とことこ日記~リタイアな日々

透析しながら、歌舞伎に映画、コンサート。
日々に感謝しながら、おまけの人生楽しみたい。

吉例顔見世大歌舞伎昼の部 2018.11.15

2018年11月20日 | 古典芸能
江戸時代の11月興行と言えば、特別だったとのこと。
その後の1年の座長のお披露目をするということで。
1年間のお給金も11月に決まったとか。
当時は年俸制だったのですね。

顔見世を示す櫓が、正面唐破風に揚がっています。



今月の歌舞伎座には、菊五郎と吉右衛門が揃ってます。
ただ出し物がいま一つに感じて、迷っていたのですが
昼の部の松緑の「素襖落」を観たいと思ったのできました。
結論から言うと、昼の部全部が大満足でした。



一、お江戸みやげ

田舎から江戸に出てきた行商人の後家二人に時蔵と又五郎。
これがすごく良くって、楽しかったです。
時蔵はもちろんぴったりの役なんだけど、
又五郎が珍しい女役をやってて、私は立ち役より合ってる気がしました。
そこに、常磐津師匠に東蔵でこちらもぴったり。

この作品は川口松太郎作で新作なのでしょうが、演技のうまい役者がそろって
大変に面白かったですね。

ニ、新歌舞伎十八番素襖落(すおうおとし)

明治時代に九世団十郎が初演。
その後に、七世幸四郎(高麗屋)六世菊五郎(音羽屋)へと引き継がれたとのこと。
そのため、衣裳も、肩衣のあるなしがあるそうで
今回太郎冠者を松緑が演じるにあたって、團蔵と衣裳に相談して、
肩衣を付けて現れて、途中で脱ぐ形をとったということだそうです(松緑のブログを読んだ)
後半は酔っているので、ちょうどよいと思いました。

また最近は、姫御前が踊るようになっているけれど、
昔に戻って、一切踊らない形に。
代わりに、家来が踊る形にしたそうです。(これも松緑のブログより)

團蔵が大名役で出てるんですが、これがすごく良い。
若い時から二世松緑の舞台に出てたかっこいい役者でしたが、
いいおじいさんになりました。

こういう舞踊劇は私、大好きです。

三、十六夜清心(いざよいせいしん)

菊五郎吉右衛門が同じ舞台に並ぶというだけで、ありがたさがある。
時蔵が加わってしっとり。

行くまで気付いてなかったのですが、この舞台で
歌舞伎の尾上右近が、家の仕事の浄瑠璃で、「清元栄寿太夫」をお目見得しました。
右近は私が最近気になってる女形なんです。
歌舞伎俳優が舞踊の家元であるのは多いと思いますが、
演者と演奏者をというのは珍しいのでは?

で、こちらもドキドキでしたが、清元特有の透き通った声がとても良くて・・
益々好きになりました。
右近は「ワンピース」で怪我をした猿之助の代演をしたりで、立役としてもカッコ良くて
どの方向を目指してるのかしら

初 平成中村座 十一月大歌舞伎2018/11/8

2018年11月09日 | 古典芸能
中村勘三郎さんの「中村座」仮小屋なのかしら?
一度行ってみようと思いまして・・

浅草本堂後ろにあるということで、
まあ人が多いこと。大半外国からの観光客らしい
仲見世は混み混みなので、脇道をとことこと・・

本堂の脇を進むと、ありました


客席へ上がるのに、靴を脱いでビニール袋に入れて行きます。
(靴下履いていてよかった)
中に入ると、予想より小さいかな。
一階は、前方が座布団席、後方長椅子席。両脇に2列。
二階2列。一番後方に「お大尽席」脇に4列。
天井は高くて、真ん中に大きな提灯が下がっておりました。



私は1階の後ろ中ほどの、長椅子席。
本当にベンチのような木の長椅子に、ござ?に小さな座布団
まあ狭いですね。私は小さいからまあいいけど、大きな男性は無理かも。
段差はあるけど低めなので、前の人の頭が被ります。

ところがですね・・せせこましいけど、ファミリイな雰囲気のためストレス少ないの。
客のもそもそする声もそう気にならない。なんなら寝ててもいい。

夜の部を拝見しました。

一、弥栄芝居賑(いやさかえしばいのにぎわい)
こういうの賑やかで好き。
勘九郎と七之助が芝居小屋の夫婦。勘太郎兄弟がそのこども。
わいわいと大物やら贔屓やらがかけつけて花道にいっぱい。

芝居が始まった・・と言う体で、勘三郎さんの舞台の映像が、真ん中に
多分観客の多くが勘三郎一家のファンだと思います。
かなり高齢の方も多く見られましたが、残念ながらバリアフリーではないので大変そう。


ニ、舞鶴五條橋(ぶかくごじょうばし)

十七世勘十郎の俳名が舞鶴だそうです。訂正勘三郎
初演は十七世の弁慶に十八世の牛若丸。
その写真がプログラムにありました。
勘九郎時代の(19歳とか)勘三郎さんが可愛い。

今回は、勘九郎の弁慶に、息子の勘太郎くんの牛若丸。
勘太郎君まだ7歳。
母(扇雀)に会いに来て、つれなくされて鞍馬に帰る途中に弁慶と遭遇。
弁慶を負かして家来にし、堂々花道を引き上げていきました。
動きも台詞も間がうまくて、形も決めてくれて流石です。
顔も綺麗で格好良かったです。
観客涙ぐんでいました。

三、仮名手本忠臣蔵
祇園一力茶屋の場

七之助のお軽はぴったり合ってると思いました。
勘九郎が兄の平右衛門。
兄弟で兄妹を演じるというのは面白いですね。
当たり前に本当に兄妹に見える。
並んで座ってるときの所作が揃ってた( ´∀` )

芝翫がプログラムの中で、故勘三郎が「この芝居に合う小屋」と言ったとか。
たしかにそう感じました

そして、この小屋はなんとも居心地がいいです。
多分どの席からも舞台が見渡せるし、花道も見えるみたい。
ただ狭いので、前の人の頭で舞台正面が見にくかったりするのですが
それが気にならないというか・・芝居見物ってこういうことかなって


勘三郎の残した「中村座」、兄弟で続けていくのは大変でしょうけど
頑張っていただきたいです。
今回初めてでしたが、また機会があれば伺いたい。
地下鉄浅草駅が、ちょっと分かりにくくて、
観光客でごった返しているし、オタオタしちゃいましたけど。
お芝居を見に行く体力は残したいです