おじさん一行と別れてから5分後、
私は名前すら知らなかったことを強烈に後悔することとなる。
到着30分前というところで、息子が寝てしまう。
自分が買ったお土産とツアーについているお持ち帰り品、そして、熟睡の息子。
パパに迎えを要請したものの、私一人でどうやってバスを降りようか・・・
「これで、お荷物全部ですか?」
顔をあげると、おじさんの息子さん(とおぼしき人)。
手には棚の上に置いていた私の荷物。
「はい。でも、主人が迎えに来てくれますので・・・」
「バスを降りるまで、お手伝いしますよ」 おじさん一行には最後まで助けられた。
「はい」
息子さんは待っていた主人に私の荷物とお土産を手渡してくれた。
おじさん一行と別れ向き直ると、添乗員さんがお持ち帰り用の発泡スチロールケースをひとつ持っている。
私が最後だ。 私の分は今、息子さんからいただいた。
どうしてひとつあまるんでしょうね・・・添乗員さんが笑う。
何かひっかかりを覚えたが、降車が最後で、あまったからといって私がいただけるわけではない。
不思議顔のツアーコンダクターさんを残し、私は主人の車に乗り込んだ。
あっ!
発車後、不意におじさんたちのやりとりが思い出され、謎が解けた。
おじさん「柿、1箱余計やったなぁ」
息子1「柿、捨てて帰ったら?」
息子2「俺もその意見に賛成!」
おじさん「宮内庁進物用で糖度20%。20%やねんぞ!!」
きこうとしてきいていなかった会話が、鮮明に思い出される不思議。
フラッシュバックは会話だけでなく、映像も。
おじさん一行は3人だからお持ち帰り用発泡スチロールケースは3つ、
なのに、別れ際、2つだった!
そういえば、別れ際、息子さんが一人不在であった。
柿の箱も見当たらなかったから、
口ではああいいながら、柿の箱を持って先を歩いていたのかもしれない。
残っていた人の数とお土産の数が一致していたから気づかなかったが、
添乗員さんが持っていてくれたものが私の持ち帰り品で、
今、トランクの中にあるのはおじさん一家から我が家へのご厚意だったのだ!!
「僕たちの分ですが、どうぞ」と添えず、「はい」とだけ。
さり気ないご厚意に気づかず、自分の荷物と一緒に当然のように受け取ってしまった・・・
お土産をいただいたことに対してのお礼を言っていない。
どうしよう。名前も知らない。
旅行会社からおじさんの名前をききだすことは無理であろう。
お礼状を書いて、送付用切手と共に旅行会社に送り、
代理店経由でおじさんにお送りしてもらおうかなどとまわりくどいことを考えたが、
私がご厚意を無にしたことをわざわざはっきりさせることもない。
我々の旅の思い出は、おじさんたちとの出会いと切り絵だ。
おじさんの中にもクマの気ぐるみ上着をきた息子との触れ合いがほんの少しでも
思い出として残っていたら・・・また、いつかどこかで。
私は名前すら知らなかったことを強烈に後悔することとなる。
到着30分前というところで、息子が寝てしまう。
自分が買ったお土産とツアーについているお持ち帰り品、そして、熟睡の息子。
パパに迎えを要請したものの、私一人でどうやってバスを降りようか・・・
「これで、お荷物全部ですか?」
顔をあげると、おじさんの息子さん(とおぼしき人)。
手には棚の上に置いていた私の荷物。
「はい。でも、主人が迎えに来てくれますので・・・」
「バスを降りるまで、お手伝いしますよ」 おじさん一行には最後まで助けられた。
「はい」
息子さんは待っていた主人に私の荷物とお土産を手渡してくれた。
おじさん一行と別れ向き直ると、添乗員さんがお持ち帰り用の発泡スチロールケースをひとつ持っている。
私が最後だ。 私の分は今、息子さんからいただいた。
どうしてひとつあまるんでしょうね・・・添乗員さんが笑う。
何かひっかかりを覚えたが、降車が最後で、あまったからといって私がいただけるわけではない。
不思議顔のツアーコンダクターさんを残し、私は主人の車に乗り込んだ。
あっ!
発車後、不意におじさんたちのやりとりが思い出され、謎が解けた。
おじさん「柿、1箱余計やったなぁ」
息子1「柿、捨てて帰ったら?」
息子2「俺もその意見に賛成!」
おじさん「宮内庁進物用で糖度20%。20%やねんぞ!!」
きこうとしてきいていなかった会話が、鮮明に思い出される不思議。
フラッシュバックは会話だけでなく、映像も。
おじさん一行は3人だからお持ち帰り用発泡スチロールケースは3つ、
なのに、別れ際、2つだった!
そういえば、別れ際、息子さんが一人不在であった。
柿の箱も見当たらなかったから、
口ではああいいながら、柿の箱を持って先を歩いていたのかもしれない。
残っていた人の数とお土産の数が一致していたから気づかなかったが、
添乗員さんが持っていてくれたものが私の持ち帰り品で、
今、トランクの中にあるのはおじさん一家から我が家へのご厚意だったのだ!!
「僕たちの分ですが、どうぞ」と添えず、「はい」とだけ。
さり気ないご厚意に気づかず、自分の荷物と一緒に当然のように受け取ってしまった・・・
お土産をいただいたことに対してのお礼を言っていない。
どうしよう。名前も知らない。
旅行会社からおじさんの名前をききだすことは無理であろう。
お礼状を書いて、送付用切手と共に旅行会社に送り、
代理店経由でおじさんにお送りしてもらおうかなどとまわりくどいことを考えたが、
私がご厚意を無にしたことをわざわざはっきりさせることもない。
我々の旅の思い出は、おじさんたちとの出会いと切り絵だ。
おじさんの中にもクマの気ぐるみ上着をきた息子との触れ合いがほんの少しでも
思い出として残っていたら・・・また、いつかどこかで。