某ちゃんノート

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尾根のかなたに

2012-10-29 | 読書メモ
「尾根のかなたに~父と息子の日航機墜落事故~」
  門田隆将



伊丹空港は
関西人が多く利用する空港だから
直接知り合いはいなくても
関西出身の者には
友だちの友人とか
友だちの知人の親とか
知人の会社の人とか
何やかやと事故にかかわった人との繋がりがあったりして
事故の報道も覚えている

知りもしなかった
分からなかった
考えもしなかった
そんな自分がアホに思える

生存者救出に当たった自衛隊員は
その子を養子にしようと考えながら救出した
「この子は人を怨まずに人生を送れるのか」
と考えたという
身寄りがないとか
生活費のこととかじゃなくて・・・
しかし
退院のときに
感謝の言葉を病院の人たちに書いた
と聞いて
ほっとした
それで自分との縁は切れた

任務終了って思ったってことでしょうね
本の冒頭のところだが
実はそこが一番感じ入ったんだ
人間は厳かな心を持っているんだ
って
涙が出てきた
現場や遺体の表現は控えめだとは思うけれど
それでも悲惨で
耐え難いものだ

そこへ行って実際に見る9歳の男の子
中学生や高校生で家族を支えなければならなかった男の子たち
遺体の検視を手伝いながら父の身体を探した歯科医の兄弟
彼らは
突然の喪失感と戦い
不条理と戦い
自分と戦い
絶望と戦い
やっと
地獄から抜け出て
現実を取戻し
時間をかけて
安らぎと幸せを得る


哀しみの「時」というのは、いつまでその針を刻み続けるのだろうか

本当にそうだな
それでも
彼らは今もまだ戦い続けている
新しい使命を持っている
それは
四半世紀前の事故から現在につながり
未来へと繋がっていく
それを支えたのは
通りすがりの
厳かな心の存在
魂の存在
なのだな~
そうじゃないかな~

思った