とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

「すずめの戸締まり」(ネタバレ注意)

2022-11-15 23:30:00 | 映画
新海誠監督、待望の新作。
「君の名は。」(2016年公開)は世界を救う話。
「天気の子」(2019年公開)は世界よりも自分の思いを大切にする話。
世相を反映しているようであり、先取りしているようでもある。
今回はどんな話になるのか、世界を救うのか、救わないのか。

主人公の女子高生のすずめが旅をしながら成長していくロードムービーだが、自分の過去と向き合い、大切な人も、世界も救う話だ。
そういう意味では、新海誠監督の集大成的な作品と言えるだろう。
ただ、大人目線で観ると、話がきれいすぎると感じた。

このストーリーで引っかかるのは、自分を犠牲にして世界を救うすずめの存在を世間の人々は全く関知しないことだ。
世界を救うヒロインと無関心な大衆の対比も、この作品のテーマだろう。
一人一人の力は小さいとしても、世界を救っている人たちがいることにも目を向けようということだろうか。
自分と自分の大切な人を守ることが、世界を救うことにつながるというメッセージもありそうだ。

心に傷を負いながらも、人知れず、世界を救うヒロインを世界の人はどう感じるのだろうか。
アベンジャーズの国の人の意見も聞いてみたい。

点数は、9点(10点満点)。

タイトル:すずめの戸締まり
製作年:2022年
製作国:日本
配給:東宝
監督:新海誠
主演:原菜乃華
他出演者:松村北斗、深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉、花瀬琴音、花澤香菜、松本白鷗
上映時間:121分


展覧会 岡本太郎(東京都美術館)

2022-11-12 23:00:00 | 美術館
東京都美術館にて、「展覧会 岡本太郎」を鑑賞。
岡本太郎は、子供のころにテレビのバラエティ番組やコマーシャルでみたが、絵画作品はじっくりみたことがなかった。

パリ時代の作品を再制作したものから、戦後の社会風刺を交えた「対極主義」を表現した作品まで、盛沢山。
表現形態にこだわらず、陶芸、彫刻、椅子やアパレルまで幅広い。
自分の作品を売らずに、パブリックアートの制作に注力したというのも面白い。
代表作品である「太陽の塔」の制作過程も興味深かった。
1996年に84歳で亡くなるぎりぎりまで、エネルギッシュに多くの作品を残した。

岡本太郎の仕事を概観すると、既成概念の破壊と創造ということだろうか。
あとは、遊び心であり、サービス精神という感じだ。

音声ガイドで、「あなたに贈る太郎の言葉」という企画があり、ガイドリストに記載された番号ごとに異なる言葉が聞ける。
阿部サダヲの声とあわせて、とても楽しめた。



痛ましき腕


雷人

響きあう名宝(静嘉堂文庫美術館)

2022-11-06 20:30:00 | 美術館
曜変天目に惹かれて、丸の内に移転した静嘉堂文庫美術館にて、「響きあう名宝-曜変・琳派のかがやき」を鑑賞。

静嘉堂は、三菱二代目社長の岩﨑彌之助と、息子で四代目社長の岩﨑小彌太によって、創設、拡充された。
現在は、国宝7件を収蔵している。

その中でも、逸品中の逸品といえるのが、曜変天目だ。
曜変天目は、現存するものは3点しかないが、そのうちの1点だ。
静嘉堂で収蔵されているものは、「稲葉天目」と呼ばれており、徳川家光から春日局に下賜されたものが、春日局の子孫の稲葉家に受け継がれたものだ。
歴史上の人物にまつわる逸品であることもさることながら、茶碗自体の美しさにいつまでも観ていられる。

他にも、書画、陶磁器、刀剣、蒔絵などの名品を観ることができた。

明治から昭和初期にかけての混乱の中、岩﨑彌之助、小彌太父子が日本の宝を散逸させなかった偉業があっての名品鑑賞と思うと、感慨が深い。
美術品は作者もすごいが、それを今に残すための営みにも同じぐらい価値があると思えた。



「天間荘の三姉妹」(ネタバレ注意)

2022-11-05 23:59:00 | 映画
この世とあの世の間にある世界、というのがファンタジーだが、そこに生きる人の生活は現実そのもの。
この世界ができたきっかけが震災ということに違和感を感じないのは、震災が命を考える大事件だったことを再認識した。

この作品の魅力は、のんの存在感につきる。
演技がどうとかではなく、観ていて元気をもらえる。
三田佳子が演じる偏屈な老婦人や、寺島しのぶの大女将は大女優の貫禄だが。

余談だが、のぞみ、かなえ、たまえの三姉妹の名前に聞き覚えがあると思ったら、欽ちゃんファミリーの「わらべ」だった。
当時は何も思わなかったが、そういう意味だったのかと今更ながら、納得した。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:天間荘の三姉妹
製作年:2021年
製作国:日本
配給:東映
監督:北村龍平
主演:のん
他出演者:門脇麦、大島優子、高良健吾、山谷花純、萩原利久、平山浩行、柳葉敏郎、中村雅俊、三田佳子、永瀬正敏、寺島しのぶ、柴咲コウ
上映時間:150分