瓢簞舟の「ちょっと頭に浮かぶ」

こちらでは小説をhttps://kakuyomu.jp/works/16816700427846884378

豊穣な世界

2016-09-15 11:14:44 | 随想
子供の頃の記憶はあいまいだけれど、おそらく別れ際には「バイバイ」と言って手を振っていたのではなかったか。母親は多分そうしていたはずで、子供の私はそれを真似るからである。

いつから別れ際に手を振らなくなったのかは分からない。手を振らなくなったのは、おそらく私が男だからである。女は成長してもやっぱり別れ際には手を振る。

この差は生物的なことに起因するのか文化的なことに起因するのかは分からない。どこまでが生得的であり、どこからが刷り込まれたものかは自分でもはっきりしない。

ともかく些細な仕種にも違いは存在する。
その違いに気づくのは他者が存在するからである。自分とは違う存在があって初めて自分を知ることになる。他者が存在しなければ自分が別れ際に手を振らないことには気が付かないままである。

自分のことを知るために自分のことだけを考えていても知れることはそう多くはない。自分とは違う存在と向き合ってこそ自分と向き合うことになる。他者は鏡とはよく言ったものである。

他者を知り、自分を知る。
人は多様である。それを豊かという。
他者を否定したり、自分を否定したり。そのような行為は豊かな世界を貧しくするだけである。
世界は豊穣だから幸せなのだ。
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