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ネオコロニアル時代の終わり、アメ内部の警告、シリア・アラブ連盟復帰

2023-05-27 18:39:28 | WW1&2
この1カ月の間に、アルチェモフスク(バフムト)は完全にロシア側が制圧した。これ自体、ここまでやる意味がウクライナにあったとは到底思えないほど無駄な奮闘だと思うが、やりたいというのだから仕方がない。

それにもかかわらず、そんなことはどうでもいいとばかりの西側メディアが、あいかわらず、我々は勝っているという態度を堅持し、イギリス他の西欧州諸国がさまざまな兵器をウクライナに送り込み、そこから、クリミア、ルガンスク、ベルゴロドを始めとした場所を攻撃している。

西側がやっているのは、まだ決着はついてない、ウクライナの大攻勢が決戦なのだ、魔法の兵器はまだあるのだ、みたいなお話し作りであって現実とは関係がない。

現実は、ほとんどテロリストのような仕様でロシア国内、またはロシア系の民間人をターゲットにした攻撃が続けられているだけ。まぁ、ナチだわなとしか言いようがない。「西側はナチ」というのは2年前には過激な少数者の意見だったと思うが、今や単なる現実になった。

総じていえば、西側は、我々は勝ってる、という姿勢を堅持している。そのハイライトが広島のG7でしょう。実にまったくおそるべき恥辱イベントだった。


■ 言論屋の終わり

この状況は、まだまだ続くでしょう。そして、そもそもNATO vs ロシアが戦ってるのに、ウクライナとロシアの戦いにして、自分たちは局外中立であるかのようなフリをしている西側諸国は、そういう詐術を用いても、結果から逃れることはできない、ということに気づかされる時間となるでしょう。

昨日あたり、ロシアの元大統領のメドベージェフが上手いことまとめていた。

なんでも御年100歳になろうとしているキッシンジャーが、ウクライナをNATOに入れろとかなんとか言ってるらしくて、それに対するメドのお答えは、

私は状況を正しく評価するには、仮説的な脅威ではなく、直接的かつ明白な脅威を考慮することが重要であると常に信じてきました。

で、もしここでウクライナがNATOに入れば、
1) NATOは既にロシアにハイブリッド戦争をしかけている
2) ウクライナのナショナリスト体制は失地を取り返すのを止めない
3) 我々(ロシア)はこれを全力で阻止するしかない
4) NATOの第5条が適応される

そういう状況だろう、と。だから、結論として、

実存的脅威を防ぐためという微妙な議論は、血なまぐさい紛争では機能しない。 このことは、もうすぐ100歳を迎える人にとっても明らかであるべきだろう。

 


つまり、戦闘行為が始まってる中で、仮説振り回して言論で賛意を取ったり裏で手をまわして何かを言わせて勝とうと思う行為は危険だ、って話しだよね。

テロリスト・メンタリティーのウクライナ人と、勝つしかないと思い定めた米国務省、国防省あたりの負ければ犯罪者となる「重要人物」たちは、無謀なことをしがち。そうしたら、即座に相手(ロシア)は反撃せざるを得ない事態となる。それに気づいてんのか、じじいは、って感じだね。


■ ポストコロニアル時代の終わり

他方、プーチンは、あからさまに現実を説明していた。5月24日の国内外の治安関係者向けのミーティングでこんなスピーチをしていた。

明らかに、国際情勢は不安定の増大という観点から説明できます。 さまざまな地域で古い緊張の温床が拡大し、新たな温床が出現し、紛争による負の負担が積み重なり、多くの国の人々が外国が画策したクーデターからの劇的な余波を経験しています。

この事態は、他国の主権、国益、伝統を完全に無視して行動を続ける中で、個々の国々や団体が自らの優位性を維持し、自らの規則を押し付けたいという願望から直接生じています。
(中略)

ロシアは、恐喝と不当な制裁というこの破壊的な路線と政策に代わる実行可能な代替手段があると確信しています・・・


といった具合に現状を手短に言語化して、解決できるんだから、では皆の衆頑張ろうという仕立てで話してる。ちゃんとしたリーダーがいるっていいね、ほんと。

今の西側は、キッシンジャーみたいな影の策士が表に出てこないオリガルヒを代表して作った政治を、各国の首脳がシナリオ書いてもらってペラペラしゃべるという仕様だからね。力のある、事実ベースの話しができるわけもない。嘆かわしいにもほどがある。

で、上で下線を引いたように、外国からのクーデターでエライことになっているのはウクライナだけではない。いろいろあるけど、現在非常に重要なのは、言うまでもなくパキスタンでしょう。

カーンは過去から考えりゃいろいろ問題はあるにせよ、多くの民衆が支持していることは事実。その路線をひっくり返すために軍を中心にした親西側勢が政変を起こして国内が不安定化している。

で、上のスピーチの最後は、

私は、私たちが力を合わせて行動することで、より公正な多極世界を構築できると確信しており、例外主義に導かれたイデオロギーや、全世界の資源の搾取を可能にしたネオコロニアル・システムは、必然的に過去のものとして忘れ去られることになるでしょう。 


と閉められている。


■ アメリカの中の混乱

そんな中、アメリカの中では、現在の政権のやり方に危機感を覚える米軍の元将校や外交官たちが連盟で新聞広告を出して、冷静さを求める事態があったりはする。

 

元CIAのラリー・ジョンソンが、メンバーなどについて書いていたところによれば、錚々たるメンバーといっていいものらしい。

MORE COWBELL FOR UKRAINE WHILE FORMER U.S. MILITARY OFFICERS AND DIPLOMATS PLEAD FOR SANITY


冷静な人たちもいるということは安心材料の1つではあるけど、この人たちが政治的な力を持てる状況が来る様子が全然ない、ってのが現状だね。

もちろん、集まってないより集まってた方がいいし、沈黙するより声を上げた方がいい。

また、阿呆な欧州派遣軍と国務省が仕切るより、立派な軍人が少なくとも意見を上げる余地があった方が断然安心。


■ 中東

そんな西側内のどうしようもなさを後目に、中東では、アサド大統領率いるシリアが、がアラブ連盟に復帰した。


アラブ連盟事務局長、シリア復帰歓迎 19日に首脳会議
https://jp.reuters.com/article/saudi-syria-arab-league-idJPKBN2X9014

[ドバイ 17日 ロイター] - アラブ連盟のアブルゲイト事務局長は17日、シリアが今週開かれる連盟の首脳会議に復帰することに歓迎した。

連盟は今月、反体制派への弾圧を理由に12年間停止していたシリアの参加資格を再開すると決定した。

 


アサドは去らなければならない、とか言って、イスラム過激派を使ってシリアを大混乱に陥れたオバマ、何か言えよ、ですね。

前から何回も書いてるけど、ロシアのこの20年で最も目覚ましいのはイラン方面を主軸とする中東、イスラム地域との交流。

軍拡日本、アメリカ覇権とは軍政、イランを失った


トルコのエルドアン大統領は、大統領選挙の去就が注目されるところだけど、決選投票で負けることは現状読まれていないっぽい。

また、イランとロシアの関係はますます多方面にわたっている感じで、先週ああたりは、両国の中銀関係者が集っていた。その前には、ロシアの巨大銀行がイランに出ていくみたいなことをどこか読んだ。

 


ロシアって、国も金持ちだけど、銀行とか巨大企業も堅実経営だから、商売先には困らないでしょう。金刷って相手を借金漬けにして金利操作して困らせてやれ、みたいな悪質なモデルでもないし。


■ リムランド再編成

で、現状、マッキンダーの世界制覇理論から100年、諦めきれない派があちこちで紛争を起こしているといった感じかなぁと思う。

私はその様子をユーラシア中央部を失っている世界制覇プロジェクト集団が、リムランドの再編成を行っておるな、と2021年11月に書いていた。

並べて考えるに、ユーラシア内部は、ロシア・中国・イランが緊密な協力関係にあるという、マッキンダーもブレジンスキーも困惑一色になる状況が形成され、EUと日本+オーストラリアという、いわゆる「リムランド」は、インド&パキスタンあたりの中央を失って、端と端で再編することを余儀なくされました、みたいな感じか。 





再編しようが、でもさぁ、アフリカが植民地主義者に抵抗しているわけだし、そもそも、中国やインドという長いこと一つの文明圏として生きていた大勢の人たちが、そんなあなた、ロンドンだのワシントンだの東京だののくだらない一群の軍門に下らないとならない理屈はまるでない

まぁそもそも、ハートランド・リムランドと分けて海上勢力が内陸を攻撃する、支配するとかいう話は、イギリスに巣くっていたものらしい既得権益者たちの単なる願望理論であって別に自然法則ではない

こんな言い方もあったね。

SCOサミット@サマルカンド &「オブジェクト」はもうない


西側の中にいると慣れちゃって気づいてないけど、私たちは知らず知らずに、日米欧以外のところを、オブジェクト扱いしてものを言ってると思う。相手にも考えがあるんだから、そうはならないだろうとナチュラルに措定できてない。いかんよ、これは。

そんなこんなで、潜在的な紛争が顕在化して1年。事態は隠れもなく変化へと向かっておるな、といった趣で、個人的には、大雑把にいえば過去数年考えてきたことはそんなに間違ってなかったなといった感じかしら。

予想外だったのは西側各国の政治的ポンコツ具合ですかね。どこもかしこも、柱が立たない状態。どうなるんだろうかと口を開けてるしかない自分を含めて、いろいろと間違ってたなぁと思う日々。


■ オマケ

そんなマッキンダーの話しで、そういえば今日はこんなtweetをしていた。

 


なんかね、日本人の歴史認識にとって日露戦争って「岐路」になってると思う。遺憾だと思う方向と、名誉だと思う方向で別れる。



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嘘に生きる (石井)
2023-05-28 17:44:28
ミハルコフのベサゴンTVは、不定期ですが月に1~2本youtubeにアップされています。
https://www.youtube.com/@besogontv
テレビでも放映されるようになり、彼の話では視聴者は1000万を超えると言っています。その主張は、恐らく現在のロシアエリート保守層の考えで、政権の方向性、世論の雰囲気を映し出していて大いに参考になります。また、映画監督らしく映像の作り方が素晴らしいので非常に見やすいです。最新の番組内容がブログ主様の今回の投稿と重なる部分があると感じたので少し書きます。

番組タイトルは、「嘘に生きる」。勿論、西側とりわけアメリカのことです。先ずインディオ族虐殺について「史上最長のホロコースト」と表現し、延べ1億人前後が犠牲になった、学校では意図的に西洋人上陸前までは無人の地だったと教えられているという文章を引用しています。また、ミハルコフの番組手法として、先人の言葉をよく引用しています。トーランド「収容所や虐殺手法におけるヒトラーの概念は、英米の歴史から彼が学んだ影響が大きい」ディケンス「アメリカの使命とは、全世界を卑劣化させることだ」92年のカストロの予言「欧州での次の戦争はロシアとファシズムとの戦いになるだろう。但し、そのファシズムは民主主義と呼ばれるだろうが。」

A・ネフスキーのロシア土着性を語った後、ミハルコフの締めの言葉「誰しも不実に生きる方が真実に生きるよりも楽かもしれない。不実には適応できるだろうが、真実に対しては受け入れるしかない。私は確信を持って言うが、嘘に生きる者は真実から遠ざかれば遠ざかるほど、真実に向き合った時に心の荒廃、失望、恐怖が増す。今日、我々はこの真実をウクライナ、広い意味では全世界で擁護しようとしている。想像できないことかも知れないが、世界中でどれだけの人々が、恐怖や失望がなく真実に生き、「西側文明」から自由になるため、我々の勝利を待ち望んでいることか。真実が戻ることを信じている。」

僕は毎日ロシアのニュースを見ていますが、「真実の力」という言葉をよく兵隊さん達が使っています。その眼差しは柔らかいですが、真剣であり良い表情をしているように見えます。方やウクライナ兵の多くから感じるのは激しい憎悪です。まあ、こういう憎悪は長く続くものではないと思います。
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ナラティブ管理 (ブログ主)
2023-05-28 18:32:24
石井さん、おひさしぶりです。

毎度興味深いお話し、ありがとうございます。

「西側文明」から自由になるというのが、現在かかっているテーマだと思いますね、ほんと。

そのうちの大きな分量は、このブログ的にいえばナラティブ管理問題だと思うわけです。誰が書いたか知らない筋を読ませされてる。それこそ大問題。

で、ロシアはこういうのをはねのける任につける数少ない国だと思います。集団的メモ魔であり、かつ、アーカイブスをしっかり持ってるから。まぁビザンチン由来というところが多大にあると思われます。

面白い時代に立ち会ったものだと思ってます。
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S・リッターのロシア旅行 (石井)
2023-06-03 21:45:27
連投失礼します。
S・リッターが1ヶ月のロシア旅行から帰国しyoutube番組で報告しています。
https://www.youtube.com/watch?v=Ns6i6vi0bbc
アップされ1日も経過していないのに、この種の番組としてはかなりの視聴回数とコメントが寄せられています。コメントを読んでみて、その内容のマトモさに驚きました。ネットに不愉快不真面目な書き込みがないのは、ほぼあり得ないことですから。

リッター氏のロシア観にはかなり共感できます。加えて僕が指摘したいのは、ロシアに住む人々には人種偏見の傾向が殆どないことです。(唯一あるのがユダヤ人に対してと言われますが)一方、西洋人、それに倣った我が国民には、人種ヒエラルキーを見る向きが強いと思います。この差がナチズムへの憎悪(ロシア)と許容(西側)になって表れているのではないでしょうか。リッター氏に多くのロシア人が質問したという「何故アメリカはロシアを憎むのか」この理由がロシア人には分からないということが、僕には分かる気がします。
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存在をヘイトする (ブログ主)
2023-06-04 23:15:08
石井さん

ナポリターノさんのところ、私も見ました。

でもって、なぜアメリカはロシアを憎むのかに対する唯一可能な推論は、ロシアが生き延びているからだろうってところ、もうそれしかないって感じですね。コメント欄も視聴者の方がよく見ていて安心。

けっきょく、ヘイト問題だと思うし、ナチ問題と言っても同じことだと思います。こういうことを仕掛けていることが間違ってる。

アメリカの中に少数派とはいえ力強く、反ナチ、反ロシア・ヘイトを語り続けてる人たちがいるのはまったくの安心材料。
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また騙された (地球戦国)
2023-06-19 14:59:53
DEEPLY JAPANさんのTWより

宋 文洲
@sohbunshu
·
7時間
プーチンが秘密を明かす:
「ウクライナが中立条約にサインしたからロシア軍がキエフから撤退した。しかし、その後、ウクライナが交渉団トップを暗殺し、条約を破棄したため、戦争が続くことになった」


本当にこれ、ロシアは今に始まったことではないのでしょうが、もう騙される外交。事実や正義の則り外交は進められないとロシア人は心底思うでしょうね。それに同感するのが、中東やアフリカ諸国、そんな諸国の共感の輪が広がり、経済制裁にも負けず、ロシアの人道にもとずいた世界構想の構築が実りつつある。それは理想への牛歩の歩みと私は感じ生ます。
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Unknown (山椒魚)
2023-06-23 23:41:40
ロシア民謡に
仕事の歌 というのがありますが、その中に"イギリスは利口だから水や火など使うロシア人は歌を歌い自ら慰める"という歌詞が有りますが、ロシア人はミンスク1、2で騙されて、キエフの和平交渉で騙された。仕事の歌の歌詞を"西洋人は2枚舌だから"と変えて歌はないとまた騙されそうだ。正直はその人の徳ではあるが、相手が自分と同じ正直者と考えては危ない。
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