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中国の「北方領土」に対するスタンスが変化した by 日経

2021-08-11 17:05:03 | WW1&2
なにやら、興味深い記事が日経にあった。

2つの東京五輪またぎ中国が操る「北方領土カード」

話題になっているのは、日本の北方領土を巡る中国政府のスタンスの微妙な変化である。「中国外務省が表明した最新の見解と、北方四島に関する中国の地図表示には統一性がない。中国は一体、どうするつもりなのか」「これは今後の日中関係、そして米中関係をも左右する」。アジアの外交関係者らはこう指摘する。 

日本人は有料会員でないと読めないが、日経が英語で書いてる記事はただで読めたので読んだ。

Analysis: Like '64, China enters Japan-Russia row at Tokyo Games


要するに、中国は、これまで、この著者および日本の支配層の認識では、日本が「北方領土」という後付けで付けた名前が示唆するところの千島列島南部の島々について、日本の味方をして、反ソ連、反ロシアの立ち位置を取っていた。

ところが、最近の中国は、ロシアの首相が彼らのクリル諸島、我が方の主張による「北方領土」を訪問しても苦情もいわず、

中国外務省のスポークスマンは、これはロシアと日本の二国間で適切に処理されるべきもの、と明言し、
This is a bilateral issue between Russia and Japan and should be properly handled by the two sides. 

さらに、こう付け加えた、と。

同時に、反ファシスト戦争の勝利の結果は、真面目に尊重されるべきである、というのが中国の一貫した信念です

But he went on to add what appeared to be a pro-Russia tint. "At the same time, it is China's consistent belief that the outcomes of the victorious anti-fascist war should be earnestly respected and upheld," he said. 


ということなので、ええ、これって、今までと違うじゃん、とアジアの外交関係者が言っていると上の日経は言っているが、アジアってか、日本の、でしょう(笑)。

冷戦後半の中国はアメリカに付いてたので、実際、ソ連/ロシアを敵視していた。ものすごく。

だから日本は日中国交正常化が可能だった。

それはそう。

だがしかし、領土問題に対する中国のスタンスは、正面から聞かれたら、アメリカも同様に答えるのではあるまいか?

だって、他にどう答えようがあるの? 領土問題の基本は2国間、ファシストは破られた、ってのは普通でしょう(ただ、アメリカがソ連の働きを我が物化して胡麻化してるのが問題だとしても)。

アメリカはネオコン/リベラル過激派が、基地外じみたことを言ってはいるものの、歴史的事実関係を捨てることはできない、と思う人が根絶やしになったという話は聞かない。なんのために巨大なアーカイブ作ってるんだよ、っていう話だし。

WW2の決定的な勝者はソ連だよと人々が言うの巻

東西挟み撃ち体制が見たくなかったらしい

第2次大戦の結果を認められない唯一の国

だから、いつまでも与太話に乗ってくれると思っていると、多分、自分だけ沈没する目にあうと思う。


■ 今もまだ講和条約が結べない日・ロ

もう何度も書いた話だけど、結局が南極、日本にとっては、ロシアは敵でなければならないのよね。ロシアが敵でなければ、日本の近代史は、日本のやたらなaggressiveness(攻撃性)が目立つお話になっちゃう。

それを避けるためにも、ああでもないこうでもない言って、アメリカ様(英米・独仏あたりを含む)の下に付いて、ロシアは敵であると常に常に、千代に八千代に言い続けるのが日本、みたいな感じになってる。ほとんど、ウクライナとかラトビアあたりのナチ残党と同じメンタリティー。

とりあえず、このあたりの話に決着が付けられなかったのが戦後日本ですね~、ほんと。左右の別なくおかしいですから。

東西挟み撃ち体制が見たくなかったらしい

このブログでは、2020年までにさんざん書いた話です。

全体としてはこのあたりか。

2020年:the Westのナラティブ管理崩壊年

田岡俊次の「古い」解説&リベラル勢の危機


正直、この件に関しては、私はもうあきらめてる。自分の生きてる中で日本の中の何かが変化するとは到底思えない。30年後ぐらいになって、違うことを考える日本人が出てくる役に立てればいいな、ぐらいには思ってる。


■ 日本以外にとっては朗報だったソ連侵攻

で、前から書いてますが、日本人にとっては、1945年8月9日のソ連軍の満州侵攻作戦は腹立たしいものなんでしょうが、中国、朝鮮にとっては、これは、よーーーーやく、あの忌々しい関東軍を満州から追い出し、もって、我が物顔に大陸に居座った日本軍を追い出すことに成功したという事象なので、朗報以外の何なの?ってところでしょう。

去年の在日ロシア大使館さんは、このへんのところをコンパクトにまとめていた。地図までつけて。

 


まさに、これこそ重要だったわけですよ。前はそこまで考えが及ばなかったけど、このブログを書いたおかげで、毎年考えるチャンスがあって、考えれば考えるほど、この1945年8月のソ連の攻撃は本当に大きかったと思うようになった。

私は再度力説したい。関東軍が物理的に破壊されなかったら、関東軍、支那派遣軍、朝鮮派遣軍からなる日本が大陸においた勢力が、事実起こったように速やかに撤退していたかどうかは、かなり怪しい。

例えばアメリカのディープステートが、天皇いてもOKのゴーサインを出したことを受けて東京の支配層が、よかったよかった、さて戦争は終わりと言ったところで、大陸の軍人たちが総意で命令を遵守できるのか? まったく確証が持てない。

そもそも、東京の命令を無視して突っ切って他国をかすめ取ることに熱をあげて、はては、世界戦争だとか抜かしていた妄想が強い勢力なわけですから、負けてないのになぜ撤退なのだ、と言い出す気配は濃厚でしょう(負けたノモンハンは不問に付すわけだが)。さらに、そもそも、日本軍は使用に耐える軍事に使える船舶を失っている状況だから、もとより、数百万の兵隊は本土に帰ろうにも帰れない。

その状態で、誰が何をできるでしょう? アメリカが、俺は強いので俺の命令を聞け、船は出そう、といったところで、アメリカには大陸の日本軍、特に関東軍を制圧する力はない。そんなデカい作戦が可能なアメリカ陸軍は今も昔も存在しない。

航空機があれば、爆弾があれば、とか言う人は、単に戦争をわかってない。爆撃したところで、逃げる場所があったら簡単には終わらない。ながーーい時間をかけて、武器弾薬の損耗を待つ? いやしかし、フィリピンあたりと異なり、大陸内は大損害の戦闘は限定的だったので、武器弾薬はかなりのところ温存できていた(だから、日本軍の武装解除で出た兵器を国民党側にもらい受けるよう、米軍があわてて手配したという話もある)。

日本の兵隊をばらけさせて、中国の国民党軍に合流させて使うという手もあったかもしれない。兵隊を連れ帰ると面倒を起こすので、別の戦争を与えて、そこで死んでもらうという作戦・・・。日本人にとってOKなんだろうか、という気もするが。

ということで、ソ連軍が明確な戦略目標の下に、関東軍を南に追い出しながら破壊して、元に戻せなくするという大作戦を決行するというのは、考えられる限り最も合理的で迅速な戦争の終わらせ方だったと思う。

したがって、日本人にとっては癪に障る一件であるにせよ、朝鮮、中国がこれを喜ばない、正当な評価を与えないというのは、ちょっとやそっとではなく、信じられないぐらいの不名誉だった。軌道修正できたことは彼ら(韓国を除く)にとって良いこと。

去年まとめた通り。

1945年8月ソ連軍満洲侵攻作戦 by 駐日ロシア大使館


■ オマケ

で、今後の日本は、ますますナチ化して、欧州のおかしな人たちと組んでいくか、さすがにそれはヤバいと、適当にうにゃうにゃするかのどちらかを取るんじゃないかと思う。この辺で見直し、などということにはならない。

そこで、欧州のナチ勢と組む際には、おそらく、クリミアと北方領土をバーターにして、相互に支持してロシアに圧力を、とか言い出すんじゃなかろうか?

超がつくほど筋の悪い話だが、ありそう。



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3 コメント

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中國の対ロシア領土問題はロシアと手打ち! (ローレライ)
2021-08-11 20:44:28
中國の対ロシア領土問題はロシアと手打ちで解決した!本当は安倍晋三首相が進めたロシア主権受け入れ解決策で日本もロシアと手打ちする筈だった!
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飛行機だ軍艦だ以前の「覚悟」の問題 (名無しの在日)
2021-08-12 00:50:21
>航空機があれば、爆弾があれば、とか言う人は、単に戦争をわかってない。

ナチや帝国日本相手の巨大な戦争であるほどに、地道かつ多大な出血を強いられる陸戦によって、その策源地を殲滅し完全不可逆的に排除するプロセスは必須。

誰もやりたがらないその「汚れ仕事」を、ソ連はユーラシアの東西でやりきった。
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Unknown (にゃんこ)
2021-08-14 14:24:25
この時功績のあったソ連兵に、習近平さんが勲章を授けていました。皆さん高齢でしたので、間に合って良かったですね。
シベリア抑留ですが、日本の支配層は大陸にいた日本兵が大勢帰還することは望まなかったのですね。鳩山一郎さんが抑留兵の帰還に努力していましたが、あの方は激怒だったそうです。それで鳩山さん青くなっていたと、昔ネットで読みました。
関東軍が勝手な行動をしたことは一度確かにあったようですが、殆どは国の上層部の命令です。軍隊が動くにはものすごくお金や物資が必要ですから。南進のためにも中国の施設やら色々必要だったみたいです。戦争で本当に苦しむのは海軍より陸軍ですし。三島由紀夫がバルザックのようだと絶賛していた「私の昭和史」(記憶は定かではありませんが)を読むと、当時の中国にいた陸軍軍人の状況というか心情が分かります。残虐行為をやっているのも多々いますが。
私の義父は海軍航空隊の飛行機乗りでした。2・26事件以前から上海にいました。金鵄勲章をもらったのは中国での空襲の功績だったようです。空からは海軍航空隊、陸では海軍の陸戦部隊も参加しています。
今の日本の状況見ていると、本当に危険だなと思います。
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