第9話 頬覚

2005年04月03日 23時31分42秒 | Weblog

真冬、冷気の中歩いているうち、やがて寒さを感じなくなる。
その時の、冷たく澄んだ空気がほっぺたの内側に、まぁるく残る感覚が、好き。
(あくまで私個人の感覚なので、すべての方にまぁるく残るとは限りません。
ご了承下さい)

盲目の僧が、「もう夕刻ですね」という。どうしてわかるのか…は、
光を見ずとも和らいだ日差しを頬に感じ、時刻がわかるというお話。
この話をきいてから、私も時折、目を閉じ頬で感じてみるのだが、
私の頬、過敏で困る。

季節の変わり目、風を頬に感じながら肌荒れをおこす。
日中の強い日差しに、負けてしまう。
なので、ひなたぼっこは肌に優しい夕暮れ時。
芽吹く樹のそばにいっても、だめ。
例えば桜の通り抜け、終わるころには熱の花のようなものが私のほっぺに萌えている。
頬だけならまだしも、鼻のまわりにまで…憂鬱。ラブストーリーが似合わない。
四季折々に我が人生をドラマチックから遠ざけ、コミカルにしてしまう
鼻の下の吹き出物よ…その存在がおかしみを誘う。
下向きに診察を待つ皮膚科かな
とにもかくにも、頬は目に見えない分子レベルをも正確にキャッチできてしまうのである。

目下のところ、花粉を肌で感じています。かゆい。
もうすぐ春ですね。

※この文章は2/4付、立春に劇団カプチーノHP掲示板にUPしたものです。
 桜咲き、もう春ですね。


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