だいずせんせいの持続性学入門

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原発震災(11)「ホットスポット」

2011-03-24 22:43:06 | Weblog

 ついに文科省から福島第一原発周辺の土壌や植物の放射能測定結果が公表されるようになった。放射性のヨウ素とセシウムのそれぞれの放射能濃度が計測されている。これまでの政府の対応からすれば迅速な計測と公表と評価できる。単位のBq/kg(ベクレル毎kg)はサンプル1kgあたりの放射能の強さをcps=Count Per Second、つまり1秒あたりの放射線のカウント数で表すものである。

 文科省の測定結果を見て目につくのは、土壌も雑草の葉も、【2-1】飯館村の値が目立って高い。福島第一原発から北西に40km離れたところである。局所的に放射性物質が高濃度で降ってきたようだ。放射能汚染の「ホットスポット」と言えるだろう。ここでは避難指示も屋内待避指示も出ていないが、私は十分に注意した方がよいと思う。少なくとも屋内待避をすべきではないだろうか。外出する際には濡れガーゼにマスクが必要と思う。他にも局所的な汚染地域があるだろう。ということは空間的に密な放射能測定をしなければならないことを意味している。早急に計測体制を強化してほしい。

 現在、農作物や水道水の放射能汚染の主役は放射性ヨウ素で、その半減期は8日だ。原子炉では核分裂連鎖反応は3月11日以来止まっているはずなので、新たな放射性ヨウ素の生産はなく、その総原子数は全体としてはしだいに減少してきているはずである。今後一ヶ月もすれば、その放射能は問題ないほど弱くなっていくだろう。今しばらく十分注意してやりすごせば、復興段階では影響はなくなるだろう。
 一方、放射性セシウムの半減期は30年である。こちらは長く放射能が残ることになる。文科省の測定結果でやはり目につくのは、【2-1】地点の雑草の葉の放射能濃度をみるとヨウ素だけでなくセシウムの放射能濃度も高いことである。1ヶ月後に同じように計測すれば、ヨウ素の放射能はぐっと下がっているだろうが、セシウムはほとんど変化がないだろう。これは復興に支障を来すレベルと思う。放射性セシウム汚染の「ホットスポット」では長く復興ができなくなる。とりかえしのつかないことである。

 放射性のヨウ素もセシウムも核燃料のウランの核分裂反応が起きなければ、この世に生まれてくることのなかった物質である。ウラン自体はそれほど危険な物質ではない。以前、浜岡原子力発電所の見学に行った時、作業員の方が、使用前の燃料棒を間近で点検していた。これが使用済み燃料棒ならたちまち死に至るところである。
 原子炉でウランを燃やすということは、ウランの原子核に封じ込めていた魑魅魍魎をこの世に解き放つようなことなのだ。今は好むと好まざるとにかかわらず、彼らとの長い長いおつきあいがはじまったということである。


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