2018年4月、シリアでアサド政権が化学兵器を使ったという無理筋の難癖で米軍がシリアを空爆するという事件があった。
その際、OPCW(化学兵器禁止機関)というこの手の事象を判定するにあたって世界トップの機関が、透明性のない行動をしたという報告、リークはかねがねあって、昨年2019年には当時の調査の一部が漏えい。アサドじゃないという結論になっていた有力報告書が当該機関に少なくとも存在したが、隠蔽されていたことが判明した。
圧力に屈してたOPCW & シリア空爆から1年
とはいえ、この重大な事件を主流メディアは一切無視しているため、あたかも問題は存在しないかのようになっている。
しかし、OPCWのチームの一員であるIan Hendersonさんが、今日国連でその旨をビデオで話した。
Ian Henderson, member of OPCW team on Douma, spoke today at the UN. He re-stated his belief that no chemical attack occurred & called the final OPCW report a "complete turnaround in the situation from what was understood by the majority of the team and the entire Douma team." https://t.co/TknX8YZ4Ic
— Max Blumenthal (@MaxBlumenthal) January 20, 2020
どうしてビデオなのかというと、ヘンダーソン氏には国連のある米国へのビザが下りなかったかららしい。
Worst lie since fake claim sparked Iraq war? OPCW report behind Syria bombings was altered, whistleblower tells UNSC
https://www.rt.com/news/478754-opcw-whistleblower-un-douma/
ここらへんもなぁ。もう、アメリカはロシア外交官へのビザ発給遅滞とか拒否で、ロシアからさんざん怒られている状態。この機構を作った時の条約はこれこれこれで、とそりゃ言うでしょうよ。
去年の9月にはイランの外交官ザリフさんの米国入国ビザが下りなかった。みーーーーーんな思ったのは、国連総会でザリフに演説させないためだろう、ということ。
実にセコイことになっているのがアメリカであり、西側。
嘘でイラク戦争をおっぱじめ、嘘でシリアで戦争をしたかったのだろうが、2018年は様々な人たちのデカい声とロシアの奮戦で被害は最小限に抑えられた。
■ 天動説を唱える西側
で、この問題は、
そもそも当時アサドが化学兵器を使って攻撃する理由がまるでなく(アサドは既に勝ってた)
現場にいた人300人の証言があり(ハーグで会見して証言した)
No attack, no victims, no chem weapons: Douma witnesses speak at OPCW briefing at The Hague (VIDEO)
https://www.rt.com/news/425240-opcw-russia-syria-douma-witnesses/
現場にいた人たちに証言を取りに行った複数のジャーナリストたちは複数の証言を取り、それを当初から発表しており
ついには化学兵器関連のトップ機関の中の人から、機関が出した報告書は事実を曲げて書いてるという実名の人の告発まで出て
といった具合で、もう、どうしようもないほど西側メディアが作った「アサドが化学兵器を使った」話は否定されまくっている。
しかし、昨年11月には、この機関自身が、リークとかあるけど私たちの結論を私たちは支持する、とかいって疑惑を否定した。
Chemical weapons body defends Syria attack conclusions after leaks
総じて、西側各国(英米だが)は、聞く耳をもたない。最近はこの騒動はロシアがこの尊敬を集める機関の信用を落とすために仕組んだものだとかいう、馬鹿なことを言い出す、程度の悪い情報戦まで仕掛けて来る始末。
もしアサドが化学兵器を使ってたら、なんでシリアの人たちが、現在アサドの周りで復興にいそしんでいるのか、お前ら説明してみろよ、といった状況でもあるわけですが、そんな矛盾は無視するのが西側流。
自分たちが決めたナラティブ以外絶対認めない西側は天動説を唱える教会だなといった趣。
■ とりあえず国連安保理の議題
で、ロシアが本気出してるのでこうなる可能性はあったわけだけど、この話はともあれ国連安保理の議題にはなった。
UN Security Council to discuss OPCW report on Douma incident — Russian mission
https://tass.com/world/1108069
どうなるのか、楽しみにしはしているけど、いやしかし、「西側教会」が、確かに報告書には問題があったようです、シリアでアサド政権が化学兵器を使ったという証拠はないようです、なんて言えるんだろうか?
個々の論点よりも、そもそも、「西側教会」は誤りを認められるのか、というのが焦点だと思う。
(自説を曲げないでおくことの意味は、アサドの悪魔化を解除しなければ、またチャンスが来たらシリアを攻撃する、ぐらい考えているからだろうと思う。逆には、ロシアとシリアはこの芽を摘む必要がある。いや、アンチ戦争の人みんなにとってですが)
■ 当たり前だがシリアだけの問題ではない
で、西側主流メディアが黙り通してるから問題が大きく伝わらないわけだけど、これって、ものすごく重要なことですよ。
だって、化学兵器の評価をするような機関で嘘が平気になったら、ここで作った理由によって、大量破壊兵器問題が捏造され、誰かが戦争を始めかねないから。
こういうおじさん。
なんかこう、国際社会が崖っぷちだと言ってもいいぐらいの大きな問題だと思うな。事故後に緊急対応する機関(保健、衛生等々)とはまた違う重要性と危うさを持った機関だしね、ここは。