明日へのヒント by シキシマ博士

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「四十九日のレシピ」 人生を満たすもの

2013年12月04日 13時52分34秒 | 明日のための映画
一昨年(2011年)にNHKで放送されたドラマ版がけっこう好きだった私としては、この映画版を見る前は期待と不安が半々でした。
で、観終わっての感想は、「観て良かった。大満足!」です。

四十九日(しじゅうくにち)と言うのは、まだこの世に残っていた死者の魂が、いよいよあの世へ旅立つ日。
そして、レシピという言葉には、料理の作り方のほかに処方箋という意味があるんだそうです。
伊吹有喜さんの原作を私は未読ですが、ファンタジー色が濃いらしいですね。
映像化された作品は、その原作よりファンタジー色は薄まり、現実味のある話になっているようです。
が、ドラマ版・映画版とも展開がほぼ同じであることから察するに、原作の基本的な部分は踏襲しているのでしょう。

愛知県に住む熱田良平(石橋蓮司)は、二週間前に妻の乙美を亡くして生きる気力を失っていた。
そんな良平のもとに、突然、イモと名乗る派手な身なりの娘(二階堂ふみ)が訪れる。
イモは生前の乙美に世話になっており、乙美の四十九日の準備を手伝いに来たと言う。
時を同じくして、結婚して東京で暮らしていた良平の娘・百合子(永作博美)が、不倫中の夫に離婚届を残して実家に戻ってくる。
さらに日系ブラジル人の青年・ハル(岡田将生)も加わる。
乙美の遺言「自分の四十九日には大宴会をしてほしい」を実現すべく、4人の奮闘が始まる…
(監督:タナダユキ 129分)


四十九日を迎えるにあたり、乙美の生きた証しを年表にしようと思いついた百合子と良平。
しかし実際に年表の作成に取りかかると、空白ばかりで埋まらない。
(良平と乙美は再婚であり、百合子は血の繋がらない乙美に対し少し距離を置いていたため、深く知らないのだ)
乙美の人生はそんなにスカスカのものだったのか。
いや、そんなはずはない。

百合子と良平が知らなかった乙美の人生、様々な人たちとの繋がり。そしてその人たちに乙美が残していったたくさんの素敵な思い出。
映画の終盤、それらが年表を埋め尽くしていく。
百合子も良平も、そして私たちも思い知る。
そう、誰のどんな人生にも空白なんてないんだ。
観ながら、私は二年前に他界した自分の母のこととも重なり、なんだかとても嬉しくなりました。

映画は、乙美の四十九日までの期間の中で、百合子・良平・イモらが一つ強くなっていく姿も描いています。
そして、百合子が夫と縒りを戻すべく、東京へ戻っていくところで終わります。
このラストには批判的な意見もあるようです。
確かに、このあと夫と上手くやって行くのはやはり難しいかもしれません。
でも、どんな展開が待っていようとも、何も無い空白の人生よりは良い。
平穏な人生でも困難な人生でも、それを豊かな気持ちで満せるかどうかは、自分次第なのだから。
百合子はこの期間にそれを乙美さんから教わったんだと思います。

NHKドラマ版のキャストは、和久井映見・伊東四朗・徳永えり・渡部豪太・水谷八重子・宅間孝行・風吹ジュンほか。
今回の映画版でのキャストは、永作博美・石橋蓮司・二階堂ふみ・岡田将生・淡路恵子・原田泰造・荻野友里ほか。
どちらも私が好きな人たちばかりなので、配役に関してどちらのほうが良いとか言いたくないです。どちらも良いです。
ただ、映画版で、イモの素顔を最後に見せるあの演出には「やられたぁ」と思いましたね。二階堂ふみさんのあの素直そうな顔には参りました。
ドラマ版のイモを見た時も、徳永えりさんがこんな役もやるだと驚かされましたけどね。こちらはわりと普通に素顔を出しちゃってましたからね。
それと特筆したいのは、映画版で回想シーンの乙美を演じていた女優さん。荻野友里さんて言うんですね。
とても優しい表情で素敵に演じられてたのに、パンフレットに紹介が無いのが残念。
荻野友里さん。私はこれから注目していきます。


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