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この平穏退屈な日々にもそれなりに感動って在るもの。

無題

2022-05-06 22:15:58 | とりとめもない話
俳優の渡辺裕之さんが亡くなったというニュース。66歳。もし自分が男なら、あんな渋くてかっこいい歳のとり方をしたいもんだとか、あんな誰が見ても優しそうな妻が隣にいてくれたらなあとか、羨ましいことばかりで、どう頭を捻っても今回の死とは結びつかない感じがする。

でも現実にそうなのだ。

この春中二になった息子が言った。

「66歳で悩むことあるの?」

・・・・あるわ。人間、幾つになっても悩みはあるわ。
でも、中2男子の狭い学校という世界でのサバイブに比べたら、俳優としてもすっかり大成した老人に何の悩みがあるのかと本気で思ってしまったらしい。

何年か前、篠田桃紅さんの「103歳になってわかったこと」という本を読んだ時、自殺した同級生への何故が消えない若い友人に桃紅さんがかけた言葉を思い出した。

「私は、納得しようとするのは、あなたの思い上がりです、と言いました。
人というものは、納得できないことのほうが多い。自分たちの知恵では、わからないことのほうがずっと多い、と長く生きてきた年の功で教えました。ですから、なぜ自殺したのかは誰にもわからない、と。

人というものは不思議な生き物、かんたんに割り切れるものではないと私は思っています。とても偉いものでもないし、そう愚かなものでもないとは思いますが、不思議な生き物です。」篠田桃紅「103歳になってわかったこと」より抜粋。

この文章を読んだ時、まるで長年の憑き物が落ちたような感じでこの言葉が心にすとんときた。以来、付箋を貼って時折読み返す。

人は他人のことを、それがとても親しい間柄だとして、どんなに深くわかったつもりでいても、本当に理解できてるわけがなくて、そんなことを思うのはおこがましいことなんだ。

つい何日かまえ、仲睦まじくバーベキューしてた人がそれを選ぶのか、あんな奥さんがいる人がそんなことするか、全部、本人にしかわからないことだ。

あの日のみさきちゃんの行動も、我々は見当をつけ、予測して懸命に捜索したはずなのに。

だけどやっぱり、奥さんにとっては、今回のことはあまりに残酷な仕打ちじゃないのか。ねえ・・・