第4102話 バクバクザウルス(改訂)

2024年06月18日 08時00分00秒 | 創る(フィクション・ノンフィクション)

ぼくのママは バクバクザウルス 

 

「たくさんたべて おおきくなってね」

ぼくのまえには やまもり ごはん

みただけで ぼくは おなかがいっぱい

 

「もう!

 こんなにのこして もったいない!」

バクバク バクバク

バクバク バクバク

 

ママが

ぼくの かわりに

ぜんぶ たべて

ママが

ぼくの かわりに

おおきくなっちゃった

 

ぼくのママは バクバクザウルス

 

「ちゃんと あいさつ してね」

ママが

ぼくに きたいしている

よし ゆうきをだして あいさつするぞ

 

えっと こんにちは がいいかな

おはようございます がいいかな

ぼくが かんがえていたら・・・

 

「もう!

 このこは はずかしがって!」

ペチャ クチャ

ペチャ クチャ

 

ママが

ぼくの かわりに

ぜんぶ はなして

ママが

ぼくの かわりに

なかよしになっちゃった

 

ぼくのママは バクバクザウルス

 

「もう!

 はやく しゅくだいしなさい!」

きょう がっこうで がんばったから

これは ごほうびのじかん だったんだ

 

このあと しようとおもっていたのに・・・

ちゃんと するつもりだったのに・・・

ぼくの きもちが しゅる・・・

あ~ぁ しぼんじゃった

 

「もう!

 いつまで ゲームしてるの!」

ガミガミ ガミガミ

ガミガミ ガミガミ

 

ママが

ぼくの かわりに

べんきょうのじかんを きめて

ぼくの やるきが しゅる・・・

ぺしゃんこに なっちゃった

 

ぼくのママは バクバクザウルス

 

「おおきくなったら なにになる?」

ぼくには ゆめが ある

ママが ぼくに きいてくれてくれたのが

とっても うれしくて・・・

 

ぼくは ぼくの ほんとうのきもちを

いっぱい はなした

だけど ママは

ぼくのゆめが

すきじゃなかったみたい・・・

 

「もう!

 また そんなゆめみたいなこといって!」

バクバク バクバク

バクバク バクバク

 

ママが

ぼくの ゆめを かんがえて

ママが

ぼくの ゆめを うばっていく

それは もう ぼくのゆめじゃなくて

ママの ゆめ・・・

 

あるひ ぼくは

なにも おいしくなくなって

なにも するきがおきなくて

なにも かんがえなくなった

 

ぼくは ぼくのへやから

いっぽも そとへでないで

ぼくだけのせかいに とじこもった

 

あのひから ママは

バクバクザウルスじゃなくなった

 

ママは やせて ちいさくなった

ママは あまり はなさなくなった

ママは よく ないた

 

ごめんね ママ

ぼくは ぼくが なにがしたいのか

わからなくなって

こわくて うごけないだけなんだ

 

ママが はじめて

ぼくのことを まってくれて いる

ママが はじめて

ぼくのことを しんじてくれて いる

 

ぼくは ひさしぶりに

とびらを あけてみた

すると ママが

ニコニコザウルスになっていった

「あなたは どうしたい?」

 

ぼくは あかちゃんのときから

ずっと ママのことが すきだったけれど

いまのママのほうが もっとだいすき

ぼくも ニコニコザウルス

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