いやしかし、西側世界というのはマジで危機だわなって気がしてる今日この頃。
で、どうしてこうなったのかというと、結論として西側世界は「ナチ組(または妄想ファシスト)」に乗っ取られたんだという思いをますます強く持つ今日この頃。そしてその中でそれぞれが変容してネオコンとネオリベが住むことになった。だから、「リベラル」は昔存在してた左翼とはまったく別もの。そして「ネオコン」は戦前の日本の右翼とは関係ない。
今日、櫻井さんがボリビアのクーデターの話をまとめてらしたが、南米のクーデターはみんなそのナチ組みの人たちの末裔の仕業だと思う。
ボリビアでクーデターを仕掛けているアメリカの勢力はイスラエルによるパレスチナ人弾圧を擁護し、中東や北アフリカ、旧ソ連圏での侵略戦争を支援、ラテン・アメリカにある巨大資本の利権を守ろうとしている。そうした勢力が進めている政策は私的権力による世界支配だ。このシステムをフランクリン・ルーズベルトはファシズムと呼んだ。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201911110000/
■ 1945年に終わった戦争
1945年に終わった戦争とは、ナチを代表例とする私的権力による世界支配を狙う側と、そういうのは無理と別の理念で行ってたルーズベルト&スターリンの戦いだった、それなのにトルーマンときたら・・・というのがオリバー・ストーンとピーター・ガズニックの基本線のようなものだったと言えると思うんだけど、これが今日最も妥当な基本線といっていいんじゃないかな。
オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1: 2つの世界大戦と原爆投下 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) | |
大田 直子,鍛原 多惠子,梶山 あゆみ,高橋 璃子,吉田 三知世 | |
早川書房 |
■ ナチとは何者だったのか
ナチとは何者だったのかについては、奇妙ないきさつによって世界で一番わかりやすい動画を持っているのは実は日本なんじゃないかと思う。
麻生さんがあまりにもナチシンパの発言を繰り返すもんで、東京大学大学院教授の石田勇治先生が力を込めて、講義をされている。
「過去の亡霊」をよみがえらせる、だって好きだから?
要するに、財界と昔のドイツ帝国が忘れられないドイツの大物たちが、社会民主党&共産党よりは断然こっちがいいと応援しまくって、無茶苦茶やっても無問題で作っていったのがナチ党。社会民主党がバランサーになれずにナチ側に転がされる様は現在のドイツと全く同じで興味深い。
■ ナチ勢力の温存 欧州
ナチ勢力は、1945年に完敗する。
しかしながら、よく知られているように、ドイツのゲーレンなどを代表例に普通に行ったら代表的な戦犯となるべき人々がダレスをはじめとする今でも全貌のわからない英米の一群によって助け出される。
結果、冷戦期、米国諜報機関は多数のナチをスパイとして使っていた。
In Cold War, U.S. Spy Agencies Used 1,000 Nazis
(冷戦期、米国諜報機関は1000人ものナチをスパイとして使っていた)
By ERIC LICHTBLAUOCT. 26, 2014
http://www.nytimes.com/2014/10/27/us/in-cold-war-us-spy-agencies-used-1000-nazis.html?_r=0
これは2014年に出た本をニューヨークタイムスが紹介した記事。しかしここまで知られていなかったわけではなく、70年代ぐらいから何度か騒ぎはあった。が、どこも徹底しないまま今日に至る。
■ ナチ勢力の温存 極東
さてしかし、これは当然に極東にもあったでしょう。
それが多分、服部、辻といった旧軍の無残な敗戦の責任者であった人たちが特にお咎めなしですまされていることであり、そして大陸でうごめいていた一群がまるごと残ったことでも知られる。言うまでもなく岸、児玉、笹川といった人たちのこと。
日本の占領期は最初は「民主化」政策、後に反共に転じたということになってるけど、戦犯集団を助けたり旧軍関係者を集めたりする行動は途中から起きた話ではないと思う。そもそも、マッカーサーの「my little facist」ことチャールズ・ウィロビーは情報参謀としてずっとマッカーサーに帯同して、対日政策で大きな役割を果たしている。
my little facist(私の小さなファシスト)というのは、マッカーサーがウィロビーをそう呼んだという言葉。
で、ウィロビーは大男なのでlittleというのは、どこか軽蔑が入っていたのかもな、などと思わないこともないが、ともあれ、このファシストという揶揄は実に重要だった。
なぜなら、ウィロビーは実際、戯画化されたヒトラーみたいな男なんじゃないかと思われるから。
■ ドイツ人ウィロビー
チャールズ・ウィロビーという人は、日本の対日政策にかなり重要な役割を果たした人なのだが、なにか、どうも、正体不明の人のような感じ。
まず、この名前はイギリス風の名前だけれども、この人は実はほとんどまったくドイツ人といっていい人だった。これって知られてる?
ドイツで、父ドイツ人、母アメリカ人の間に生まれ、1910年18歳の時米国に行って帰化して、米陸軍に入る。こういう経歴はヨーロッパで食えなくなった、上手くいかない事情があった人にありそうだなと思われるわけだが、本人はドイツの男爵の息子だと自称していた。
1910年に米軍に入り1913年に満期除隊。その後大学に進んで、再度米軍に入る。フィリピン戦線でマッカーサーに出会い、以降、軍功があったというよりもマッカーサーにおべっかを使って昇進していった感じであるようだ。
そして、この、米兵、米軍の中で好ましい評があったようにも思われない男の評判が一気に失墜するのが、朝鮮戦争。
失墜にとどまらず、今でも、ひょっとしたらコイツが米軍史上最悪の情報参謀なんじゃないのかなどと研究書で指摘される人でもある。
これはつい最近の記事。2017年初出。
これは米陸軍史上最悪の情報参謀か? だそうです。
Is This the Worst Intelligence Chief in the US Army’s History?
https://thediplomat.com/2019/01/is-this-the-worst-intelligence-chief-in-the-us-armys-history/
朝鮮戦争って朝鮮で行われた戦争だけど、米軍にとって最もでかい問題は、内戦を勝って勢いづいた状態の中国人が多数出てきて、米軍史上有数の(あるいは最悪の)敗走をさせられた、という部分。
そこに大きな責任があったのがこのウィロビーの情報参謀としてのあまりにも甘い、あまりにもおかしな中国軽視だったというのがこの最悪の汚名の主な理由。
よく知られているように、トルーマンは、朝鮮で大戦争をしたいなんて思ってないので、中国とロシアが出てこないという条件だったら鴨緑江を超えることもできる、といった(多分戦術の問題としてというべき事態)。考えようによっては迂闊なことを言っていたわけだが、この線を堅持する腹だからなのか、ウィロビー、そしてその情報に基づくマッカーサーは、中国人が出てくるといっても大した人数じゃない、大丈夫、といった状況を米政府に報告してた。さらに、米軍が入っていっても尚、中国人の人数を過小評価していた。そのおかげで、結果的に米軍大敗走となった、と。
その後リッジウェイが出てきて仁川上陸作戦をしたりしてカッコいいところもできたので、以降それなりに体面を保っているような感じになっていたが、米ではこの大失敗はホントに不評だった。
そして、これはその不評の一つの現れなのかなと思うのは、ウィロビーについて批判的な記事が1952年に出て、その中で、ドイツの男爵の息子だとか言っているが、ドイツで調べると男爵には該当する息子はないと指摘されていること。「ユンカー将軍」とか言われてるけど、違うんじゃねーか、といった趣。
また、彼の幼い頃を知っている人はウィロビーの両親は両方ともドイツ人だ、という証言も拾ってる。全体として、誰なんだこの男は、とアメリカの軍人が怒ってるからこういう記事が出たって感じだと思う。
この記事。
Heidelberg to Madrid —
The Story of General Willoughby
by FRANK KLUCKHOHN
The Reporter (New York Journal) August 19, 1952
http://www.maebrussell.com/Articles%20and%20Notes/Charles%20Willoughby.html
■ ヒトラーの類似品っぽい
私がこれらの記事を読んで思ったのは、ウィロビーはアメリカ人というより、単なるナチ時代の低ランクの将校あたりにいそうなキャラだなといった感じがするということ。
一般に日本の戦後史ではこの人を「反共」の人と呼ぶわけだけど、それはだいぶ上品というか、だいぶニュートラルな感じに見える婉曲表現ではなかったのかとさえ思う。ウィロビーのそれは別にマルクス主義に由来する何か学問的な詰めがあって反しているのではなくて、反ボルシェビズムであり、そしてそのエッセンスは、貧乏人が権利を主張するみたいな時代のトレンドが大嫌いだ、といったところだと思う。
だがしかし、それを本物のユンカーが言うのならまだ話はわかるわけだが、どうもそうじゃない。これはアドルフ君も一緒だった。アドルフ君は、上で石田先生が切々とご説明されている通り、ヒンデンブルグなどの旧ドイツ帝国時代の大物の余勢をかって、あたかもプロイセンの伝統に連なるものであるかのような仕立てを好んでやっていた。
ウィロビーが1947年にマッカーサーに宛てた手紙の一節が上で参照した2017年のアメリカの記事に出ている。アメリカ人がこの傾向は重要だと思ったからこそ出しているんだろうと思うが、私も重要だと思う。
試訳してみるとこんな感じ。
あなた(マッカーサー)に匹敵する人物は現代にはいません…最終的に、[人々]は、偉大な指導者に惹きつけられていきます。偉大なアイデアではなく偉大な男に。マールブロウに、ナポレオンに、ロバート・E.リーに惹きつけられるのす。これらの人々は古くからの王朝の同盟のようなもの… 紳士はグランドセイニャー(大荘園領主)に仕えることができます。 私のキャリアには有終の美が飾られることになるでしょう…そして私が世界をざっと見まわしたところでは、グランドセイニャーたちは持ち場を離れつつあり、ロシア人の鞭に駆り立てられた顔のない大衆、下等の人間(underman)に対する厳しい抵抗戦を戦っているのです。
There is no contemporary figure comparable to yours… Ultimately [people] have been attached to a great leader, to a man and not an idea, to a Marlbrough, to a Napoleon, to a Robert E. Lee. Underneath it all, these are age old dynastic alliances… A gentleman can serve a grand-seigneur. That will be a good ending to my career… and as I scan the world, the grand-seigneurs are leaving the arena, fighting a bitter rear guard action against the underman, the faceless mob driven by the Russian knouts.
一言でいって、気持ち悪い(笑)。おもねりもここまで来ると滑稽と私は思う。1947年でも2019年でもアメリカ人の多数が大嫌いな姿勢がありありと描かれているとも思う。
だけどこの気持ち悪さは、実を言えば日本の右派には脈々と流れている。言葉遣いさえそんな感じがする。大衆を呪い倒しているところとか、下等な人間 udnerman、subhuman、underhumanと上等な人間を分けてみたりとか。また、アイデアではなく人なのだ、というのも右派に共通してると思うな。グランドな人物がこの世を支配するのがいい、みたいなのはニーチェあたりの頃からのドイツの流行りだったっぽいし。
そしてヒトラーもウィロビーも同じように歴史の理解がおかしい。大衆を扇動するのはロシア人だと決め打ちしてるところが重大な誤り。
ヒトラーが1889年生まれ、ウィロビーが1892年生まれなので、この2人が物心がつくころロシアは帝国だった。大きな帝国でむしろある意味で「反動」の頭みたいなものだったからこそ急進的な人々に狙われ続けた。
そして、その時代において最も労働者の権利を熱心に求めていた、少なくとも労働者側に立った(はずの)政党を持ったのはドイツ。ドイツ社会民主党は、遡れば1863年にまで届く世界最古の社会主義者の党。19世紀において社会主義というアイデアが著しく議論されていったのは否定しようもなくドイツ。
ここからどう繋げていいかわからないんだけど、要するにドイツは統一から第一次世界大戦の敗戦に至る中で、方向感を失って妄想に逃げ込む人たちを輩出していたように見える、とは言えるんじゃないですかね。
そして、他人ごとではないのは、日本についても、ボルシェビキが嫌いだというのはいいけど、だったらなんでヤコブ・シフの手伝いしてロシア帝国崩壊のための先兵になってたんだよ(日露戦争)、という実に馬鹿げた問題がある。ドイツと似てるところは確かにある。
■ 反共リーグ
で、このウィロビーは、朝鮮戦争の終結を待たず退役となって、その後はスペインのフランコ将軍にお仕えしていたりするのが表には出ているが、それだけではなく、世界反共連盟(World Anti-Communist League)の創立にもかかわっているという説もある。
あまりにもナチくさいので、ウィロビーとナチで検索したら、
80年代に出た「ナチ・コネクションからJFK暗殺まで」という本の中で、反共人脈の人物としてウィロビーの項目があった。
The Nazi Connection to the John F. Kennedy Assassination
http://www.maebrussell.com/Mae%20Brussell%20Articles/Nazi%20Connection%20to%20JFK%20Assass.html
たいていのことは80年代ぐらいまでに考えられている、と私は思っているわけだが、ここでもまたそうだったっぽい。この中身はまだ精査してないけど。
■ 今後の課題
疲れたのでこの先はさらにまた考えるとして、ここまでのまとめとしては
アメリカはファシズムとの戦いで勝利した、さぁ俺がリーダーだ、という良いイメージと妥当な政策で行くこともある程度できたと思うが、結果的には、妄想ファシストを盛大に囲い込んでいたためそうはならなかった
妄想ファシストがダレスなどの現実勢力と結びついてたいた以上、妄想は妄想ではなくなっていた(例:日独の戦犯の限定的な運用)
妄想ファシストが実地に活動している中で1949年の中国共産党勝利が来る。このタイムラインから考えれば朝鮮戦争はもっと別の仕掛けとして読み解くべきであろう
ネオコンは一般にユダヤ人と言われることが多いやにみえるが、妄想ファシストラインが土壌なのではなかろうか? であればユダヤ人とは限らない。むしろ、妄想親ドイツ派の方が主成分では? であれば、この20年間のネオコン定義はあえて誤った路線が示されていたのではなかろうか?
アメリカの(そしてそれに追随した西側主要国の)現状というのは、「ファシズムとの戦い」変じてファシズム内左右となる、という実に身もふたもない状況と呼べそう
そうであればこそ、トランプのモスクワのビクトリーデーに行きたい発言は細く張り巡らされた地下茎を揺るがす事態なのだろう
日本の戦後の裏街道というのはウィロビー体制として捉えるべきなのかもしれない
日本会議は菅野氏の説明よりもずっとこのウィロビー体制の方に似てる。
といったところでしょうか。ますます複雑になってきたような気もするし、逆に実にシンプルな話だったとも思う。要するに、結局のところ正規分布的に見た時の庶民にとって「ファシストとの戦い」は続いていると考えるのが妥当であろうと思われるが、妄想の貴族とかになっちゃう庶民もいるから問題が妥当な線まで解決することは今後もないだろう(笑)ということだと思う。あははは。
これは、現在でも一旗あげようと無一文で渡米してくる若者の定番です。米軍入隊で市民権と学費の両方が得られるからです。
もし、母親が米国籍で、しかも父親が爵位を持っていたのなら、米国籍もカネもあったはずで、18歳になるや否や米軍入隊という人生のルートをとることはありえないと思う。
ちなみに英文のWikiだと、my pet facistとなっていて、さらに辛辣です。
自らの出自に爵位で箔づけをする卑屈さが、戦後日本の裏街道と相通ずるように思います。
このバカの一つ覚えみたいなマンネリ化たっぷりのウクライナゲートを突破し、トランプはモスクワに行く。I guarantee.
高額所得者に対する大幅な税率引き上げ、大企業に対する罰則の厳格化で話題のウォーレン。
内政に関しては、彼女の公約を大歓迎する。
が、彼女にモスクワのビクトリーデーに行くという発想はあるか?
そうなんですよ。まったくの定番路線を行っているわけで、当時これを見た人は全員、お前絶対「ユンカー将軍」じゃねーな、と思ったでしょう。
ウォーレンに関しては私も内政の路線はまぁまぁいいと思う。でもこれって内政でデモクラッツの票を取りまとめ、介入戦争路線継続ってのが「上(誰だか知れたものではない)」の構想だと、気がつく人はみんな気がついてる。
介入路線継続問題って結局、CIA他の米の膨大な治安組織をこのまま自由にするか否かの問題なので、実はこここそ財政問題の核心でもあるわけで、そこから考えると大企業に増税しろだけでは足らない。