【2日目】
秋めき、爽やかに眠れた朝、民宿から木曽川を渡り返し中山道<須原宿>へ戻る。 須原宿は道沿いに用水路があり所々大木の丸太をくりぬき、そこに水をたたえる<水舟>があり飲めるということ、宿場の風情を高める。宿の中央にある水舟は後ろに「須原宿」の碑と子規の歌が刻まれた立派なものだが新しく、少し先にある屋根がかかった古い感じの水舟の方が好ましい。 中山道を少し離れ京側の枡形道の先にある定勝寺に寄る。木曽三大寺の中でも最古刹で桃山時代の山門、本堂、庫裡が国重文ということで荘厳さと格式がある。朝の穏やかな斜めの光線に庭の緑とサルスベルの紅色が映え美しい。 <須原宿>と<野尻宿>の境あたりの伊奈川は浮世絵に激流が描かれているがそれ程でもなく穏やかな流れである。 このあたりから中山道は木曽川を離れ、山の方へ向かっている。このルートは木曽川が極端に蛇行したため基部が切れて短絡し、旧河道が馬蹄形に残り平野となった部分を利用したものとのこと。 再度木曽川の流れに沿って歩く様になり「南寝覚」の景観、そして断崖絶壁に桟道を造り、木曽の桟より難所だったという「羅天」を過ぎる。 現在はトラックがびゅんびゅん走る日向の車道脇道、難所のかけらはみじんもなく只暑いだけ。 車道を離れると間もなく<三留野宿>に入り今回の終着、南木曽駅である 。 歩数3万1千歩、15.3Kmの歩き。
次のルート:⑮三留野宿~中津川宿 前のルート:⑬奈良井宿~上松宿
民宿前の歴史民俗資料館 街道歩き出発 朝霧の木曽川を渡り返す
須原宿 木村本陣跡 西尾脇本陣跡
水舟 … サワラの木をくり抜いた
屋根が付いた素朴な水舟 旧旅篭…三都講、御嶽講の看板がかかる
定勝寺 … 山門 朝の光線に映える庭が美しい 庫裡
庫裡内部
JRを渡る 木曽川越しの須原水力発電所
<野尻宿> … 無款(英泉)/木曾路駅・野尻 伊奈川橋遠景 『木曾路名所図会』に、「三富野の東よりここを過ぎて上松にいたる。水流奔騰して、其声雷窪の如し。大雨の時、水漲りて畏るべし」と紹介されている木曾川に負けない迫力を示す伊奈川の流れが描かれ、また『木曾路名所図会』に「十六間」と記されている伊奈川橋が、両岸からやっと架け渡したような独特のカーブを示す刎掛橋として描かれている。山国独特、野尻付近の地形の特徴はよく表現されている 。激流の表現に葛飾北斎の影響が出ている。
宿内は屈曲と坂が多く、「野尻の七曲り」と呼ばれる。南に控える羅天(らてん)が木曽の桟以上の難所だったため、宿は栄えた。宿は拡大し、木曽では奈良井宿に次ぐ、810mの長い町並みをなす。
伊奈川上流:浮世絵の場所…伊奈川橋上から
天長院 … マリア地蔵がある
木曽川を振り返る 台石が「イボ岩」 野尻宿本陣跡
脇本陣跡碑
下在郷の一里塚跡碑
<三留野宿> … 広重/木曾海道六拾九次之内・三渡野 三渡野宿と北の野尻宿の間は木曽川沿いの切り立った断崖を棚の様に設けられた桟の上を渡る木曽第一の難所だった。広重描く図は、そうした危険な道ではなく、めすらしく畑地や段丘がひらける三渡野宿のあたりを描いている。鳥居のたつ丘には白梅、紅梅の花が開き、木曾谷の春の訪れを告げている。
野尻宿と三留野宿の間は険しいV字谷で花崗岩地帯のため、蛇抜けと呼ばれる土石流がよく発生し、迂回路の与川道もあった。 …「木曽路はすべて山の中である。あるところは岨づたいに行く崖の道であり・・・」(藤村『夜明け前』)… 現在は、度々の火災で家屋を焼失し、昔の面影を見出すことは難しい。
南寝覚:柿其(かきぞれ)峡入口
羅天 … 木曽路最大の難所 三留野宿 本陣跡 JR南木曽駅
=おわり=
次のルート:⑮中津川宿~***宿 前のルート:⑬奈良井宿~上松宿