瓢簞舟の「ちょっと頭に浮かぶ」

こちらでは小説をhttps://kakuyomu.jp/works/16816700427846884378

第肆話

2014-03-08 16:09:20 | 奇妙な味
目覚めると、いつもとは違う世界が広がっていた。
何が変わったというわけではない。いつもと同じ。
変わったのは自分。いままでの自分の五感は目詰まりしていたのだ。感覚が覚醒すれば世界は違った様相を呈する。
世界はこんな姿をしていたのか。

男はいつもとは違う列車に乗り、いつもとは違う場所を目指した。
目覚める直前に見た風景。夢にしては強烈過ぎる印象を残したあの風景。男はそこへ向かった。
はじめて見る風景であったが、そこがどこであるのかを男は知っていた。男の感覚は時空間を超えるまでに覚醒していたのだ。

そこで何が待っているのか。当然男は知っている。
待ち望んでいたことだが、実際に起こってみるとさほど昂奮するようなことでもない。
男はぼんやりと窓外を流れ行く景色を眺めながら列車に揺られつづけている。


付記
参考■カフカ「変身」(ま、冒頭だけ似通ってるだけで、あとはなんにも関係ないけれど)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« #168 | トップ | 第伍話 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。