港町のカフェテリア 『Sentimiento-Cinema』


献立は…  
シネマ・ポップス…ときどきイラスト

旅の友・ポップス編 (386) 『恋はボサ・ノバ』

2018-03-21 17:10:40 | 旅の友・ポップス編

『恋はボサ・ノバ』 イーディー・ゴーメ
”Blame It On The Bossa Nova”  Eydie Gorme 【YOUTUBEより】


この曲は1963年にバリー・マンが作詞、シンシア・ワイルが作曲した全米7位の軽快なポップスです。
ボサノヴァといえば皆様よくご存じのブラジル産のリズムで、既に映画『黒いオルフェ』やジョー・ハーネル楽団の
『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』などもあったのですが、『恋はボサ・ノバ』が流行った1963年にはまだボサノヴァは
ポップス・ファンに認知されておりませんでした。
『ボサノヴァ』という言葉が出始めたのは、1963年初にポール・アンカの『ボサノバでキッス』が【今週のベストテン】
の第10位に一度だけランクイン、そして同年4月にこの『恋はボサ・ノバ』がベストテン入りすることによって、ようやく
その名が知られるようになりました。
その後、エルヴィス・プレスリーの映画『アカプルコの海』の挿入歌として『ボサノバ・ベイビー』などによって徐々に
浸透し、1965年のアストラッド・ジルベルトの『イパネマの娘』の大ヒットによってボサノヴァ・ブームが巻き起こります。
振り返ってみれば この『恋はボサ・ノバ』が日本のボサノヴァのはしりだったとも言えるでしょう。

この曲のタイトル”Blame It On The Bossa Nova”は「ボサノヴァのせいで」という意味合いで、ダンス・パーティーで
出会った彼氏の踊りにぞっこん惚れてしまって結婚の約束までこぎ着け、彼氏とこうなったのは「ボサノヴァのせいよ」と
おのろけ半分に喜びを綴っています。

I was at a dance when he caught my eye
Standin' all alone lookin' sad and shy
We began to dance, swaying' to and fro
And soon I knew I'd never let him go

Blame it on the bossa nova with its magic spell
Blame it on the bossa nova that he did so well
Oh, it all began with just one little dance
But then it ended up a big romance
Blame it on the bossa nova
The dance of love

旅の友・ポップス編 (385) 『アディオス・マリキータ・リンダ』

2018-03-20 17:13:02 | 旅の友・ポップス編

『アディオス・マリキータ・リンダ』 トリオ・ロス・パンチョス
”Adios, Mariquita Linda” Trio Los Panchos 【YOUTUBEより】


この曲は1925年にマルコス・アウグスト・ヒメネスが作詞・作曲した 胸中の苦しみを綴った失恋歌です。
メキシコで末永く唄い続けられている楽曲なのですが、アーティー・ショウ楽団、ロス・インディオス・タバハラス、
ビリー・ヴォーン楽団の演奏やナット・キング・コール、エームス・ブラザースの歌唱、変わったところでは、
ジリオラ・チンクエッテイとロス・パンチョスのコラボ盤、さらには三大テノールのプラシド・ドミンゴもレコーディング
するほどの世界的な名曲でもあります。
タイトルにある”Mariquita”は聖母マリアの愛称、また”Linda”には“美しい”という意味が込められているようです。
差し詰め「さらば、マリアのごとく麗しきリンダ」といったところでしょうか。

Adios, Mariquita Linda
ya me voy porque tu ya no me quieres
como yo te quiero a ti.
Me voy porque tus desdenes,
sin piedad han herido para siempre,
a mi pobre corazon.
Adios, vida de mi vida,
la causa de mis dolores;
El amor de mis amores,
el perfume de mis flores,
para siempre dejare. Adios,


旅の友・ポップス編 (384) 『遥かなるアラモ』

2018-03-19 14:45:08 | 旅の友・ポップス編

『遥かなるアラモ』 ブラザーズ・フォー
”The Green Leaves Of Summer” The Brothers Four 【YOUTUBEより】


1960年制作のジョン・ウエイン監督によるアメリカ映画『アラモ』の主題歌です。
映画は1836年に起きたアラモの砦におけるテキサス義勇軍とメキシコ軍の壮絶な戦いを描いた70ミリ大画面による
長編アクション大作なのですが、結果的にはジョン・ウエインによる制作・監督・主演のワンマン映画に終わりました。
また映画の監修にジョン・フォードが携わったとも言われており、当時の宣伝ポスターにも「友情監修・ジョンフォード」と
プリントされていますが、どうやらこれは事実ではないようです。
さすがにジョン・フォードが隅々まで監修しておればこれほどの凡作にはならなかったことでしょう。

主題歌の『遥かなるアラモ』はディミトリー・ティオムキンが作曲、ポール・フランシス・ウエブスターが作詞したもので、
農地や牧草地を開拓した人々の大地に対する郷愁が込められた歌詞による見事な民俗音楽となっています。
邦題は『遥かなるアラモ』となっていますが、原題は”The Green Leaves Of Summer”となっていて『アラモ』を連想
させるような内容ではありませんし、映画『アラモ』にふさわしい曲とも感じられません。主題歌として使われたために
的外れな『遥かなるアラモ』と命題してしまったのではないかと思われます。
日本では、映画公開に先立ち、主題歌の本命とされたマーティー・ロビンスの『アラモの歌』のB面でリリース
されましたが、前作の『グリーン・フィールズ』の大ヒットの影響もありA面をしのぐ勢いで爆発的にヒットしました。
【今週のベストテン】において1960年11月第3週に初登場し、8週連続でベストワンに輝くなど翌年5月までのほぼ
半年間ベストテン入りのロングセラーとなっています。

関連記事
2014-04-22 映画音楽史(109)『アラモ』1960年公開


旅の友・ポップス編 (383) 『街角』

2018-03-18 18:15:29 | 旅の友・ポップス編

『街角』 ジュリエット・グレコ
”Coin De Rue” Juliette Gréco 【YOUTUBEより】


この曲は1954年に、ジュリエット・グレコの夫(当時)であった俳優のフィリップ・ルメールの依頼により、シャルル・トレネが
即興で書き上げ、これをグレコがオランピア劇場で初披露して大喝采を浴びたシャンソンの定盤曲です。
歌詞は、子供の頃によく遊んだ街角、恋に破れ希望を失ってしまった15歳の夕暮れの街角、そして幾年月、そんな街角の幻に
郷愁を募らせるといった内容で、グレコがしっとりと聞かせてくれます。

旅の友・ポップス編 (382) 『わらの男』

2018-03-17 18:00:24 | 旅の友・ポップス編

『わらの男』 カルロ・ルスティケッリ楽団
”L'uomo Di Paglia” Carlo Rustichelli  【YOUTUBEより】


1958年制作のピエトロ・ジェルミ監督による同名のイタリア映画の主題歌です。
映画は妻子ある中年男と若い娘との不倫をベースにして小さな家庭の悲哀を描いた作品で、独特の人懐こい作風と
リアリズムで小市民の生活をきめ細かく描いており、『鉄道員』『刑事』と共にジェルミ三部作ともいわれています。
タイトルの”L'uomo Di Paglia”は直訳通り「わらの男」すなわち案山子のことで、「意気地なし」という意味合いです。
平凡で生真面目な一市民が、ふと人生を狂わせるような幻のような世界に足を踏み入れてしまったために家庭が
崩壊し若い命が失われてしまうが男には何の術もない…まさに「わらの男」そのものが描かれています。
主題歌はピエトロ・ジェルミの盟友で、『鉄道員のテーマ』『死ぬほど愛して』でお馴染みのカルロ・ルスティケッリが作曲、
そのアンニュイなメロディーは映像と連動して主人公たちの不安定な情感を見事に表していました。

関連記事
2014-04-17 映画音楽史(105)『わらの男』1959年公開