読む日々

テーマばらばらの読書日記

一人っ子同盟

2016-08-11 | 小説・現代
重松清「一人っ子同盟」


昭和40年代。小1で転校してきた公子と、その公子にハム子とあだ名をつけた信夫。
団地に住む二人は家族ぐるみの付きあいを続け、6年生になってある変化が。

信夫には6歳で亡くなった2つ上の兄が。兄という存在を改めて受け入れた1年。
公子は母が再婚し陽介という4歳の弟ができる。しかし義父と馴染めず、学校では旧姓で通し信夫以外は真実を知らない。

信夫の下の老夫婦の部屋に引き取られてきた遠縁の子どもオサム、4年生。赤ん坊の時に両親が自殺し親戚をたらい回しにされながら育つうちに身につけた嘘つき病と泥棒病。

この4人の一人っ子が絡んで進む家族の物語。

相変わらずうまいなぁ。

6年が終わるとき。
公子の家がたった1年で離婚してしまい、公子は中学では別な団地に引っ越すことになってしまう。
陽介は父の実家の新潟へ引き取られる。
オサムは施設へ。

子どもの、自由にならない人生への苛立ちがよく伝わってくるし、大人の感情のもつれもよく見てる。見える。

世代が似てるので余計グッと来た。4歳まで団地住まいだったし、空気感はなんとなくわかるなぁ。

東京大空襲で4人の子どもを亡くした老夫婦の、問題児のオサムへかける愛情に涙。

満足度85