分断によって混迷を極める21世紀に求められる根源的感覚として、私は「自他不二」を挙げたい。
自他不二とは、自分と他人は見かけでは大きく異なる存在だが、本質的には分かちがたく、一体であるとの仏法の法理です。言い換えれば、自分と他人は深い生命の次元では共同体であり、決して独立して存在しえないということです。池田先生は、このことを分かりやすく、「自分だけの幸福もなければ、他人だけの不幸もない」と表現しています。
自他不二の実践とは、良き友をつくることだと考えます。いかに異なる境遇や考えをもつ友であっても、共通の目的をもって切磋琢磨して喜びや悲しみを分かち合えば、その友人の幸福の実現がそのまま自分の幸福になると理解できるようになるでしょう。その歓喜は積極的な抜苦与楽の行動を促し、友情の輪を広げる原動力になります。
そのようにして、自分と一体だと感じる範囲が徐々に広がっていき、地球を包み込む大きな境涯を獲得するに至るのです。
やむことのない戦火の歴史を見つめるとき、内面的な変革は決して迂遠で間接的な手段ではありません。
自他不二の生き方こそが、“分断の21世紀”に希求される根源的な感覚かつ実践原理であり、地球社会を取り巻く諸課題を解決するための確かな道筋なのです。
台湾・中国文化大学「池田大作研究センター」主催 国際青年フォーラムで発表された論文から