とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

最澄と天台宗のすべて(東京国立博物館)

2021-11-06 22:30:00 | 博物館
東京国立博物館にて開催の伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」を鑑賞。

最澄は天台宗の開祖で比叡山延暦寺を創建し、高野山金剛峰寺を開いた真言宗の開祖空海と並び称される。
二人とも中国に渡って仏教を学び、日本に持ち帰って、日本の仏教普及の礎を築いた人だ。
最澄と平安遷都を行った桓武天皇との関係の強さから、現代に至るまで、延暦寺と皇室の関係は深い。
比叡山は京都の鬼門の方角となる北東に位置しており、延暦寺は京都を守護する寺院とも言われる。
ただ、延暦寺というと、僧兵であったり、織田信長の焼き討ちであったり、京都に近いだけに政治的なイメージが強い。
最澄から始まって、どういう経緯で世俗との関係を強めていったのかに興味がいく。

最澄の教えは「あらゆる人々を救う」ことであった。
平安時代の後半に、延暦寺への貴族からの支持が広まり、興隆するようになる。
末法思想と相まって、仏教が死後に極楽浄土へ行くための手段になっていったように感じた。
生前の信心の大きさを寺院を経済的に支援することで示すようになっていったのも人間の性だろう。
「あらゆる人々を救う」ためには教えを広める必要があるが、教えが広まると、経済的な力も大きくなる。
世俗的な誘惑が大きく、それに負けないために、千日回峰行のような極端に厳しい修行が行われ、信者へのアピールが必要だったのだろうか。

現代人は、いくら寺院を立てたり、仏像を作っても、それが直接的に「あらゆる人々を救う」ことにならないことがわかっている。
心身を痛めつける修行自体に大きな意味があるとも思えない。
乗り越えたらすごく大きな自信になるとは思うが。

「あらゆる人々を救う」のは難しいが、純粋にその思いを実現するために行動した人がいたことは多くの人に勇気を与える。





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