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映画音楽史(154) 『鞄を持った女』 1961年公開

2014-06-13 00:28:00 | 映画音楽



『鞄を持った女』 La Ragazza con La Valigia (伊) 1961年制作
監督 ヴァレリオ・ズルリーニ
音楽 マリオ・ナシンベーネ
主演 アイーダ … クラウディア・カルディナーレ
    ロレンツォ … ジャック・ペラン
    マルチェロ … コルラッド・パニ
主題歌 『鞄を持った女のブルース』 ( Just That Same Old Lime ) 唄・ニコ・フィデンコ
挿入歌 『倖せがいっぱい』 ( Il Cielo Inuna Stanza ) 唄・ミーナ・マッツィーニ
挿入歌 『月影のナポリ』 ( Tintarella di luna ) 唄・ミーナ・マッツィーニ

純粋な青年と若い未亡人の結ばれぬ愛を情感豊かな映像で綴った作品で、イタリアン・リアリズムとロマンティシズムが
見事に融合した青春映画の代表的傑作。
リッチオーネのナイトクラブのアイーダはマルチェロを愛したものの彼は本気ではなく旅の途中でアイーダを置き去り
にして姿をくらます。アイーダがようやくマルチェロの豪邸を探し当てたが本人は不在で、弟のロレンツォに出会う。
ロレンツォはアイーダに同情して彼女を援助しているうちに彼女を愛するようになるが許される愛ではなかった。
引き裂かれるようにアイーダはリッチオーネに戻り仕事に復帰しようとする。彼女の前に胡散臭い映画監督が現れて
現金をちらつかせてアイーダを誘惑した。そこへ彼女を追ってきたロレンツォが割って入るが喧嘩となりロレンツォは
叩きのめされる。アイーダはロレンツォの愛情をひしひしと感じながらも彼の将来を汚さぬように別れる決意をする。
すべてを察したロレンツォは僕からの手紙だと言って大金を入れた封筒をアイーダに手渡す。

主題歌の『鞄を持った女』はマリオ・ナシンベーネの作曲によるもので、歌唱はニコ・フィデンコです。
映画では浜辺のカフェでアイーダが映画監督に強い酒を飲まされて踊るシーンでジュークボックスから流れます。
また、日本では哀愁をおびたファウスト・パペッティ楽団の演奏の方がよくなじまれています。

↓はニコ・フィデンコの『鞄を持った女のブルース』  YOUTUBEより


↓はファウスト・パペッティ楽団の『鞄を持った女のブルース』  YOUTUBEより




また、この映画には多くの挿入歌がありますが、アイーダが浜辺を歩くシーンに流れていた『倖せがいっぱい』も
素晴らしい楽曲でした。この曲の作詞・作曲はジーノ・パオリです。

Quando sei qui con me
Questa stanza non ha più pareti
Ma albeli alberi infinti Quando

↓はミーナ・マッツィーニの『倖せがいっぱい』  YOUTUBEより


さらに、サン・レモ音楽祭の最大のヒット曲でもありミーナの最大のヒット曲でもある『月影のナポリ』 ( オリジナル・
レコーディングではありません ) が浜辺での喧嘩のシーンに流れます。この曲の作曲はブルーノ・デ・フィリッピ、
作詞はフランコ・ミリアッチです。

Abbronzate, tutte chiazze
Pellirosse un po paonazze
Son le ragazze che prendno il sol
Ma ce n'é una che prende la iuna
Tintarella di luna Tintarella color latte …

↓はミーナ・マッツィーニの『月影のナポリ』  YOUTUBEより



ミーナには素晴らしい楽曲がたくさんありましたが、あれだけ貢献したサン・レモでグランプリを手にすることは
ありませんでした。彼女はのちに『別離(わかれ)』( Un Anno D'amore )、『信じられない』( Non credere ) など
素晴らしい楽曲を提供してくれました。私にとってミーナは最高の歌手です。