2011年11月にグラクソスミスクライン(GSK)社から発売されたロタウイルスワクチン(ロタリックス)。
その添付文書には 「生後6週間から初回接種を開始し、少なくても4週間の間隔をおいて2回目の接種を生後24週までに完了する」 と記載されている。
しかし1998年にアメリカで、ワイス社から「ロタシールド」というワクチンが発売され、これを生後13週以降に接種された乳児10万接種あたり22人に腸重積が発生した。
そのためワイス社は同ワクチンを回収した=「ロタシールドの悪夢」と名付けられている。
現在、WHO、ACIP、欧州小児科学会、欧州小児消化器病・肝臓・栄養学会は生後生後12~14週を接種限界としている。
GSK社の添付文書の接種期間を大きく越えるものであり、生後13週以降に1回目、2回目を接種されるとすれば、今後腸重積の発生が懸念される。
このワクチンはロタウイルス胃腸炎の重症化を防ぐものであり、感染を抑えるものではない。接種料金は1回12000円から15000円と高価なので、接種する必要があるのかどうか迷うところである。
自主的な防衛策としては、是非 「ロタウイルスワクチンは1回目も2回目も、生後6~12週に接種する」 と決めておきたい。
ロタウイルスワクチンと腸重積の関係については以下の論文が出ている。
◆初承認されたロタウイルスワクチン(ロタリックス)の接種時期に関する添付文書の懸念
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座准教授 中込とよ子
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座教授 中込 治
http://www.jmedj.co.jp/article/detail.php?article_id=13704
◆わが国にロタウイルスワクチンは必要か?
Rotavirus vaccine : Is there a need in Japan ?
モダンメディア 54 巻11 号2008[ウイルス] 317
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
感染免疫学講座分子疫学分野
中込 治、 中込 とよ子
http://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/pdf/MM0811_01.pdf#search='
■ロタウイルスワクチンの腸重積症リスク
「New England Journal of Medicine」12/1号