし、クゥにとって現代社会はけっして住み良いものではない。
上原家に河童がいるという噂はしだいに広まり、ある日、週刊誌のカメラマンに写真を撮られてしまう…。
(138分)


確かに、タイトルから想像できるような、自然保護や環境問題がしっかりと盛り込まれた映画でもあります。
が、それはこの映画の一要素に過ぎませんでした。
序盤は、よくありがちな、少年と架空の生き物との交流物語。
ところが、ファミリー映画だと思って油断していると、とても辛辣な問題を提起されます。
いじめ・差別・自分さえ良ければ…といった人間の嫌な部分が、とても生々しく描かれています。
とりわけ、マスコミの加熱報道と、何も考えずそれに群がる野次馬たち。
人間の愚かな部分をこれでもかというほど露骨に描いています。
けれど、これは誇張ではなく、たしかに我々自身のことなのです。
古くはカルガモ騒動、そしてタマちゃん、レッサーパンダの風太くん。
無責任に騒ぐだけ騒いで、飽きればそれっきり。
この身勝手さ。タマちゃんや風太が、もし口をきけたら何と言うでしょう…。
この映画では、クゥと上原家の飼い犬〝オッサン〟の会話の中に、それを窺い知ることができます。
そして、オッサンは人間の愚かさの犠牲者となっていきます。
クゥも絶望しかけますが、天空に現れた龍の導きによって、そんな愚かな人間をも許すことにします。
この場面には涙を押さえることができませんでした。
申し訳がない。自分も愚かな人間の一人として謝りたい。そう思わずにはいられません。

義理堅く、慎ましく、自分より周囲のことをいつも気遣うクゥ。
それこそが、この世界の片隅に生きることを許される者として、本当は誰もが守らなければならない最低限のルールのはずです。
この世界は自分(人間)だけのものではないのだから。

映画は一応の最善策によって決着しますが、本当にそれで良かったのでしょうか…?
人間は相変わらず、他人の痛みがわからない愚か者のままです。
もっと本当に、真剣に、まじめに考え直さなくちゃいけない。
そんな余韻を強く残す映画でした。
必見です!



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