株価が大幅値下がりしたためか、我が国政府も多少なりとも正常なことをしはじめたように見える。
保険適用しますよ、とか。
厚労相、新型肺炎検査の保険適用表明
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200225-00000075-kyodonews-soci
今更何を言っているんだ、お前は、としか思えない話。しないという選択肢があり得るわけ?
単純に、どこの検査キットを使う云々でまたまた利権対立があるんだろうとは思うけど。
で、これは結局、安倍の応援団についていた、過去の遺物、現在の見え方としては「ホラの門系」とか言われる集団などがその急先鋒だと思うけど、ここらへんが当面負けた、少なくとも負けつつあるだろう、という話ではあろうかと思われる。
2月13日あたりらしいんだけど、こんなことを大真面目にネットテレビで言っていたグループがいるわけですよ。
https://twitter.com/aozorahyakkei/status/1228108287519813634
twitter上で、誰かが文字を起こして入れてくれたけど、当初は(今も?)録画も出回っていた。
統合キャンプみたいに勢ぞろいしてる雑誌もある。
「武漢熱」もすごいけど、「パンデミックの真犯人は習近平」というのも痛い。「習近平独裁体制崩壊の序曲」が鳴ってるらしい。どんな序曲だろう。序曲1812年?
みーーんな、とにかく中国共産党が嫌いで、とりわけ習近平を嫌いまくっている集団。
で、これは、前に書いたような、欧州東部のバンデラ主義者と対になる、極東の反共グループの人たちなんだと思います。
ここで、「東西の反共集団」で書いた通り。
「The West is winning」by ポンペオ
アルカイダとかと一緒で、名前を変えてくるからわかりにくいけど、一貫して存在してたでしょう。
で、この人たちにとっては、冒頭の福島香織さんがはしなくも語っている通り、個々の日本人の命と生活がどうかという問題よりも、中国共産党にとどめを、みたいな発想が優先される。
他にもいますね。それは、
国民の生活が大事なんて政治はですね、私は間違っていると思います
ときっぱり言い切る稲田朋美。
兵の命、国民の生活
ここらへんはみんなお仲間だというのは、思想的に見ればとてもわかりやすい。
そして、みんな「総力戦演説」を思い出させる。
■ 戦後政治の整理
ということで、昨年後半に、中曽根氏が亡くなったあたりで書いた、戦後の政治の枠組みを維持するために使われていた工作機関みたいなものが現在徹底抗戦をしているが、どうも彼らの望み通りには多分いかないんじゃないか、みたいな感じではなかろうかと思う。
中曽根&戦後政治とMRA
香港とアンチ運動の限界
右派人脈とリベラルに垣根はない&反共集団のレゾンデートル
ファシズムとの戦い変じてファシズム内左右となる
で、これはちょうど、ロシアの大将が、ナチ的なものは許さんという覚悟とスローガンの下に、ソ連が持ってた資料を出してことあるごとに説明しまくって大騒ぎをし続けているのと平仄があう。
■ なぜ習近平に噛みつくのか
そして、なぜとりわけ習近平にこんなに噛みつくのか。これって結局これなんですかね。
再び歴史的なモメントを迎えた中露 by 習
つまり、中国共産党は冷戦時代の後半にはアメリカにくっついてソ連を敵視してた。だから、日本はかなり気安く中国との関係を構築できた。ここ重要。
だがしかし、現在の習近平体制は、ソ連が中華人民共和国を支援したことを無視しない。
両国は、ソビエト連邦の大祖国戦争と中国人民の日本の侵略に対する抵抗を通じて血と命によって形作られた、壊せない絆をいつでも心に抱いていくことになるだろう。これらの戦いの中で、両国の軍と人々は肩を並べてファシズムと戦った。
などといったことを習近平は昨年2019年6月に、モスクワで語ってる。
共にファシストと戦ったという言い方が基本ではあるけど、中国はソ連の人たちの行動を忘れないという言い方で言外に感謝を示したこともある(2015年)。だからこそロシアとの関係が本物になっていった。
これは、冷戦後半の、「アメリカと中国を味方に、ソ連に敵対する」というスキームをエンジョイしていた日本のリベラルからすると、困った事態でしょう。無論、親元のアメリカのリベラルもそう。
この人たちは、「チャイメリカ」路線で行きたかった。中国を持ち上げて、米中2極ですね、とはいうものの、中国単独では実はいろいろアナがある(例:究極的な軍事、エネルギー)からこそ、この路線がよかった。
ところが、中国は基本的に米中が2つの大きな柱になることは間違いないです、という姿勢ではあるけど、背中でロシアとの友好を確実にして、ええ、米中ですと言ってる。つまり、中国は強い中国になってる。
で、当然これは中国国内の内部でも対立があると思うわけ。チャイメリカでOKと思って行動してた人たちは多いはず。
しかし、しかし、ここが問題。チャイメリカの構図というのは、上で書いたように基本はアメリカ優位で中国を下に付けようという作戦。ということは、これが理解されていけば、チャイメリカ利益追求派に戻れと考えるチャイニーズは多くはならないのでは? つまり、習体制の方がより「チャイナはチャイナだ」派であるという理解が構築・維持されれば、こっちの方が強いだろう、というのが私の考え。
だけどここで対立するとそれこそ敵の思うつぼなので、愛国を旗印に収拾していく、ってな話になるんじゃないのかしら。ロシアとかぶるね。
■ リベラル勢の意味不明
ということで、事態は右派にとどまらず、「戦後民主主義」とかいう謎のポジションを作ってきた左派の方もまた嘘の土台に乗っていたという話になるので(例:いずれにしても満洲で負けた話をしない、北方領土問題は日本でしか通じないようなことをやり続けてる)、いきおい、朝日新聞、東京新聞あたりと産経新聞、月刊Hanadaに違いがなくなってみたりするんでしょう。
「自由と民主主義」チームでない=西側傘下でないもものはみんな敵というやつ。
今日の朝日の記事。人の命より中国共産党指導部の「苦境」を喜んでる風。
中国共産党「1カ月後を見通せない」逆境での全人代延期
https://www.asahi.com/articles/ASN2S732PN2SUHBI00J.html?iref=comtop_8_05
中国で国会に相当する全国人民代表大会(全人代)の延期が24日、正式に決まった。共産党指導部は政治の安定を図るため早期の開催を目指すが、新型肺炎の収束が見通しきれず、新たな日程は持ち越しとなった。習近平(シーチンピン)国家主席にとって、厳しい状況が続く。
しかも、アホなことを言っている。
安定的に運営することが政権の安定につながる、それができない、すわ不安だ、って、公家が定められた日時を違えることを「凶事」と見る、みたいな発想だなと唖然とした。
緊急事態があったら仕方がないではないか、と思えないほど中国の人民は頑迷なんだろうか?
ってか、中国人民は、これで経済が悪化し、秩序が廃れていったりしたら、共産党ふざけんなに火が付く、という機序はありそうだけど、全人代を開けない → 命運尽きた、という迷信的なものは今あるの? あの人たち、そんなナイーブ?
そもそも、現在、中国共産党はリモートで大規模会議やってたりするわけで、集まらないと終わるという時代でもなさそう。
それより、朝日の記事で、祈願が真面目に取り上げられる方に、ちょっと不安なものを感じる。
新型肺炎終息へ特別祈願 春日大社、新型インフル以来
https://www.asahi.com/articles/ASN103HH4N1ZPOMB010.html
やるのは勝手だと思います。だけど、これを何か重大で意味があるものであるかのように取り上げるのは別問題。
■ オマケ
ふと思うに、「チャイメリカ」というのは、米ソ間における「デタント」時代みたいなものだったかも。
デタント時代というのは米ソが多少仲良くなっているような恰好で、結果的にはソ連の緊張を緩めたにすぎない。その間に、ソ連打倒を画策してた。
他方、台湾は厳格対応。
台湾総統の支持率が急上昇 新型肺炎への厳格対応を評価
https://www.asahi.com/articles/ASN2S5VL7N2SUHBI00N.html
極東ではロシア、北朝鮮、台湾が厳格対応だった。
ニクソン訪中以来、米中は密かな同盟関係にあったが、これをぶち壊したのが助平で金満家で暴言王の嫌われ者ののトランプ
書いてくださってありがとうございます。もっと知られるべきだと思います。
経済は破綻しかけ、国内は混乱し社会主義陣営・第三世界からも孤立し、その打開で米中接近となりましたが、革命第一世代の鄧小平など、経済は米国の配下になっても、政治的に油断はしなかった。
中国の指導者はしたたかで敵と右手で握手をしながらも左手で殴り合いもするという、芸当にたけています。国共合作・内戦などもそうした文脈から理解できます。自分が弱いときはできるだけ争いを避ける。「韜光養晦」
チャイメリカというのは中国発展の過渡期で争わないための方策ではないでしょうか。
米国はいまやキングギドラかヤマタノオロチのように暴れまわっていますので、ロシアとの同盟は必須でしょう。
私は別に中国を批判したくて言っているのではないですが、でも、建国にあたって支援した人たちを裏切ってアメリカについていたことは間違いはないでしょう。
本人たちにとってそれは賢い選択だったとしても、他者はそうは見ないかもしれない。こうやっていくと信用が生まれない、ってだけの話です。中国が漁夫の利で行っていることはアメリカは非常によくわかってる。わかっているということは、それは、突っ込めるところを持っているということでもある(中国支配層にとってはリスク)。
あと、アメリカは100年越しで中国を味方にしようと踏ん張ってきたわけです。だから大学の交流などが非常に密だし、在米中国人が多数いる。
これは英米支配の手口ではありますが、それが今後どう影響するかはまだ誰にもわからないですね。
ロシアと中国は本人たちが言っている通り同盟ではなく、同盟することもないと思います。敵対しなけりゃいいという関係。
どこぞの国のように、世界の中心が自国ではなく、アメリカというのが国家のありかたとして大変不健康なのだと思います。
又、今の中国をして、親ロ、反米と一刀両断するのも愚の骨頂です。アメリカの有名大学に来てごらんなさい。中共エリートの子弟がゴロゴロいるじゃないですか。そもそも習近平の娘からしてハーバードだし。(なぜモスクワ大学じゃないの?)ITやバイオのハイテク集積地もしかり。そこで働く中国本土からきたエリートは、自ら決して言わないけれど、中国共産党員の家族である比率は高いはずです。
チャイメリカというのは、アメリカの思惑とは別に、中国にとっては、単に経済的発展、頭脳の蓄積のための方便にすぎなかったと思います。中国にとって、アメリカは利用価値があったから利用したまでのこと。私は、それでよいと思います。
アメリカは、チェイメリカの思惑がはずれ、しかも頭脳まで持っていかれたので、ここに来て焦っているのです。ファーウェイしかり、ハーバード大チャールズリーバー教授逮捕もしかり、スタンフォード大張首晟教授「自殺」もしかり。
でも、これもプロレスみたいなものだと思います。
雑誌Hanadaに寄稿している面々は本当にバカかと思います。それほどまでに米中は深いし、それ故に一層中露関係が重要になってくるのだと思います。
また、ロシアとも昔から関係もあるし、ロシア留学していた芸術家も多い。娘が住んでいた、北京のアパート、元々は何十年か前に建てられた労働者の住まいだったのですが、ロシアの動画で見たアパートと、造りも色も全く同じだったようです。