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2013 タイ旅行計画 5  暁の寺

2013-10-10 22:57:58 | タイ
ただでさえ、ひさびさの純文学、しかも三島由紀夫。
活字を追っても、なかなか頭に入らない。
視線は進んでいるのだが、気がつくと、頭が空洞になっている。
うっかりすると、自分は寝ていたのではないかと思うくらいだ。



バンコクの三大寺院のひとつである「ワット・アルン」について
書かれたガイドブックには必ずといっていいほど、
「あの三島由紀夫の小説『暁の寺』で
有名な・・・」という記述が出てくる。
これはぜひ読まねばと思った。

この小説を読んでいて勘違いをしていたことがある。
「暁」を夕陽と思い違いしていたのだ。
あれっと思い辞書を引きなおし「朝日」のことだと確認する。
それほど、小説の中では、夕陽の中の「暁の寺」が美しい。

小説の前半はバンコクの寺院の描写がよく出てくる。
それもくらくらするほどの緻密な描写だ。
宗教建築やら、ヨーロッパ建築の用語もふんだんに使用されており、
自分の語彙力のなさを痛感しながら読み続ける。

それでも、あっこれ、あとで実際の風景と比較してみたい、と思ったところが
何カ所かあった。

特に「暁の寺」における主人公ジン・ジャンが登場する「薔薇宮」は
実際にみたら、どんなところなのだろうと、興味をそそられた。
ネットで、いろいろ検索ワードを変え調べてみたが、はっきりした
ものは得られなかった。

唯一ひっかかったのが、宮崎正弘著の「三島由紀夫の現場」という本だった。
さっそく、図書館の蔵書検索をしたら見つかったので、借りることにした。

しかし残念ながら彼はその中で「薔薇宮は実際に見たらがっかりするだろう」
と書いている。
しかも、その著作の中には写真がなかった。場所の記述もない。
それこそがっかりした。

しかたがないので、文章から、私が理解したことを描いてみた。
たぶん、三島がこれをみたら、怒るか、あきれるかするだろう。
どなたか、写真でも絵でも見せてくれないだろうか、と本当に思う。



しかし、同じもの(建築など)をみても、これほど、見る人によって
違うものなのかと思う。語彙が豊富であれば、これ緻密にものを
見ることができるのだ。
三島の文章を読んで、大理石寺院(ワット・ベンチャマボピット)
などを見てみたいと思う。
あたりまえだが、これほど、レベルの高いガイドブックはないと思う。

中盤はインドへ行った時の精神的衝撃について語られている。
ただ今度は宗教用語が多くなり、「唯心論」だとかに「末那識(まなしき)」
だとか「阿頼耶識(あらやしき)」だとか出てきて、お手上げ状態になった。

しかし、「あらゆるものは自分が見たり、聞いたりするから存在
するのであって、実際にはないのかもしれない」ということや、
「色即是空、空即是色」とか「玄奘三蔵」と関係ある、と聞くと
多少、親しみが持てるような気がする。

後半は、凡人の私には官能小説のようにしか感じられなかった。
この裏に哲学的な、あるいは芸術的な表現を感ずればいいのだろうが、
凡人の私には無理である。
それとも、三島は詩のような情景描写から、哲学的な文章をとおして
官能小説まで書けるということなのだろうか。

それにしても、バンコクは、この錆付いた頭を
純文学まで連れて行ってくれたのだ感謝せねば。



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