「差不多」的オジ生活

中国語の「差不多」という言葉。「だいたいそんなとこだよ」「ま、いいじゃん」と肩の力が抜けるようで好き。

バクマン。

2010-04-10 | 
漫画「バクマン(BAKUMAN)」を5巻までまとめ読み。実は以前1巻だけ読んで、どうにも「結婚の約束」話に違和感をぬぐいきれず、世界に入り込めずに、それから先を読んでいなかった。でも、2巻目から俄然、面白くなるんですね。リアルな展開、スピード感、画質に引き込まれました。字が多いけど、それが逆に世界をきちんとつくっている感じがします。名作ですね。「ちはやふる」もそうですが、1巻だけで判断すると間違うことがあることを痛感しました。

ストーリーは、単純化すると、中学3年生の男子2人が、一人は原作者として、もう一人は絵を描く者としてペアを組み、人気漫画家を目指してがんばっていくという内容。少年ジャンプらしい成長物語でもあり、かわいい女の子の登場やライバルの存在といったある意味、定番なのですが、この作品の魅力は、漫画家が特に現実の週刊ジャンプでどう成功していくか、担当編集者とのやりとり、アンケートの結果による連載開始・打ち切りの裏側など、相当赤裸々に描いていることでしょう。劇中劇的な要素もあって、多彩な楽しみ方ができる。

原作・大場つぐみさん、作画・小畑健さんによるコンビによる作品。まさに自分たちを漫画化した感じさえします。その昔「サルまん」という、やはり漫画界の内幕的な作品が売れていましたが、あの作品のような、なんというか「人生かけてます」的というか、シビアというか、笑っているようで目は笑っていない感じがしたのと違い、「バクマン」はもっとスマートに、なんというか冷徹に漫画界を描いているような気がします。

それにしてもシビアな世界だと改めて感じます。私は漫画を読むのは子供のころから大好きで、特に高校時代に「花とゆめ」(当時は三原順さんの「はみだしっ子」や、柴田昌弘さんの 「赤い牙」、魔夜峰央さんの「パタリロ」、美内すずえさの「ガラスの仮面」などが連載していたっけなあ)にはまって以来、けっこう読んできましたが、描く側に回りたいと思ったことは皆無。優れた作品を描いてくれる漫画家の皆さんには心から感謝しています。「バクマン」で、描く側の苦労の一端を垣間見た気がします。

同時に「売れればいい」というシステムになんともいえない違和感を感じるのも事実です。特に少年ジャンプのシステムは有名ですが、作品の中には「じっくり育てて」というタイプも確かにあるように思うのです。それが、ほとんどアンケートだけで存続が決まっていく。バクマンの中にもこうした状況に対する批判も垣間見られます。いまのシステムは変わっているのかな? ま、それもこれも、出版不況によるのでしょうが。雑誌は厳しいですからねえ今後とも日本の漫画界が優れた作品を生み続けるために、読者としてできることはしていきたいと、なんか、漫画の感想からだんだん大きな話になってしまいましたが、思いますよ。