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「力による現状変更は許さない」世の中の武装集団による主権国家侵害

2014-06-14 00:57:13 | 欧州情勢複雑怪奇

ワールドカップが始まったと思ったらイラクで混乱が起きていた。オリンピックがあるとロシアが揉める、みたいなにWCとイラクが結びついたりするのかしら。

イラクに武装組織が入っていって、次々都市を制圧したというニュースを見てまず思ったこと。

どうして誰も、「力による現状変更は許さない」って叫ばないの? 

それは相手が「テロリスト」だから。なんでしょうねぇ。今日テロリストほど便利な団体はないですね。

まさしく力による現状変更そのものだと思うわけだけど、主権国家じゃないとなんでもOK。

■ なんだか見知った人たち

とはいえこの組織は初登場じゃなくて、ISILさんはシリアで登場していた組織。

シリアにおいては彼らは「フリーダムファイター(自由の戦士)」
イラクにおいて彼らは「insurgent(反乱者)」

同じ組織だが、別のタイトルで呼ばれ、前者においては米国政府により多大に褒められ援助もされたが、後者においては一応敵扱い。

また、
シリアにおいて彼らは、選挙で選ばれた正当な政府を打倒しようと武力を行使した外国人軍団
イラクにおいて彼らは、選挙で選ばれた正当な政府を打倒しようと武力を行使した外国人軍団

まったく同じ。

ではなぜ処遇が違うのか。

シリアのアサド政権はアメリカも打倒したい
イラクのマリキ政権は一応支援しないとならない

つまり、アメリカ政府の立ち位置によって彼らの同一の行動は、是とも非ともなる。

何が法の支配だよと言いたいものはある。

■ 今回の目的は?

なんでしょうね。でも言えるのは、イラン、イラク、シリアとシーア派系統で仲も悪くない国が並んでしまったら嫌だと考える集団があって、その人たちがここをいつか引っくり返そうとしして、2年か3年かかかってまずシリアをぐじゃぐじゃにして、アサド政権を倒して仕上げだ、とか思ったらロシアに止められちゃった。

これを恨みに思ってロシアの黒海から地中海東岸への力の投影を嫌って、クリミア奪取に突っ込んだという観測もあったが、あながち否定できないと思う。

それはともかく、シリアを倒せないからといってあきらめるわけもなく、イラクから引っくり返して、まずアメリカの言うことをきかないマリキを飛ばそう、という話だろうか?

イラク、武装勢力が首都に迫る マリキ政権は深刻な危機
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM11045_R10C14A6FF1000/

政権に危機以前に、武装勢力が一国内に入ってきたらもっと人々は大丈夫なのかとか、武装組織の素性は何なのかとかに焦点があたるべきではないのか、と私の古典的常識はそう反応するのだが、もうそこはどうでもいいのが世の中。

「イラク情勢は深刻だ」米政府、マリキ政権に追加支援へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140612-00000535-san-n_ame

米政府はISILの台頭に対し、空対地ミサイルや偵察用小型無人機提供などの武器支援やイラク治安部隊の訓練を強化してきたが、同副報道官は今回の事態を受けてイラク政府に追加支援する方針を示した。

アメリカ政府が本腰を入れてこのテロリストを殲滅しようなんて絶対思ってないだろうとは思うけど(だって、場合によっては自由の戦士なんだもん)、だからといって放置もできない。そこで武器を支援する・・・

そうか、「深刻だ」→「支援すべき」→現場には武器がたまる、資金が来る→次の騒乱へ、っていうことだろうか。

イラク軍に支援した装備をISILかまたは別の団体が奪取して北部に移動して、シリアに入れば、そこから装備が充実した「自由の戦士」になる。イラク正規軍はトンネル会社状態。

■ 結論

アメリカ軍はイラクから兵を撤退させました、というのは、正規軍は撤退したがCIAは残り、その補助部隊を使って、要するに非正規軍によるオペレーションが本番になるというだけの意味。

中東はむしろ今からが本番。


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