スプートニク紙の日本語版で毎度忌憚のない意見を開陳しているアンドレイ・イワノフおじさんが、3日前こんな記事を書いていた。
米国と日本はインドとロシア、中国との協力を弱めることは出来ない
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160419/1987797.html#ixzz46XWgIyL4
(中略)スプートニク:米国と日本は積極的にインドとの関係を発展させている。彼らは明らかにインドをロシアと中国から引き離そうとしている。この方針に成功の余地はあるだろうか。
「中国とのバランスになるような同盟国の輪をアジアにかけること。それが米国の黄金の夢だ。米国は中国に真っ向から立ち向かう準備ができておらず、時がたつほどにその余地は少なくなっていく。
ゆえに米国は戦略を変え、伝統的な同盟国である日本と韓国、さらにはインドやベトナムの力を借りて中国を抑止しようとしている。おそらく、例えばインドと米国との関係発展など、ある種の傾向が、インドは反中国ブロックに参加する用意があるのでは、とコメンテーターが語る根拠となっている。しかし、インドはバランス政策、非対立的政策を追求しており、中国に対するバランスとなる気はない。(後略)
私もだいたいこの見取りに賛成かな。
インドをロシアとの関係から引き離してアメリカ主導の東アジア版NATOに組み入れようというのが日本とアメリカが現在行っていること。
しかしアメリカが直接インドに向かってそういうことを言うと懸念を呼び起こすだけだから、日本を使って、金と技術を流させてインドを日本に向けさせる。するとそれはアメリカに向いたのと同様の効果となる、ということですね。その間に、実際に兵器を売ってるのはアメリカだったりするわけだが(笑)。
しかしそんなことを日本国民に言うと反感を買うので、中国包囲網というのを必要以上にヒートアップさせ、そのついでにそれはあたかも日本が主導しているかのような錯覚を持たせた、というのが過去数年起こったことだと思う。
前にも書いたけど、インドは中央アジア側で不穏な動きを仕掛けられると迷惑するので、これを予防するためにもロシアとの関係を完全に切り離すなんてまずできない。
また、インド市場そのものにポテンシャリティーがあり、すぐ隣にはイランがあってこっちも今後の開発が見込まれる。となったらなおのことロシア、中国との関係に波風を立たせる意味がない。
さらにいえば、これも前にも書いた通り、インドから向こうの人たちは基本的にアメリカ+イギリスを信じてない。金儲けの部分では一緒にやる気はまんまんだけど、欧米信仰みたいなのを持つのはいかん、という腹を持った人は今でも多いと思う。
でもって、その腹があるからこそ実は日本にも好意的だったわけですね。英米と正面から戦った国だ、えらいな、みたいな。
ところがここ10年ぐらいの日本はそういう国ではないのね。私が懸念するのは、こういう一般人の認識って遅れてくるので、現在彼らが持っている日本に対する認識というのは90年代までの日本の結果だと思うの。ということは、今後はこれは変わる。可能性じゃなくてそうなる。その時日本人はどう感じることになるのかなぁと・・・。多分、裏切られたとかなんとか言い出すんだろうと思う。今のままでは悪循環が予想できる。
■ RIC
上の記事にもあるけど、ロシア、インド、中国はRICという単位で毎年交流している。
で、今回もちょうど閣僚会議があったので、だもんでこういう話題となったんでしょう。
その閣僚会議では、インド外相が、ロシアと中国に対しインドが国連安全保障理事会の常任理事国になれるよう協力をお願いするわ、と発言したとTASSが伝えていた。
India asks Russia, China to help it become UN Security Council permanent member
http://tass.ru/en/world/870561
これ自体、新しい話ではないけど、あらためて思うに、RICが揃って安保理理事とかになったら時代はユーラシアですな~とか言ってる場合でないほどそうなるんだなと。
インドの成否はともかく、今って国連安保理の機構改革がず~っと懸案になってるわけですよね。で、これが各国の外交にとってあめり表面には見えないけど実際には水面下の重要なカギになってるんじゃないかなと思ってみたりみなかったりするわけです。
そして機構改革は単なる機構改革だけじゃなくて各地の再編になるわけやね、とか思う。つまり地域のリーダー国複数が一義的に紛争の預かり所となる、みたいな。(現状モスクワが中東紛争預り所、みたいになってるけど)
■ 再保障条約状態
で、唐突だけど、こうなるとドイツのことを考えてしまう。国内メディアの過激な反ロシア状況とはまったく対照的に、外務省関係はNATO拡大にも反対だし、今般の問題でもなんのかんのとロシア、ロシア、ロシアとロシアに拘りまくってるように見えることがある。あと、前にも書いたけど、去年外相はスターリングラードを訪問して、心のこもった和解の一里塚みたいなのを築いていた。
独外相のスターリングラード訪問の意味を考える
これは何なのか。去年も考えたけどまた考えてみる。まぁ私の好例の妄想ですが。
ドイツはNATOが腐っている、もっとずっと腐っていく、ということを見越して、その後に欧州軍のようなユニットを作って欧州再編となる時期が来るだろう、その時中心は俺だ、と思っているんじゃないかと想像してみる。
で、その案の首尾はロシアが歓迎できるものか否かにある、ということなんじゃないですかね。それはちょうどビスマルクがそうだったように。
1年半前、ドイツとロシアは再保障状態じゃないかと書いた、テレグラフ紙のアンブローズはよく見ていたと言えるかもよ。皮肉なことだが。
ドイツ・ロシア再保障条約再び?
で、陰謀論的に考えれば、この密かな動向が見えるからこそ、ドイツの反ロシア感情を掻き立てようと頑張ってる人たちがいる、ということじゃないっすかね。これが言うまでもなくNATO関係者であり、そしていわゆるグローバリストの大企業。
こうやって考えると、どうしてドイツのドイツたる所以とまで言われる技術を持ったドイツのファミリー企業群たちがどうも団結して反メルケルに動いているんじゃないか(目立たないように)、という観測があるのか、という理由もこのへんなのかもしれない。
これも関係なしではないかも。
オーストリアのモスクワ訪問とNATO
注目すべきはフランスの動向となるんかな。
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